
【これ知ってる?】動画編集におけるカットと音量調整の具体的手順
「動画編集やってるけどカットの方法に決まりはあるの?」
「素材の音量を毎回調整するのは面倒」
「誰か簡単なカットや音量調整のやり方を教えて」
そんな悩みをお持ちのあなたに共有させてください。
ぼくは副業でゼロから始めたゲーム系YouTubeチャンネルで登録者3,000人達成したのち、その後クライアントワークによる動画編集を本格化し3か月で月40万円の収益化に成功し、現在はフリーランスとして活動しています。
そんな僕だからお伝えできる、初心者でも実践しやすい汎用的なカットと音量調整の方法をお伝えいたします。
1.【おさらい】動画編集者作業フロー
前回までで、動画編集に必要な作業はざっくり下記の15個のステップからなるとお話ししました。
素材管理用フォルダの作成
素材収集
音量調整
動画のカット
文字起こし
テロップ調整
ラベルによる色分け
テロップ作成(一緒にカットの甘いところ確認)
画角調整
アニメーション適用
SE適用
BGM適用
確認
書き出し
書き出し後の最終確認
前回は"2.素材収集"に関するお話をさせていただきました。
今回は"3.音量調整"と"4.動画のカット"についてお話しさせていただきます。より実践的な内容に入っていきます。
2.【基本ルール】音量調整はこうやる
映像素材やSE、BGMの音声を毎回調整するのは面倒…。
というのはみなさんが持つ共通の課題かと思います。
結論、
素材音声(演者の声など動画の核となる音声):-6dB程度
SE:-15~-20dB程度
BGM:-25~-30dB程度
になるように調整してみてください。
ある程度汎用的な音量調整の方法は下記に共有します。
こちらも画像内の情報量が多いですが順に説明していきますね。

◆上記画像の説明
ある程度汎用性を持たせて音量調整には"オーディオトラックミキサー"を使用するのがおすすめです。
「オーディオトラックミキサーなんて存在しない!」
という方はPremiere Pro上部の「ウィンドウ」>「オーディオトラックミキサー」の順にクリックして追加してくださいね。
①音量調整したいタイムラインのオーディオトラックミキサーの「>」ボタンをクリック
どのタイムラインに該当するかはオーディオトラックミキサーの下の方を見てみてください。
「A1 オーディオ」「A2 オーディオ」などと表記されていると思いますので、該当する部分を選択してくださいね。
②白いウィンドウみたいなものが伸びてきますのでとりあえず一番上の「▼」をクリック
その後「振幅と圧縮」>「ダイナミック」の順にクリック
③水色の枠で囲ったウィンドウの"コンプレッサ"を"2か所だけ"調整
しきい値:ここで表示する数値以上の音声に補正をかける
→ひとまずデフォルト数値のままでOKです。極端に小さい(-20dB以下)音声の音量を引き上げたい場合は-20以下を設定してくださいね)
補正:元音声に対してどれくらい音量を補正(加算)するか
→ひとまず10~20くらいを入力します
④リミッターを"1箇所"だけ下記を目安に調整
しきい値:ここで表示する数値以上の音量にならないよう制限をかけられる
素材音声(演者の声など動画の核となる音声):-6dB程度
SE:-15~-20dB程度
BGM:-25~-30dB程度
上記に記載したように、演者の音声は-6dBになるように調整してあげるのがおすすめです。
SEやBGMに関しては、素材によってはダイナミックで上記の数値に調整すると聴こえ方が微妙になる(反響したようになる)場合があるので一概に正解をお伝え出来ないのが正直なところです…。
あくまで目安として上記の数値を使用して、画像内の赤枠のゲージをクリックアンドドロップして音量調整するか個別に音量調整をするのが良いです。
またSEやBGMに関していうと、一番良い方法なのは"調整済みの音源をレンダリングしておく"ことです。
つまり、素材サイトからDLした素材をそのまま案件で使用するのではなく、あらかじめタイムラインに並べた素材クリップの音量を調整し、その調整後のクリップのみをレンダリングして、以降使いまわす方法です。
少し手間がかかりますが、音量調整用のプロジェクトを作成して調整できるようにしておくと便利です。
🔇【覚えておくと便利】ノイズ除去もここで一緒に
クライアントから共有された素材がノイズを含む場合、この音量調整の際にノイズ除去もやってしまうのをおすすめします。
ノイズ除去もノイズの種類に応じて調整方法を変更する必要がありますが、部屋の空調や電子機器から発生するノイズ除去に使える、簡単な方法を共有します。

◆ノイズ除去について
