拝啓、はじめましてのクリエーター様。【2】
初めましてのクリエーター様の記事に勝手に共感し、勝手にシェアさせていただく「拝啓、はじめましてのクリエーター様。」企画。(企画っていっても2回目だけどね)
今回も、閲覧履歴にもとづくおすすめとして上がってきたこの記事に、タイトルでおっ?と惹かれた。読んでいくうち、私が以前経験した感情が引っ張られるように思い出された。
私は2度転職をしている。15年勤めた新聞社を辞め、次の仕事(マスコミではない)も内定はしていたがまだ働き始めていないいわゆる「無職」のタイミングに、さまざまな方が集まる講演会に参加した時のこと。
講師はいくつもの著書が大ヒットしている界隈ではとても有名な方たち。そりゃ同じ分野で働く者でなかったとしてもお見知り置きいただけたらうれしいと願う人は多く、あいさつという名の名刺交換を求める人の列がずらり続いていた。
私は主催者と仲が良かったこともあり、ある程度人だかりもはけたころ主催者の紹介でごあいさつできることになった。その時。当たり前のように名刺をいただき、私も名刺をお渡しして「〇〇をしております〇〇(名前)と申します」…と言えなかった時の何とも言えない居心地の悪さというか手持無沙汰感というか。今でも鮮明に覚えている。
確かに名刺を渡し、職業や所属を伝えながら自己紹介するのが初対面同士社会人の一般的なあいさつの形だ。ところがどうだ、無職だと渡す名刺もない。今やっている仕事も(ないので)話せない。「えっと…〇〇(名前)です」のあと、続けて話す言葉が浮かばない。
・今はもう辞めたのですが、以前は〇〇に勤めていて…(いや、もうそこにいないのだから伝える意味がないかな)
・今はまだ名刺がないのですが、来月から〇〇に勤務することになっていて…(いや、まだ働いていないのだから名乗るのもおかしいかな)
いろいろ考えている数秒の間、明らかに沈黙があった。向こうは別に私の職業は何か、今どこに勤めているかを聞きたいわけじゃない。ふっと一呼吸し、これまでの経歴とこれから働く予定の仕事についてザックリと話した後、「今は人生初めての無職を思い切り満喫中です」と締めくくった。最後の一文が私の本音であり、今の私を表す等身大な表現だと思ったら自然と笑みがこぼれた。私にも、そして彼にも。
このクリエーターさんが最後にまとめた「何もしてなくても、何もなくても、それでいい」は最高のメッセージだと思う。今までやってきたこと、今の自分について、そしてこれからやりたいことを伝えられたら素晴らしい自己紹介になる。
仕事をしていなくても、所属や肩書がなくても、その人らしさやその人ならではのものの見方は必ずある。それを伝え合えるあいさつって素敵だな。
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