君は希望を作っている #26

 でだ、とりあえずのはできたけれど、これじゃとても売ってがっぽがっぽは遠い。
 最初はそんなもんかもしれないけれど、これサイト作って広告張ってもサーバー代になるかどうか……。
「はぁ……」
沙羽は収益化を考えると急にやる気を無くし、うだうだとネットを彷徨っていた。
「……うん?」
インターネットの、IT勉強会や交流会の項目。
 勉強は一区切りして、交流会でこういう時みんなどうしてるか聞いてみよう。
 沙羽は参加要請をした。
 そんなある日きぼうで、沙羽はぼおっとしているというのでもう車椅子に座っていない黒崎に持っていた杖で叩かれた。
「ねぇ」
「うん」
黒崎は苛立って言った。
「ねぇ、教えてよ、私とあなたの仲でしょ」
「え?」
沙羽はその言葉に驚いたが、黒崎は含み笑いを解かない、
「え?って何よ、へぇ、私達友達でもないんだ、あ、わかった、沙羽って社長が好きなんだ?で、友達でもないから、こんなに彼にふさわしい私の気持ちも考えないでいつもペチャクチャ仲良さそうにお喋りしては私に見せつけているんだ?へぇ、ずいぶん性格いいのね」
黒崎が言う性格いいが嫌味であることをさすがに沙羽はわかったらしく顔が曇った、でもそれよりも……
「社長とはここにいる時、プログラミングの話しているだけだよ?」
あっけなく沙羽は言ってのけたので、黒崎はちょっと力が抜けた。
「嘘」
黒崎は沙羽をさらに問い詰める。
「そんなことないでしょ?誰もが彼を好きになる、そう、私こそ彼に、彼こそ私にふさわしいわ、お金も地位も名声も、全て申し分がないじゃない、あぁ、きっといつか、そんな彼は車椅子のヒロインと真実の愛に目覚めるのよ」
あったねそんな映画、と沙羽はふと幾分世間知らずのことを言って首を傾げた。うん……お金?地位?名声?
「そうなの?」
沙羽は素朴に聞いた、黒崎は慌てた
「って、あんた、わかんないで話していたの?」
「知らない、小説ばっかり読んでいたし」
沙羽はなんてないことのようにあっさりと言う。
「あんたって文学馬鹿ね」
と、沙羽はつい口を滑らせる
「あ、でも、黒崎さんを思っている人は一人知っているよ」
「え、誰、言って」
黒崎はムキになる。
「言えない、でも、優しいし、真面目だし、温かな人だよ」
沙羽の答えに、黒崎はきゃあきゃあと照れて言った。
「あぁ、それならばやはりそう、この魅力に、あの人は気が付かないはずはないのよ」
何か納得して小さないつもの部屋へ帰っていった黒崎に、沙羽はほっとしてパソコンで熱心に何かを始めた。

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