君は希望を作っている #18

「きぼうを見ようか」
 きぼうの休憩時間に、まだ希望を食べることにこだわってあいかわらず希望の入荷がない楽天やAmazonを眺めていた沙羽に沙羽の支援者がそう言った。
「え?」
「ほら、きぼうって日本実験棟になかったっけ?」
「あ」
沙羽は忘れていた、とでも言いたそうにGoogleの画面からJAXAのサイトへ飛ぶ。
「へぇ、沙羽さん宇宙に詳しいんですか」
「うん、まぁね、子供の頃は博士だったらしいよ、成育歴にあった」
いつも黒崎についている支援者と沙羽の支援者が雑談する。
 日本実験棟「きぼう」、そうか打ちあげしているんだ、そうか、確かに宇宙にならありそう。でもそんなにお金かかるのかぁ……で、宇宙食かぁ……食べたいなぁ。
 沙羽の地域だと朝二時三時の時間らしい、方向もサイトに書いてある。
 沙羽はこうなると断然きぼうを見ようと息巻いた。
 その日帰ると沙羽はちゃっちゃっとみんなの回鍋肉を作って食べて、歯を磨いてシャワーを浴びて八時には寝てしまった。
 スマホのアラームは三時五十分。
 ピピピ、アラームに起こされて沙羽は伸びをする、爽やかな……朝?夜?じゃあ、とパジャマを普段着に着替えて、何も持たずに玄関を出る。
 紫の空に街灯が光る、ところどころ、もう明かりがついている家もある。
 三日月が見える、その欠けたところを、知らない星が照らす。
 で、希望はどこだろう?
 沙羽はスマホでJAXAのサイトを見て、方角を確かめる。
 ところがアクシデントはあった、南南西がわからないのだ。
 沙羽は慌てた
「あぁそうだ、この街に越してきて一年だから、また方向確かじゃないんだ」
さて、月がこっちだから……でも今の時間の月ってどっちの印なんだろう?あぁもう、あの星々のどれがきぼうなんだろう。
 その時、大きな星をなんとなく見つめていた沙羽の目を、一つの光る筋がかすめた。
 沙羽は飛行機かな、と言った。
 それにしてはなんとなくだけどなんか変。
 滞空時間長いし、ていうか、成田にいくなら、もっと低く飛ぶよね?
 あれがきぼうかな?
 尾を引く光の筋、空が明けて消えて行くあれはきぼうなのか、それとも雲に隠れていまったのか……沙羽はスマホで写メを取ることも忘れて見入っていた。
 そんな沙羽を、母は小さいころから変わっていないのね、と言った。
 沙羽は綺麗だけどあれで食べるのは私には難しいかも、と言った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?