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ピアノを始めた理由

私は4歳になったある日
お母さんに
兄たちが通っていたピアノの教室へ
通いたいと言い出した。

決してピアノが弾けるようになりたかったわけではない。

そのピアノの教室は
年に一度、教室のみんなが集まって
ピアノの腕前を披露して
ケーキを食べて
みんなで遊ぶ会が開催されていた。

そう、私はただケーキが食べたかった。

ケーキは誰かの誕生日かクリスマスしか
食べてはいけないものだと思っていたし
ケーキが食べられるなら
ピアノに通いたいと思ったのだ。

ピアノの先生はとても厳しくて
手の甲に消しゴムを置いて
落とさないように弾かせたり
間違えれば容赦なく手を叩いたりするような
鬼みたいな先生だった。

練習嫌いの私は本当によく怒られた。
年に一度のケーキなんてどうでもよくなった。
でもなんやかんや高校一年生まで続けた。

高校一年生の時に辞めますと言ったら
「じゃあ先生も辞めようかな」
と言って
先生もピアノの先生を辞めてしまった。

もう辞めてから20年近く経つけど
最近また弾きたくなって
今、給付金で買ってやろうか迷っている。

厳しかったけど
たくさん私の中にまだ残っているものがある。

手は素早くは動かなくなったけど
音を聞けば音階はわかるし
楽譜も読める。

本当に厳しかったけど
ありがとう先生
今ならきっと昔より楽しんで
ピアノを弾くことができる。
と思う。

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