柚葉×夏川 対談 4
対談その4です。これでとりあえず区切ります。
・晩年様式美 柚葉 晩年様式美ですか、これがなぁ、難しいんだよなぁ、はっきり言ってなぁ……。
夏川 (笑)
柚葉 やっていることはわかるんですよ、やろうとしていることはわかるんだよなぁ、つまり、田亀ってのがあるでしょ、これが要するに死者と生者をつなぐっていうのを「取り替え子」でやられたけれど、これが多分最初に出て来たのは「取り替え子」ですね。で、田亀っていうのが出てきて、録音された言葉を、ヘッドフォンで聞いていく。
夏川 これも録音されているけど大丈夫ですか(笑)。
柚葉 まぁ田亀みたいなもんですね。で、大江さんが田亀で聞いていると。で、死者とのコミケーションを可能にしているんだみたいなノリで「取り替え子」はやっていたわけですね。ところが、このやり方けっこう批判されているわけですよ、けっこうな批評家に、「そんなもん自己満足ではないか」みたいなこと言われる、と。
で、次「さようなら!私の本よ!」に行くとなんかビデオカメラが出てくるんですよね確か。で、そのビデオカメラでお互いに撮るみたいなことをやって、これもまた死者と生者をつなぐみたいな役割として使う、ということをやっていって、で、次に「水死」が来て、本作が来ると。
で、「晩年様式美」になるとまた田亀が出てくるわけですよ。でもここで一つ書き換えを行っているんですよ、小説の、っていうのはつまり「取り替え子」では伊丹十三ですが、要するに自殺したんだっていう風に理解していたところを「晩年様式美」では事故なんじゃないかっていうふうに書き換えた……。
夏川 自殺でなければ、地獄に行くことはない、という風に。
柚葉 そうそう、で、地獄に行くことはないから田亀を通してコミニオンとかいう概念を作って、生者と同等の自立性を持つような存在として死者を扱った、という壮大な話であるらしい。
で、最後自作の詩で閉じているんですけど。
これがなぁ……どうなんだろうなぁっていう感じしますけど(笑)。
夏川 じゃあ例えばですけれど、「さようなら!私の本よ!」のことで、私福島で被災したんですけど、この本って3.11前じゃないですか。
柚葉 前ですね。
夏川 前だけど、何だか知んないけど大きな地震の話が出てくるじゃないですか。
柚葉 そう、出てますね、「予言した」みたいなことを言われているけれど、どうなんだろうなぁ、とは思いつつ。
夏川 まぁ地震国だからどっかで地震は起きますけどね。
柚葉 まぁね、そうなんですよ、それは起こるんだけれど。しかし、じっさいにその後、非常にデカいのが起きた、と。あまり現実感がないほどデカいのが起きました。で、その後「水死」が出て「晩年様式美」が出て……、大江さん自身は過去の書直しに向かって行った。書き換えが必要だと思われたのでしょうか。
で非常に書き換えをしたいと。その一環として「大江健三郎自選短編」っていうのがあるわけですが、調べてみたところ、これはかなり手を入れているらしいですね。で、大江さん自身がこういう書き換えをし出したのは結構最近のことなわけですよ。っていうのも、桑原丈和さんっていう研究者がおられて、その方が1997年「大江健三郎論」っていう本を出されたんですよ。で、そこには大江健三郎の作品の書き方として「大江健三郎のように雑誌初出の形態のまま単行本に収めることの多い小説家もいる」と書いてある。だからまぁこの当時大江健三郎は今ほど書き換えるっていうことをしてなかったらしい。
それを何故か「さようなら!私の本よ!」が出た後に地震が起きて、「自選短編」っていうものを編んだり「晩年様式美」を書いたりする中で自作の書き換えということを真剣にやられている感じがするんですよ、これにどういう意味があるんだとか思ったんだけれど。まぁでも究極的なことを言えばこの「晩年様式美」の伊丹十三が自殺ではなく事故であったという書き換え、これが一番大きい気がするんだけど……。