①音量調整の際に使用した画像の手順と同じように①で「>」をクリック
②「ダイナミック」の下の「▼」をクリック
③「ノイズリダクション/レストレーション」>「クロマノイズ除去」の順にクリック
④プリセットからいずれかの下記いずれかの項目を選択
◆軽いノイズリダクション:軽度なノイズ除去を行い、音声の自然な質感を保ちながら背景ノイズを抑える設定
適した場面:ノイズがわずかで、音声がクリアであり、品質を損ないたくない場合
例: わずかなホワイトノイズ(微かな「サー」という音)が気になる場合。
主な用途: インタビュー、ナレーション、ボイスオーバーなど、音声の細かなニュアンスを保持したい場合
◆デフォルト:Premiere Proで推奨される平均的なノイズリダクション設定。軽いノイズと中程度のノイズの両方に対応可能
適した場面:背景ノイズが一定以上あり、音声のクリアさを保ちつつノイズを軽減したい場合
例: カフェや屋外で録音された音声で、バックグラウンドに話し声や風の音が混ざっている場合
主な用途: YouTube動画やポッドキャストなど、バランスを重視する場合
◆重いノイズリダクション:強力なノイズ除去を行い、顕著なノイズを徹底的に抑える設定
適した場面:ノイズが非常に多く、音声の内容が聞き取りにくい場合
例: 録音時の環境が悪く、大きな風切り音や機械音が入り込んでいる場合
主な用途: 緊急性のある音声の救済処理や、視聴者が多少の音質劣化を気にしないコンテンツ
⑤ノイズ除去の適用量を調整
数値を入力して実際に聞いてみるを繰り返し、適切な数値を設定します
ビジネス系動画などのノイズの少ないクリアな素材の場合「軽いノイズリダクションで適用量10~20%」、空調音がある場合「デフォルトで適用量50~60%」などを目安に調整してみてください。
これに関しては素材ごとにトライ&エラーが必要になります。
⑥ノイズのみを出力にチェックを入れて聞いてみる(聞いた後はチェックを外す)
ここにチェックを入れて聞いてみると、除去するノイズ音声のみを聞くことができます。なので、この音声に演者の声など本来除去してはいけない音声が多く含まれていた場合、④や⑤で設定した項目や適用量が適切ではない。ということになります。
除去するノイズの確認に使用してみてくださいね。
チェックを入れた後はチェックを外さないと、ノイズのみが出力された状態になりますので、忘れずチェックを外しましょう。
素材音声がクリアな場合ばかりではないので、ノイズ除去の方法も知っておくとよいです。
がんばっても除去できないほどのノイズが含まれた素材が共有された場合、クライアントに素材の撮り直しをお願いするのも手です。
全部を撮り直すのは大変なので「ノイズ除去に努めましたが、○○分○○秒~の箇所が特にノイズがひどく調整が難しいので、この部分だけでも撮り直しいただけますでしょうか?」と聞いてみてください。
4.【これだけ抑える】初心者が覚えるべきカット
カットの種類について調べてみると、ジャンプカット、Lカット、Jカット…色々出てきて「結局何からやればいいの…?」って困ってしまいますよね。
ですが、動画編集で案件を獲得して収益化することを目的とした場合、確実に覚えておきたいのが"ジェットカット"です。
まずはこれだけ覚えて使えるようになれば、大丈夫です。
僕も初めて単価6万円のダイエット系チャンネル様の案件を取った際に知っていたカットはジェットカットくらいでした。
ジェットカットを重要視する理由として、初心者でも獲得しやすい案件の一つに、演者が1人で視聴者に語り掛ける"ビジネス系動画"があるためです。
◆ビジネス動画の特徴
忙しいビジネスパーソンのために10~20分程度の短尺の動画が多い
たたみかけるように視聴者に情報を提供する
つまり、「間」を嫌い、短尺のうちに詰め込んだ多くの情報をたたみかけるように視聴者に提供するのがビジネス系動画です。そのため無駄な「間」をガンガンとカットしていくジェットカットが好まれるのです。
通勤時間やすきま時間に短時間で勉強したいビジネスパーソンも見やすい動画になっているわけですね。
5.【基本ルール】ジェットカットのやり方はこれ
ではこれからジェットカットのやり方をお伝えします。
結論、
"音声波形の終端または始端に再生ヘッドを合わせて、そこから3フレーム先または前の無音箇所をカット"
をベースにしましょう。
下記画像内にジェットカットでカットすべき箇所を記載しています。
情報量が多くわかりずらいかもしれませんが、順に説明していきますね。

◆上記画像の説明
音声を含んだ映像素材クリップをPremiere Proのタイムラインにドラッグアンドドロップで配置すると、画像のように"映像素材クリップ"と"音声(素材)クリップ"に分かれます。
