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移住という大きな転機を乗り越えるために必要なアプローチ

移住・定着は簡単なことではありません。自分自身のビジョンづくりや努力はもちろん必要ですが、自分だけで成し遂げられるものでもありません。自分が努力すべきところは努力し、他に頼るべきところは頼る。正しい知識をできるだけ集めることも重要です。そして実際に具体的な移住活動を始める上では「やれる・やりたい」と信じられる自分だけの戦略が必要になります。

人生の転機を乗り切るときのチェックポイント〜“4S”

元全米キャリア開発会長のメリーランド大学カウンセリング心理学名誉教授ナンシー・K・シュロスバーグ先生は、人生における転機を乗り越えるためには「4つのS」を点検することが大切だと提唱しています。それはSelf / Situation / Support / Strategy です。

シュロスバーグ先生は人が転機を迎える際にはこの4つのSをチェックし、その結果を踏まえて判断・決断すべきだとしています。本記事では理論の詳細は省きますが、以下で移住活動に必要な4S点検についてまとめます。SoreZoreの“強み”移住&定着カウンセリングは、そのプロセスの中にこの4S点検を内包しています。

Self(自己理解)

まず点検すべきは自分自身についての理解、自己理解です。「自分の思考・感情・行動の源泉に関する理解」「自分の役割に関する理解」に分けてチェックしましょう。

「自分の思考・感情・行動の源泉に関する理解」については、自分自身の適性や価値観を徹底的に掘り下げます(SoreZoreではストレングスファインダー®︎を活用します)。自分はどのようなことにのめりこむのか?どのようなことだと理屈抜きに取り組んでしまうのか?どのような条件を満たさないと耐えられないのか?などです。自分自身のメタ認知を深めるという表現もできます。メタ認知が深まり自分の適性や価値観、そして才能について抽象度を上げて理解できるようになると、移住先の選択肢が広がります。
「抽象度を上げて理解する」という表現がわかりにくいかもしれませんが、「リンゴ農家になりたいから東北に移住したい」という希望を例に挙げて考察すると、そのひとが価値を感じているのがリンゴなのか、農業なのか、農村地帯に住むことなのか、暑さから逃れることなのか、を把握できれば、それまで思いもよらなかった選択肢に気づくことができるようになる可能性が生じるということです。もし暑さから逃れることが本当の目的なのだとしたら、日本全国の標高の高いところや清流のそばなども移住候補地となり得るかもしれません。

「自分の役割に関する理解」は、自分が家族や職場、社会から期待されていることを二つの時間軸から洗い出します。
ひとつは「現在の役割」です。現在どのような役割を担っているか、誰のどのような期待に応えているかを整理します。移住によりその役割を果たせなくなった時の影響について考えておきましょう。
もうひとつは「移住後の役割」です。移住後に自分が果たすことになるであろう役割をあらかじめ把握しておくことは、移住の現実性を客観的に把握するうえでとても重要なことです。例えば移住先のコミュニティの高齢化率が極めて高い場合、必然的に「若手」というレッテルが貼られてしまい力仕事や地域の次世代リーダーとしての役割が期待されるでしょう。また、学校までの距離がある場合毎日夫婦どちらかが車で送迎する必要が生じるかもしれません。
このように移住後の役割をできるだけ詳細にシミュレートしておき、それらにどのように対処すれば良いか、そもそもそれを受け入れられるか、などを事前に評価しておくことが移住の失敗やトラブルを避けるうえでとても有用です。

Situation(状況)

移住を目指す理由は大きく二つあるはずです。ひとつは「新しい生活や仕事をしたい」理由。もうひとつは「今の生活や仕事を離れたい」理由です。移住はこの二つが同時に成立することで実現します。

Situationのチェックでは上記の二つの理由について、主に以下の視点で評価します。
・そう考えるようになった原因は何か
・過去にも同じような気持ちになったことがあったか
・自分はそれをポジティブに捉えているのか、ネガティブにとらえているのか
・一時的なものか、永続的なものなのか