夏川 大江健三郎さんの義理の弟は伊丹十三ですけど、小説にでてくるのは吾良さんですよ。
柚葉 そうそう、いつも現実と混合するんだよなぁ。
夏川 モデルと混同しないほうがいいかもしれないですね、ちょっと。
柚葉 これは別に伊丹十三じゃなくてもいいんだよね。モデルとしては。
夏川 知ってる人で石田衣良って作家さんと吾良さんが字面が似ているから勘違いしていた人がいた。
柚葉 なるほど。だからさぁ、例えば「渡辺一夫」みたいな人がいるじゃないですか、大江さんが慕っていた。渡辺一夫でもいいんだけど、伊丹十三でもいいんだけど、ま、結局は誰でもいいのですが(笑)。だからまぁモデルはどうでもいいとして、大事なのは書き換えっていうことを大江さんがやろうとしていると、そういうことを震災以後真剣に取り組まれるようになったっていうことは、まぁ重要視していいのではないか。
夏川「死」が身近に感じたんじゃないでしょうか。
柚葉 それはそうですね、「晩年様式美」でもおっしゃっておる通り、おっしゃっているっていうかまぁ小説の中だけど、そういうのを自覚されたっていうのはあるのだろう。それが、いわゆるサイードのいう「イン・レイト・スタイル」なわけですね。むろん、大江さんとサイードの「イン・レイト・スタイル」という言葉の解釈には少し隔たりがあるのですが……。
夏川 この「死」は、老年性のものとははっきり別ですねこれは。
柚葉 そうですね。
夏川 震災とか色々、自分の身近で起きたことで心に何かが起こったのかもしれない。
柚葉 だからまぁ、大江さんは今非常に孤独な作家なんですよね。本当に孤独な作家なんじゃないかなぁ。
夏川 孤独ですねぇ。
柚葉 孤独だと思いますね……。
夏川「もう小説は書かない」って言っていますよね?
柚葉 それしょっちゅう言っているけど(笑)。
夏川 しょっちゅう言うから、「またどうせ書くんでしょ」ぐらいのことは思っていますけど実は(笑)。
柚葉 しかし、じっさいに老境にかかってらっしゃるのは確かですね。
夏川 で、私は大江さんに何かあったらそれをTwitterで言うんですかね?最近ネットニュースの方が新聞より早いから。
柚葉 まぁ、そうそう亡くなられるということはないと思いますが、それにしても「大江健三郎全作品」を出すのは時期尚早だったというか……じっさい、「青年の汚名」とか、「夜よ緩やかに歩め」とか、全部網羅出来ていないんですよね。
夏川 大江さん全部直すとか言い出すんじゃないですか(笑)。
柚葉 だからもう早く死んでもらわないと(笑)。
夏川 死んでもらわないとって、そういう話になる(笑)。
柚葉 いや、もっと凄まじい名作を書いていただく方が大事なことなのだけど。……で、縁起でもない話は抜きにして、何の話でしたっけ。
夏川 さっきの『女たち』ですよ、で、私思っていることがあって、大江さんって娘さんがいらっしゃるんですよね、で、小説を読んでいると、「面白い人生を生きろ」だのめちゃくちゃじゃないですか、こういう父親がいたらけっこう大変だなぁと思っていて、障がいがある弟がいるかどうかは別として。
柚葉 たまったもんじゃないですね。
夏川 普通に働こうとすると今度は「じゃあ子供は一人で産むのか」ぐらいのことを言うんですか?
柚葉 ……。
夏川 じゃあって専業主婦になったりすると、「それは面白い人生ではない」ぐらいのことは言いそう。
柚葉 すごく厭な奴ですね(笑)。
夏川 小説の賞取ったら小説の賞取ったで、「小説の賞ぐらいなんだ」ぐらいのことは言いそうですけど、どないせいつうねん(笑)。
柚葉 まぁでも親はだいたいそうですよ。親はだいたいうるさいもんです。大江さんじゃなくっても、それは。
夏川 いやぁ、普通の親以上にうるさいでしょう。
柚葉 頑固なところありますね。
夏川 あとずっと思っていたんですけど具体的に大江作品の女たちってコンパいかないですよね?
