2021年、日本は毒ガスに満ちていた【化学物質過敏症】

<化学物質過敏症>

2020年初夏。
途方もない、正解探しの旅が始まった。

あまりにもうるさく非常識な階下の住人が何度も警察沙汰を起こし、睡眠妨害となりほとほと呆れて引っ越した。
同じ市内ではあるが、今まで住んでいた駅から徒歩15分の立地と、徒歩5分の立地では何もかもが違った。

人も建物も多く、何もかもが溢れかえっている。
空気が良くない事、日差しが入らない事、風通しが良くない事等いろいろと不便は感じていたし、入居翌日から謎の頭痛、吐き気、食欲不振の3コンボを食らったのだからまいってしまう。

今までに住んだ事のない、通気性の悪い鉄筋コンクリートタイプのマンションが体に合わなかったのもあるだろう。
駅前の汚れ切った空気が体に合わなかった事もあるかもしれない。
一気に化学物質への反応は増していった。

今ではもう、ガスマスクなしで外へは出られない。

そうしなければ、喉は腫れ上がり呼吸困難に陥る。すぐにでも体は異常をきたし、長期的に見れば肺はダメになる。
今の日本は、香り付きの空気しか吸えない。
誰が空気にそんなものを求めたのだろうか。
吸える空気がなくなって、ある日私は発狂した。

しかし、調べていくうちに、『最大の敵は化学物質ではない』事を思い知る。
社会の闇というやつだ。



001.化学物質過敏症とは
002.毒ガスの正体
003.社会の闇



【001:化学物質過敏症とは】
化学物質過敏症の説明をする時に最も理解されやすい例えは、アレルギーだ。
皆それぞれの大きさのコップを持っていて、ある日溢れるとアレルギーを起こす。
それは今日かもしれないし、明日かもしれないし、数年、数十年後かもしれないし、死ぬまで発症しないかもしれない。

特定の化学物質に曝露され続けると、体が耐えられなくなり突然化学物質過敏症を発症する。
ただ、他のアレルギー症状に比べ、化学物質過敏症の最も恐ろしい点は別格かもしれないなと思う。

化学物質が微量だとしても、次々と様々な化学物質に反応を示すようになるのだ。

「化学物質過敏症に罹った人は、一度は絶対に自殺を考える」
そう言われているが、実際のところ全員に聞いたわけではないので分からない。
しかし、私は何度も死ぬしかないと考えた。

飲食物に添加物が含まれていたらダメ、野菜や果物は有機栽培ではないとダメ、水道水もミネラルウォーターも何故か舌や口内がビリビリとして喉が腫れ上がるから何も口にできなくなる。

ウィンドウショッピングもできず、趣味も仕事もできなくなって、外出する事もできなくなってしまった。

何の楽しみもない。死んだ様な日々だった。



化学物質過敏症と調べると「嘘」「精神病」等と出てくるが、そうであったらどれだけ嬉しかった事だろうか。
この病気は「貴方個人が匂いとか有害物質に対して過敏すぎるだけだ!」という話に終始しない。

まだまだ解明されていない事も多く、確立された治療法すらない難治性の病気なのだ。
しかもその病気を発症する人がどんどん増えてきている。
生きている誰もが他人事ではいられない病気になってきた。


そんな中で現在の患者達ができる事は警鐘を鳴らし続け、いつか国民が気づいていき、企業や国が方針を変えてくれる事だ。
それは決して容易ではなく、企業への問い合わせや市議会委員への訴えも届かない事がある。


それでも訴え続けるしかないのだ。


しかし逆転の発想をすれば、とある医師の言葉通り、より危険なものが察知できる超能力として捉え、健康を目指せるかもしれないとも思った。



【002:毒ガスの正体】
私は最近になって、外に出ると喉が腫れ上がり呼吸困難になる様になった。
窓を閉め切っていても隙間からタバコの煙が入ってきて同様の症状が出る。
頭痛、吐き気、目眩、意識混濁等の症状も出る。

