【ショートショートPt.2】いつの日からか
いつからだったろうか。
日常を繰り返すようになったのは。
いつからだったろうか。
笑わなくなったのは。
……………………………………
「…暑い。」
まだ6月だというのに何故こうも暑いのか。いや昨日まではまだそんな事考えるまでもなかった。確かに気温は少し高かったが今日はより一層………。
「にゃぁ」
(………。)
全くだな。とでも言いたいのか知らないがゴロゴロと喉を鳴らしながら腹に身を委ねている気配が1つ。
(お前は暑くないのか…。羨ましい。)
「おーい。退いてくれないか?」
「にゃー」
返事はするものの気配は動かない。
「今は…。6時…。起きたのが早すぎた…。」
今日は休日なのに…。と少しの勿体なさを感じつつ身を起こそうとするが気配は変わらない。
「頼む。退いてくれ…。トイレに行きたい。」
「ニャー」
やれやれと渋りながらも退いてくれるようだ。
「ホントに聞き分けのいい。言葉が分かってるような猫だなお前は。」
そう。そうなのだ。この猫返事はするし、行動はするしでこちらの言葉を理解してるのだ。
「ニャ」
そうだろ?と言いたい雰囲気で返事がまたひとつ。
「しかし、いつまでも名前をつけない訳にも行かないな。どうしようか。」
グルグルグルグルグルグル。
目を輝かしてる錯覚に陥りそうな程こちらを凝視している。
「タマ」
「…。」
「ポチ」
「…。」
(さすがに在り来りなのは呼んでてもあれだな。そうだな…。)
刹那。
……………………………………
『ねぇ。ーー君。』
……………………………………
(なんで今あの時の記憶が…。)
「さな」
「にゃおうん」
「!! …そうか。それが気に入ったのか。」
(まさか…な。)
猫に転生でもしたのかと思ったが、ありえない。そう思い、淡い期待はすぐに消された。
「今日は…。そうだ、野良猫は病院に連れて行ってやらないといけないんだっけ。」
グルグルグル
「さな。今日は病院に行くぞ。その他もろもろ買い揃えないといけないしな。」
「ニャ…。」
それは予想してなかったようだ。ちょっと引いてるようにも見える。
「はははっ。少ししてやったり…だな。さぁ、行こうか。」
「ニャニャン…。」
……To be continued.
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