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ぶりっ子

 ぶりっ子、って死語かもしれない。久しく聞かない。
 「ぶりっ子」的な、可愛さを強調した舌っ足らずな話し方というのを習得せずにけっこうな年齢になった。
 一定層この世にはババアのぶりっ子というのがいて、大人なんだからちゃんと喋ってくれ頼むと若い頃は思っていた。なんなら同世代に大しても赤ちゃんじゃないんだからちゃんと喋ってくれと思っていた。
 しかし、自分がババアになってわかる。
 ババアというのはただ生きてるだけで威圧的である。こちらにそのつもりがなくても、長く生きているというだけで迫力が出てしまう。そして長く生きているということは若者を指導する立場に回る機会も増える。
 つまり威圧的な人間が、正しいことを言う立場になる。これは、怖い。とてつもなく。怒ってなくても、怖い。
 なので若者のことを怖がらせないための苦肉の策がぶりっ子なのだ。キモくても、怖いよりマシだ。
 若い頃全然してなかった不慣れなぶりっ子を取ってつけたようにやっている。

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