移住の動機をこのように客観的に評価しておくことには多くのメリットがあります。可視化・言語化することで自己理解が深まりますし、他者に説明したり支援を求めたりするときにも役立つでしょう。またいっときの感情により衝動的に移住してしまうことを防いだり、なかなか移住に踏み切れないときに自分を後押ししてくれる材料にもなるでしょう。

Support(支援・リソース)

Supportでは自分が持っている有形無形のリソースを洗い出します。ここで言うリソースとは「(移住活動を進めるうえで)利用可能なもの」を指します(シュロスバーグ先生の元の理論では「自分自身が持つリソース」はSelfに分類されますが、SoreZoreではSupportの一部として取り扱います)。
リソースの代表的なものとして例えば下記が挙げられます。

有形:
・資産(預貯金や不動産)
・家族、友人
・移住支援サービス(自治体、NPOなど)
無形:
・スキルや実績、ノウハウ、資格
・各種情報(書籍、ネット、セミナーなど)
・SNS上のつながり、認知度

この作業を行うと自分でも気づいていなかったリソースが可視化できることがよくあります。また、思っていたよりもリソースがないことに気づくこともあります。リソースが不足していると感じたら、リソースをつくる・育てるための戦術も考えましょう。

ちなみに移住を支援する仕組みや制度、団体は数多く存在します。少し調べれば補助金や貸家を提供してくれる自治体の情報がいくらでも手に入ります。
例)
・静岡県 移住・就業支援金 https://www.koyou.pref.shizuoka.jp/shien/seido/

また地域活性化をテーマとするNPOなど団体の移住促進活動の一環として、また自治体からの業務委託として移住希望者向け説明会や現地見学ツアーを開催してくださっているケースも豊富です。
例)
・一般社団法人チャンクス https://chanks.org/
・NPOサプライズ https://www.surprizu2012.jp/

移住希望者と移住先をつなげてくださっているもっとも有名な団体は「ふるさと回帰支援センター」( https://www.furusatokaiki.net/ )でしょう。私も移住前に何度も足を運び、静岡県・福島県・三重県・秋田県・富山県・茨城県・栃木県・千葉県の移住相談ブースにお世話になりました。また、そこからのつながりで移住者を募集している自治体にも何回かお世話になりました。
同センターは移住に関するリソースを官民の別なく取りまとめてくださっているので、まずはこちらにアクセスすることが移住活動の最適な始め方だろうと私は思っています。

Strategy(戦略)

Self / Situation / Support を整理できたら、それらを俯瞰して戦略を立てましょう。大変かもしれませんがそれほど難しいことではなく、自分の移住計画について5W1Hで自問自答できるようになることを目指すと考えていただければ良いと思います。

戦略(Strategy)が出来上がったら、次にそれを実現していくための戦術(Tactics)を考えます。移住計画のマイルストーンを決めていくと捉えても良いでしょう。
そして次はアクションプランの決定です。ある程度の期間内で、期限を決めた上で成果を出していくことができる「ちょうど良い」具体的な目標を設定し、それを一つずつこなしていきます。

実際には「人それぞれ」のストーリーがある

SoreZoreの“強み”移住&定着カウンセリングは、上記の4Sを意識しながら進めていきます。しかしすべてのひとにはそれぞれ独自の理由や考え方があり、チェックや分析、計画作成や実行が必ずしもスムーズに進むとは限りません。
SoreZoreはキャリアカウンセリング技術とGallup®︎認定ストレングスコーチとしてのノウハウ、そして自らの移住体験などをもとに、移住希望者一人ひとりのストーリーを一緒に振り返り、そして未来に向かって紡ぎ、その実現を支援してまいります。

以上

↓ストレングスファインダー®︎はこの本を購入することでも受験可能です。

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