
ライブ | 騒々しい無人/amazarashi
amazarashiの楽曲は緩やかに、私の人生の一部に入り込んでいる。辛いときも悲しいときも、勿論、楽しいときも。
元はと言えば、高校時代の友人が好きだった。大学になって、その友人とライブに行ったこともあったな。大人になった今、その友人とはしばらく会っていない。仲違いの疎遠ではないことが幸いだけど、やっぱり寂しかった。そんな風に懐かしい感傷に浸れるのは、amazarashiの持つ世界観ゆえだと思っている。
前段が長くなってしまったが、音楽にさほど詳しくなく音楽をあまり聴かない私にとって、amazarashiは数少ない好きなバンドだった。参戦するのはおよそ4度目か。「騒々しい無人」に行ってきたので、そのレポを記する。
去年も同タイトル「騒々しい無人」に行っていた。生憎、端っこの席だったので紗幕はあまり見えなかったが、アコースティックの演奏が目新しかったことは覚えている。あの弦の響きは好きだな。

「リビングデッド」は確か去年も演奏していた記憶がある。ジャキジャキと弦が鳴る感じが、なにか化け物のような不安が迫ってくる風にも聞こえた。臨場感があって好き。全体的に曲調や歌詞も好きだけど、特に「正解なんてない癖に、正解なんて言葉を作って」のフレーズは私に刺さる。社会人、会社からの評価、仕事が上手くできなくて正解を求めたくなる。そんな自分が愚かしいなってさ。
恥ずかしい話、全部が全部知っているわけではないんだけど、今回の楽曲は知っている曲が多かった気がする。昔の楽曲が多いからかな。「ワンルーム叙事詩」とかはアルバムでよく聴いていたはず。
それなのに、あんな風に紗幕で歌詞を見ながら向き合って聴いたのは初めてだった。真っ赤な炎、あんなに全部を燃やしていたんだ。「奇跡にすがる浅ましさ」までも燃やして「新しい自分に出会う」ために燃やしていたとは。なんて純白で高潔なんだ。ただ、何となくで聴き流していた自分を恥じた。こんなにも強くて綺麗な言葉を、私は上手く咀嚼できていない。
演奏された楽曲が良かったなって振り返ってみるけど、どんな感想を書いたとしてもチープに思えてしまう。でも、振り返るときのために思ったことは少しずつ残しておく。「パーフェクトライフ」は落ち込みやすい、上手くいかないって思っている毎日に。ちょっとばかりの勇気をくれる。何もない人生だけど、完璧な人生。それが最近の合言葉。
「穴を掘っている」のイントロはあまりにおどろおどろしくて、獣が近くに潜んでいるかのようだった。「だって神様も悪人」とか、表現の印象的なフレーズは、音楽も相まってより強調されていた。
ライブの定番曲なのかな。「夕立旅立ち」は前も聴いていたはずなのに、今回の演奏が色濃く印象に残っている。ステージからの強い光、あのオレンジ色の照明。歌詞の中、別れの言葉を拾って。ライブ仕様にアレンジが効いている。アップテンポな音楽と共に、明るい未来へ向かって過ぎ去っていく。
私にとってライブへの参戦とは、新しい曲の一面との出会う機会だと思っている。あのような演出に心を突き動かされて、ライブから帰ってきては何度も噛み締めたくて演奏された曲を繰り返し聴く。
ライブ終わってからどの曲も好きになったけど、個人的には「令和二年」が耳に残って離れない。ふとしたときに口ずさむ。そうやって、日常に緩やかに入り込んでいく。