君は希望を作っている #24

 そんな風に希望もあるんだかないんだかわかんないことになったけれど、まだ沙羽は『kibou』を作るのに悪戦苦闘していた。
 沙羽はJavaでの構築に拘っていた。
 それに使っている構築環境は、エラーを吐いてばかり。
「希望作りたいのに」
沙羽は俯いてしまう。
「もうお昼よ、ねぇ、お腹空いたんだけど」
死に体の沙羽に黒崎は容赦ない
「あぁ、黒崎さん、じゃあみんなでビッグ行こうか?」
「まぁ、いいわよ」
海老原も輪に加わった、
「あ、じゃあさ、今日はいつもの道じゃなくてどこか遠回りでもいいから、車来ないとこ探して行こうか?」
「わかっている、車怖かったんだけど」
黒崎は海老原の提案に、彼が自分の車椅子を押すのは当たり前だと言わんばかりに乗った。
 スマホの道案内ソフトを使って、行ったり来たりを繰り返しながらいつもと違う道を車椅子の黒崎と歩く、車椅子から見れば、この街のなんと居にくいものか。
 ビッグで、黒崎はいかにも不機嫌そうに言った。
「立つためのリハビリってキツイのよねぇ、また立てるかしら」
「私が脳腫瘍で入院していた時も車椅子だったよ、歩けなかった。でも、大丈夫だったよ。今日だって支えられて立っていたじゃない」
明るく言う沙羽に、黒崎は辛く当たる、
「一緒にしないで!私はあなたより遥かに努力しているの。でも……本当、みたい」
あなたには負けないわ、黒崎は飲み物をすする。
 沙羽の希望を込めたアプリ制作は進んでいなかった。
 ある日きぼうでエラーを吐くツールとGoogle翻訳で戦っている沙羽を「やってるね」と声を掛けてきた社長は逆に沙羽に捕まった。
「言語変えていいと思います?Pythonとか」
「うん?逆になんでPython とかJavaじゃなきゃ駄目なの?javascriptとかHTML5でよくない?」
沙羽は俯いた
「Google playに載せたいんです」
社長は笑った、
「じゃあわかる言語でやれば?」
「あそうか、Webアプリ作ってからネィティブアプリにすればいいんだ」
そんなことも知らないの?社長は笑いながら別の利用者に話しかけに行った。
 沙羽はまぁ、ヒントはくれたしいい人ではあるんだよ、と一人で納得して、HPを作ったエディタを立ち上げた。

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