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ヤシガニ捕獲一部始終<夫婦世界一周紀96日目>

水曜どうでしょうで一番面白いのはヤスケンだと思う。スズムシやコオロギの小競り合いがどうでしょうのベースとしたら、ヤスケンの出てくる回はスパイス。強烈に印象に残っていつまでも離さない。

中でも僕が一番好きな回は激闘!西表島だ。ロビンソンの強烈なキャラと、牛追い祭りならぬ虫追い祭りという企画。ストーリーがないからあんなに面白いんでしょうね。

ヤシガニに興味を持ったのは西表島の映像がきっかけだった。バケモノみたいにでかいハサミと、シーチキンを頬張る姿に驚いたものだ。身は美味しいというが、植物の持つ毒を体に溜め込んでしまうせいで、一般人は食用ヤシガニと汚染ヤシガニの見分けが付かないらしい。しかも市場で出回るヤシガニはとっても高価で買えたものではない。

ニウエにヤシガニがいて、世界各国から密輸を企てる猛者が集うほど美味と聞いて、どうしても捕獲したくなった。しかし、ツアーを見てみると一人当たり100ドルぐらいする。すでにレンタカーで予想外の出費に加え、ニウエの物価は驚くほど高かった。キャベツ2/1が500円くらいするのだ。石灰分を多分に含んでいる土壌では、土耕栽培ができず、全て水根栽培なのだそう。地域住人は土を輸送して自宅で栽培しているんだとか。スーパーの野菜を買うのは旅行客くらいだと鼻で笑われた。

半ば諦めていたが、現地人についヤシガニのことを漏らすと「自分で獲ればいいじゃん」とのこと。ツアーには山中で深夜にひっそりと目を覚ますヤシガニ…みたいなキャプションがあったが、現地人曰くヤシガニはすぐそこのメインストリートを闊歩しているというではないか。

夜は狂犬のナワバリと化すストリートを歩くのは怖いが、捕獲のスリルと味の興味には変えられない。20時。真っ暗になったニウエの通りをハイライトで照らし、トロトロとメインストリートを流すことにした。

なるほど。赤い甲羅のカニが森から海側へトコトコ歩いている。こんな感じで歩いているんだろうなあと思っていると、いきなり褐色の塊が姿を現した。

カニとは明らかに違う動きと色。こいつがまさにヤシガニだ!

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「こんなに何に使うんだろうね」

旅行前にふと思いついてリュックに忍ばせた結束バンドが、旅の終盤になってついに効果を発揮した。ヤシガニのハサミは自体重の100倍と言われているから、この個体なら300キロくらいだろうか。挟まれたら痛いでは済まないだろう。ヤシガニの構造上、ハサミを万歳ポーズにすると文字通りお手上げだ。結束でがっちり組んであっというまに捕獲完了。

その後100メートルもしないうちに3匹も捕まえて、犬の遠吠えが遠いうちに慌てて帰宅する。胸は高鳴るばかり。ヤシガニを入れた寸胴鍋はハサミが鍋に当たってコツコツと音を立てていた。

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大きな個体は裏が真っ青だ。ヤドカリが甲羅を捨て、森に逃げ込み、この大きさになる過程で一体何が彼を青くさせるんだろう。

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ちょっと茹でると逆上せたような美しい赤に代わり、結束が緩んでふわ〜と浮いてきた。かわいそうだけどよく煮えてきた証拠。美味しくいただきます。

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中にはびっちりとカニ肉が。ぎゅっぎゅっと噛みしめるような食感で、うまい。時々泥臭い。個体差があるようで、美味い子と泥臭い子がいたけれど、たしかにヤシガニは美味だ。味噌汁飲みたい。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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