【SH考察:062】伊坂夫妻の子である放火魔は誰の子か?一人っ子か?
Sound Horizonの絵馬に願ひを!で、よくよく耳を澄ませると唐突に登場する「16年前の杉浦市消えた新生児事件」。
この事件は、放課後の放火魔こと伊坂夫妻の息子である高校生と、どのように関係するのだろうか。
対象
7.5th or 8.5th Story 絵馬に願ひを!Full Editionより『13文字の伝言』
考察
16年前の杉浦市消えた新生児事件
『13文字の伝言』にて、伊坂夫妻の一人息子は放火魔として報道される。
そして、夫妻はマスコミに追われることになるが、その際のマスコミからの質問のうちの一つが「16年前の杉浦市消えた新生児事件」だ。
これの後ろでマスコミが質問を畳みかけている。
聞き取りにくいが、質問のうちのひとつが「16年前の杉浦市消えた新生児事件との関連を」と言っているように聞こえる。
杉浦市は伊坂夫妻の所在地、16年前なら彼らの息子が生まれた頃だ。
ここでなぜマスコミがこの質問をしたのか、可能性として2つあるのではないだろうか。
伊坂夫妻のもとにはもともと双子がおり、そのうち片方が「消えた新生児」で残ったもう片方が放課後の放火魔になった
「消えた新生児」とされた赤の他人の子を誘拐し実子扱いしていた
前提として、放課後の放火魔事件の子が高校生だからといって、唐突に同地域の昔の事件について持ち出すことには違和感がある。
たとえば、今地元で連続放火事件の犯人が捕まったとして、唐突にその犯人が生まれた年に起きた、放火と何も関係ない事件を蒸し返す報道はされないだろう。
伊坂夫妻との関連性が一度取りざたされたか、噂されたことがあり、それを蒸し返されたか表沙汰にされた。もしくは、捕まった高校生の指紋だかDNAだかで、かつて消えた新生児と同一人物だと判明したのではないだろうか。
では伊坂夫妻と「消えた新生児」はどのように関連していたのだろうか。
伊坂夫妻の子が消えたのか
絵馬の選択の結果、一見『希望の詩』では双子で『13文字の伝言』では一人だけが生まれるように見える。
だが、もし『13文字の伝言』でも双子が生まれていたとしたらどうだろうか。
もちろん、ある程度の情報をミスリードとして薙ぎ払う思い切りが必要になる。子を単数形で表している場所があるからだ。
このあたり、双子であれば「children」や「あの子達」と複数形で表現する方が自然だ。
だが、もし双子で、そのうちの片方だけが特に夜泣きが酷いなど、手のかかる子だったとしよう。
そして、ここで本当に首を絞めてしまって、子を亡くしたとしよう。
その子をどこかに遺棄・隠蔽したら、誘拐ではないので誘拐の証拠もなく、隠蔽しきれば行方不明。「消えた新生児」だ。
この場合は、当時子を失った悲劇の夫妻か子を殺めた疑惑の夫妻として、マスコミを通じて注目されたかもしれない。
伊坂夫妻は子を誘拐したか
確かに『13文字の伝言』の歌詞を見ると、子が実子ではない(伊坂 那美自身が出産したと言い切れない)描写がある。
例えばここ。
読みこそ「うまれてきた」だが、表記上は「遣って来た」という表現になっている。
単に「望まれて産まれて来た」と表記しても良いものだが、あえて何者かに送り届けられる・派遣されるという意味の「遣る」と表現されている点は引っかかりを覚える。
仮に那岐がどこかから新生児を誘拐してきて、那美のために那美のもとへ連れてきたら、「遣って来た」と言えなくもない。
那美が出産を経験していないなら、母乳は出ないため非母乳保育になるのも致し方ない。
(もちろん経産婦でも母乳が出にくい人もいるので、これは決定打にはならない)
それから子の反抗期で那岐がキレ散らかしているが、その際のセリフ。
子供を橋の下で拾ったというのは昔からよくある冗談のひとつであるため、これもその一種でしかないかもしれない。
だが、キレてつい本当のことを口走ったと言えなくもない。
結論
伊坂夫妻が消えた新生児を誘拐してきたのか、伊坂夫妻の子が消えた新生児なのか。
どちらの可能性もあるが、どちらも懐疑的な点はある。
どちらも犯罪だが、那岐は熱血体育教師で、言い方は悪いが、誰にも誘拐が発覚しないような綿密な計画を立てられるとは思えない。
新生児は病院か家にいる可能性が高く、誰の注意も及んでいない場面は限りがあるだろう。
那岐がよその子をやすやすと誘拐できたとは考えにくい。
同じく、実子を殺害・遺棄していたとしても、誰にも見つからず成し遂げられたかは何とも言えない。
ただ、あえて唐突に「16年前の杉浦市消えた新生児事件」なる情報を出した以上、何らかの関係性はあると思うのだが。
どうも絵馬に願ひを!は、断片的な情報は多い割に情報同士が上手く繋がらない。
8th Storyが出たら繋がるのだろうか……。
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他にもSound Horizonの楽曲考察記事を書いています。
更新履歴
2023/10/12
初稿
2024/04/24
一部歌詞引用について「※ルビは書き起こしのため誤差がある可能性あり」の注釈追記