柚葉 コンパ行かないでしょう。
夏川 コンパとか、婚活パーティーみたいなとこ行ったっておかしくないんですけど。
柚葉 そうだねぇ、行くのが自然かな、確かに、そうですよね、なんでだろうなぁ、コンパ行かないよなぁ……。
夏川 行かないですよねぇ。
柚葉 コンパっていうのがそもそも大江さんの意識に無いんじゃないかなぁ、まぁ大江さんを普通の人だと思ったらいけない、やっぱり言うてもずっと小説家だけやってきた人だから、コンパっていうのを知らないんじゃないかなぁ、下手したら。
夏川 大江さんぐらいの年代で、コンパを知識として知っているとして、逆に普通に出さないとか?
柚葉 つまりその、俗っぽいものを出さないっていう所はかなりありますよね、前期の馬鹿っぽい女の反動かなんか知らないけど、やたらとアカデミックな所ばかり舞台にするじゃないですか、「晩年様式美」もそうだしさぁ、「さようなら!私の本よ!」なんかでも大江さんと同レベルの詩の読解が出来る人がポンポン出てくるじゃないですか。王朝的ってこともないんだけれど、やっぱり上流階級的な書き方しますねぇ、大江さんは。
夏川 大江さんが上流階級かどうかは。
柚葉 まぁでもあの時代、やっぱり東大行ったってことは相当なエリートですよ。大江さん自身、エリート意識はかなり強いと思います。労働者階級の人間をあえて書いていないのか……。
夏川 もっと素朴な理由だったりしませんか?同世代にガテン系の生活を書く作家さんがいたから書かないだけっていう、「あいつ書くんなら別に俺書くことなくね?」みたいな。
柚葉 う~ん、そうねぇ、つまり中上 健次とか、あの辺のことか、そうか……。
夏川 だって西村賢太がいる時代に男の貧乏生活を書いたってしょうがない、「コンビニ人間」の村田沙耶香さんがいらっしゃるのに女性非正規の貧乏ネタをやってもしょうがないじゃないですか。
柚葉 そうなんだけど、まぁ逆に町田康がいるのに西村賢太が書き出したのがよくわかんないんだけど……。
夏川 賢太さんは賢太さんで崇拝している小説家がいるから、ある人間があれだけ売れているのに工場でバイトをしていることを書いているって言う。
柚葉 高橋源一郎なんかだと、本当に書くべきなのは肉体労働をしていたときのことだ、みたいなことを後から言うわけです。そうなんだけど、いざとなると書かないよな確かに。
夏川 現時点で肉体労働をしている時は、疲れて小説を書く時間がないかもしれない。
柚葉 もちろん、書かない。あとまぁストックしておきたいというのもある(笑)。あとそもそも大江さん肉体労働してないもんなぁ。
夏川 出来ないっていうか。
柚葉 ……で、話を元に戻しますが、「晩年様式美」では三人の女たちが出てきて、で大江さんのことを割合ボロクソに言うんだけど、言うても身内だからって感じはしますけれど……。
夏川 核心はつかない。
柚葉 やっぱり、核心的に大江さんが傷つくようなことは言わないようになっている。
夏川 そうですね、やっぱ大江さんが「私」とは切り離されているっていうのは前提として、でも作者が大江さんってことは、大江さんが聞きたいことを言う、大江さんが傷つくことは言いませんよね。
柚葉 まぁ割と言っているけど、核心ではないですよね。
夏川 他の小説家って、女を色んな風に書いていて、だいたいだけど妻と娼婦と娘とそのぐらいしかいなかったりするじゃないですか。
柚葉 そうですね。
夏川 そうじゃない女って、妻と娼婦と娘以外の女がいるっていうのは?
