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おばあちゃんといっしょ。 その5

ひとの箸の持ち方がとても気になる。

テレビのバラエティやCM、ドラマの中で、イケメンがおいしそうに食べていても、残念な箸の持ち方で私は興醒めしている。特に食品メーカーが明らかにヘンな箸の持ち方をしているタレントをCMに起用していることについては、クレームを入れたくなるくらいだ。

これだけひとの箸の持ち方にイチャモンをつける私はどうなのかというと、ほぼ100%正しく美しい持ち方だと自負している。それもこれも、おばあちゃんの厳しい指導のせい、いや、おかげです。

その昔、スプーンから箸に変わるおそらく幼稚園時代に、厳しい指導は始まった。幼い子どもがよくするグー握りで持っていたのを、人差し指と中指だけで箸の片方を操作し、もう片方を親指で支え固定する持ち方に変えられた。今でもよく覚えているのは、なぜこの持ち方がいいのかをきちんと説明されたからだ。

正しい持ち方とは、ただ見た目に美しいだけでなく、うまく食べ物がつかめる方法なのだ。代表的なのが小さな豆。グー握りでは、一粒一粒を、特に小さくなると掴めないが、正しい持ち方だと全く苦にはならない。フライなど大きなものを掴むと手首がひっくり返るひとがいるが、もちろんそれもない。どんなものもさっと掴むことができる。おばあちゃんは、これら具体例を示してくれた。幼いながらも、妙に納得したのだろう。食事のたびに行われた練習により、小学校に上がる頃には、正しい持ち方を習得していたと思う。これにはとても感謝している。

大きくなって知ったことだが、父は左利きだったそうだ。今では、左利きを無理に直すという考えはないだろうが、昔は行儀の悪いものとされていたので、おばあちゃんがそのままにしておくはずがなかったのも納得だ。

だから、私はひとの箸の持ち方が気になる。いや、厳しい意見を言いたい。これは日本人の基本中の基本の所作なのだ。世の中がグローバルや個性重視だとかを叫ぼうとも、これだけは譲れない。せめて、公に食するところを見せなければならないひとは、正しい箸の持ち方を習得してほしい。でないと、そのひとの品格や教養まで疑ってしまう。もちろん、今どきそんなヤツは、私を含むごく少数派だろうけど。

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