音声素材クリップには"ゲイン"と呼ばれる音声波形があります。
音声が発せられている(大きい)箇所は波形が山になり、音声が発せられていない(小さい)箇所は波形が谷になるわけですね。
カットのポイントはこの音声波形が"山から谷に切り替わる部分"です。
上記画像内で示すように、音声波形の終端または始端に再生ヘッドを合わせて、そこから3フレーム先または前の無音箇所をカットしてください。
画像でいうと赤い部分がカットする箇所になります。
(画像内では2~3フレームと書いていますが、修正時の工数が減るように3フレームとしておきましょう)。
1フレームずつ再生ヘッドを動かすにはキーボードの「▶」「◀」を押してくださいね。ちなみに「Shift+▶or◀」で5フレームずつ(デフォルト設定の場合)動かすことができます。
もちろんマウスで再生ヘッドをクリックアンドドラックして動かすこともできます。
繰り返しになりますが、
"音声波形の終端または始端に再生ヘッドを合わせて、そこから3フレーム先または前の無音箇所をカット"
これを"自分の中でのジェットカットの基本"としてしまいましょう。
そして、ここまでお伝えした中で恐縮ですが、上記でお伝えしたカットはあくまで【基本】であり、すべての案件に適用できるものではありません。
いついかなる時にも通用する正解のカットは存在しないというのが結論です。
どういうことか。
実はカットの正解はクライアントが握っています。
カットの詰め感を案件ごとにクライアントとすり合わせて、カットの正解を都度決めていくことが重要であることを絶対に覚えておいてください。
📝【このカット感で認識相違ないでしょうか?】実際のクライアントワークではこう動く
実際のクライアントワークでは、今回共有させていただいたジェットカットの方法を抑えつつ、カットの詰め感や動画の方向性をクライアントと早い段階ですり合わせる必要があります。
おすすめのすり合わせの方法は下記です。
クライアントから共有された素材動画の"冒頭1分間だけ"実際に上記方法でカットする
1分間のカット動画のみレンダリングする
1分間のカット動画をクライアントに共有する
「冒頭1分のカット動画にてカットの詰め感の認識をすり合わせさせていただきたく存じます。お手すきの際に添付の動画をご確認をいただき、詰めすぎ、または緩いなどございましたら、ご意見いただけますと幸いです。」などのメッセージを添える(文章はコピペしてもご自身で適宜変更いただいてもOKです)
つまり、冒頭1分のカット動画まず最初に共有し、クライアントからのFB(フィードバック)をいただくことが超大事です。
編集者自身が思うジェットカットとクライアントが望むカットの認識を早めにすり合わせるイメージです。
「わざわざ聞いてクライアントの手を煩わせるのもな…」
と思い、聞くことをためらう編集者の方がいらっしゃいます。
ですが、少なくとも僕ならメンバーがこのように聞いてきてくれたら
「コミュニケーションをとれる編集者さんだな」
と好印象を持ちます。
早い段階での認識合わせは、後々の修正工数削減にもつながりますので、双方にとって良いです。
クライアントからのFB後、詰める・緩めるなどの修正をして再度共有して、正解に近づけていきましょう。
「カットのやり方覚えたから俺はすべてこのやり方で行くんだ!」ではなく、毎回カットの正解・詰め感をクライアントとすり合わせる、これは絶対に行ってくださいね。
6.【最後に&次回予告】正解はクライアントと決める
ここまでご覧いただきありがとうございました。
クライアントにFBを受ける前に、案件と似たようなビジネス動画をYouTubeで探し「どんな間でカットしているのか?」「どの程度の音量なのか?」あたりをつけておくのもおすすめです。
しかしながら、その案件に関するカット感もちょうどいい音量も正解はクライアントが握っています。
ある程度編集者側で決め込んだ後で「このカット感や音量で認識相違ないでしょうか?」と聞いてみましょう。
案件ごとに認識をすり合わせて、正解を決めていくのが良いです。
次回は"5.文字起こし"と"6.テロップ調整"にまつわるお話になります。
動画編集で最も時間がかかる箇所をより効率的にこなすやり方を共有しますので、ぜひご覧ください。
※以下、サービス紹介
◆あなたのポートフォリオを添削します◆
現在、他社と被らない、ポートフォリオ作成&添削サービスを開発中です。
本記事を読んで「おまる。」にポートフォリオ添削を頼んでみたいと思った方、
興味のある方はGmailまたはX(旧:Twitter)のDMまでご連絡ください。