柚葉 それは例えば彼女だったら妻と認識していいってことですか。
夏川 彼女が、後に妻となったらやっぱり妻ですかねぇ。
柚葉 じゃあ例えばボーイミーツガールってあるじゃないですか、青春もの、ああいうのだったらなぁ、どうなるのかなぁ。
夏川 例えばですけど「ズートピア」あるじゃないですか、あれはボーイミーツガールっていうか友情近いじゃないですか。
柚葉 あれは友情ですね。まぁ、動物の種類が違うというのもありますが(笑)。
夏川 あぁいう書き方をする男性作家っているかなぁとか。
柚葉 完全に友情として扱うってことですか、男女を、友情として書いていてなおかつ女性キャラクターを魅力的に書く、と、そういう人がいるかどうかと……、いませんね。やっぱなぁ、恋を書いたら小説っぽくなるわけですよ、でも本当は友情を書く方が大変だしやりがいがあるような気がするけど、恋を書いた方が受けがいいからみんな書く、それだけなんだろうなぁ、多分。しかし男女の友情は、いやいや全然ありうると思いますよそれは、ありうるけどどうなんだろうなぁ……。書く価値があるかどうかの天秤で、みんな迂回してしまうのではないかな。
夏川 私がわりとよく言われるのは「男とか女とか関係なく好き」っていう。
柚葉 どういうことですか?
夏川 なんか、異性として好きっていうんじゃなくて、人間として好きっていう好きらしくって。
柚葉 夏川さんをってことですか?
夏川 なんか私が男の方に寄っちゃってる系の?みたいな。
柚葉 あぁなんだろうねぇ、それは女性からも好かれる感じですか。
夏川 いやぁわかんないです、ちなみにそれを言ってきたのは男の人です。
柚葉 それ友達として見ているんだっていう宣言ですかね(笑)。
夏川 いやぁ、仕事仲間だから、異性として見ていたかどうかもわからないけれど。
柚葉 う~ん、難しいなぁ、でもそういう女性はいるしありうるし小説に書いても全く問題は無いんだけれど、あんまり書かれない、書くとしても、例えば小学校の頃とかそういう風であって、成人同士となると、すごく少ない。どうしても途中で恋愛になっちゃう。
夏川 例えば私なろうに公開している「誰かを待ちながら」がトランスジェンダーていうか、体が女性で外見がちょっと女性的で自分を男だと思ってる系なんですよ、それどうしてそういう設定にしたかっていうと、IT起業家って人を小説に書こうとしたときにちょっと調べたらなんか男の人しかいなくって、「つまんない」って思って、実力勝負でどっちでもいいんだったら女性がいてもいいと思って、でも普通の女の人でも色々なんかありそうだから、FTMのゲイにしたんですよ。
柚葉 そこまでしなきゃいけないのかなぁ(笑)。小説にする時は。
夏川 そこまでする必要があったのかどうかは全くわからない。
柚葉 まぁ、しかし難しいですよね。
夏川 男の人ばかりで作ったことは事実ですよね、だって名のある人だいたい男ですよ、半分くらい。
柚葉 まぁでも半分くらい男なら女いるじゃないですか(笑)。
夏川 半分以上だったかなぁ。
柚葉 まぁいないっちゅうことはないわけですよ。いないってことはない。
夏川 いないっていうことはないけれど。
柚葉 まぁ単純に興味ある女性が少ないってことじゃないですか?
夏川 単純に興味が無いってだけかなぁ。
柚葉 IT系でも、すごい方、たくさんおられますよ。それが男勝りかどうかはちょっとわかりかねますが……。
夏川 男勝りっていうのと、商売できるかどうかはちょっと別の話じゃないですか?