私を超超超嫌煙家にさせたものはタバコによる健康被害だ。
主流煙よりも副流煙の方が有害な物質が多いというのもなかなかに納得がいかない。
百害あって一利なし。
そのせいで他の疾患の病状も悪化したのだから、末代まで呪いたい気分だ。
そもそも、家の中で吸えばいいのに何で外にわざわざ煙出すの?って話。
煙いのが嫌だとか家族に外で吸えとか言われてるとか言い訳を連ねていたが、だからってそんな身勝手な理由で他人に迷惑をかけていい理由にはならない。
家族や自分さえ良ければいいみたいな考えが透けて見えた時点でもう我慢の限界。
だったら家族間で話し合って禁煙するか室内で吸うか喫煙所に行って吸うかしてほしい。
そもそもベランダ含む共用部は禁煙だし。
煙草を吸うのは勝手だけど、他人に迷惑をかけるなって事が言いたい。
表向き路上喫煙は罰金だの何だのと謳ってはいるが、果たしてそれが機能しているところって少ない気がする。
マナーもモラルも常識もないような喫煙者が多すぎる。
……と、煙草ヘイトは数時間でも話せる。

さて、化学物質過敏症と煙草についてだが、これも症状が出る人が多い。というか、出ない人なんているのだろうか。
私は特に症状が強く出る物のうちの一つだ。

もろに吸えば喉や鼻の腫れ、呼吸困難、粘膜部の焼けるような痛みと炎症、頭痛、吐き気、目眩、腹痛等が続き地獄の数日間にさらされる。
嗅覚では完治できない微量の煙でも、喉が腫れ上がり呼吸が苦しくなる。
煙が部屋に入ってきた日には、もうその部屋の物はほとんど全て捨てる事になるので損害は大きい。
煙草の有害な化学物質が付着してしまっているのか、触るとビリビリと皮膚が痛むのだ。
触れないし、近づけない。置いているものや壁、床にも染み付くので部屋にも入れないからどうにもできない状態になる。

だが、残香時間(造語か?)で比べれば、人生かけても死ぬほど嫌いなタバコよりも凶悪なのが柔軟剤臭(成分)だった。


【003:社会の闇】
柔軟剤は過敏症患者ではない人でも健康被害を訴える程に、猛臭になってきた。
海外の友人が「何の香水だ?食事の場ではマナー違反じゃないの?味がわからないよ」との事。

強い香りは下品だし、TPOを弁えず香水をつけてくる人は非常識だ。
高級寿司屋では香水をつけた人の入店を断るなんて話もある。
だが、柔軟剤を使っている人も全くその人物像と合致するのだ。それくらい臭いがすごい。
ちなみに、常識のある人やお金持ちは柔軟剤の猛臭がする人はいしないし、ファブリーズも使わないので「貧乏臭」と揶揄する人もいる。……これはまた別の機会に取り上げようと思う。

そこで、健康被害を訴え柔軟剤メーカーに問い合わせをする人が多いが「法律は守ってる」の一点張り。
実害が出ている人への配慮のはの字もない。
しかも、その原因が柔軟剤だとは一向に認めようとはしない。
認めようものならば、あらゆる損害が出るからだ。

顧客の健康より自社の利益が一番。
会社としては自社の利益を考えなければならないが、それのせいで健康を害しているという事実を認めずほったらかし。
少数の声などどこ吹く風とシラを切り通す。

いつぞやの水俣病を想起させる。
時代は逆流して公害時代、いや、進んで香害時代となった。

化学物質過敏症同様、香害被害者も実際は香りではなく、香り成分等の柔軟剤に含まれている化学物質に対して反応を示しているのではないかと思う。
海外では規制されているような物質が入っていたり、猛毒と言われている物が主成分と聞く。

ペットの死亡事故も後をたたず、獣医雑誌にも載ったと聞き、香り成分というのはかなり危険だという認識だ。
体の小さなペットの方が解毒機能が弱いらしいが、ペットに有害だという事は少なからず人間にも多少なりとも影響があるかもしれない。
というか、実際ある。

だが、そんな事が起きても結局、企業は私達のような化学物質過敏症患者や香害の存在を認知しようとはしない。

化学物質過敏症を取り上げたメディアも結局は損得勘定に左右される為忖度が見え隠れしている。

だからこそ私は、権力も知名度もない個人で声を上げても影響力は少ないが、せめて意識している人、病気で苦しんでいる人の力になれればと思った次第でnoteに登録した。


きっとこれは、奮闘記となるに違いない。

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