柚葉 まぁ勿論そうですよ。
夏川 女性的に仕事をすることで儲かるジャンルもある。
柚葉 それは、いくらでもある。で、話を戻しますが……。
夏川 男女の友情みたいなこと小説に書くって人がいないって話ですよ。
柚葉 だから、勿論書けるし書いてもいいんだけど、書いた途端頭のどこかで「こんなの嘘っぱちだ」って声が聞こえる気がするんですよね」
夏川 そうですかね。
柚葉「そんなの嘘っぱちだ」って言ってくるから日和って途中から恋愛になってしまう。
夏川 多分大江さんの初期の女たちが頭軽いのと同じような理由が蔓延っている。
柚葉 はいはい、あんまりないからっていう……。
夏川 どう書いていいかわからない。
柚葉 後は単純に着目する人が少ない(笑)。なんと言っても、恋愛の時代ですからね。
夏川「ズートピア」を念頭に置いて書いたらどうなるんですかね。
柚葉「ズートピア」を念頭に置いて書く、つまり男女の友情だけを書くぞ、とずっと続けるわけですか、それはねぇ、できるでしょうね、技術としては可能だろうなぁ、技術としては可能だからやってもいいんだけれど……、あんまりやらない。
夏川 年若い人はわりかしやるだろうけどね。
柚葉 単純に面白くなるのかどうか。なんかなぁ、難しいよねぇ(笑)。
夏川 もしもし、そういえば何か聞きたいことがあるとか?
柚葉 あ、いや大丈夫です、意外と自作のお話が伺えましたし(笑)で、そろそろ本題にも触れておきますかね。「晩年様式美」、どうですかこの小説は。
夏川 ぶっちゃけこれ最後の小説って思っています本当に?
柚葉 いやぁ、寂しすぎじゃないですか。やはり「水死」の完成度が圧倒的なので。じっさい、大江さんは今も書かれていると思いますか?
夏川「発表はしないけど書いている」に一票。
柚葉 しかし、書いたってことは、焼かない限り嫌でも発表されるでしょうしね。
夏川 死後ぐらいにドカーンと出るとか。
柚葉 そう、つまり未完であったとしても書いていれば我々の目には触れるだろうから。書いてらっしゃるとは思いますね。一生懸命自分を否定してらっしゃるかもしれない(笑)。
夏川 構想は考えてそうですけどね、「おかしな二人組」と「三人の娘たち」が年取って新たなこう「これは作者のことだ」ってみんなが勘違いするような仕組みとか、あるいは逆に、自分を離れた初期に寄せたようなことを考えるとか。
柚葉 つまり作り物の小説か今の路線の延長として書いて行くかってことですねぇ……、まぁ俺は大江さんの想像力に期待したいですけどね。なんてったって日本で一番凄い小説家なんだから。それは間違いないのだから。
夏川 ただこの「晩年様式美」はとっかかりって言うか、大江さんのファンっていうか作品ずっと読んでいた人ならわかるけど、これだけポンと渡されてもわかんないと思いますよ。
柚葉 勿論そうですね。ずっと読んできていないと、なんのことやら判らないという批判は常に受けてらっしゃる。しかしそもそも、もう大江さんってあんまり読まれてない(笑)。たしか、「水死」が出た時僕リアルタイムで買ったわけですよ、で、帯があって売り文句が「平坦な文章で小説の面白さを追求した」みたいなことが書いてあったわけですよ、だから、あんまりにも売れないわけだから、内容にさえ触れて無くて、で、大江さんって悪文ってよく言われるからそれで毛嫌いしている人にも売ろうっていうさぁ、そういう出版社の魂胆ばかりが見えるんですよ。で、当時の書評とか見ても「平坦な文章である」「平坦な文章である」って書かれていて、全然真剣に論じてくれないんですよ、みんな。「水死」なんて、本当に凄い小説なのに。
夏川 あぁ。
柚葉 そういう虚しさっていうのは大江さんもあるだろうなぁ……。
夏川 えぇっと、十時になるので一旦切り上げますか。
柚葉 えぇ、まぁとりあえず以上としましょう今回は。
夏川 またなんかあれば。
柚葉 また続きあればやりましょう、また。
夏川 お疲れさまでした、女たちじゃなくて文章でもなんかできそうですね。
柚葉 まぁまぁ、お疲れさまです、今日はじゃあありがとうございます。
夏川 お疲れさまです。
―終―