書店巡り
こんにちは。空飛ぶチェリーパイです。
趣味の散歩がてら書店巡りをするのが好きだ。
街を歩きながら、新しい本に出会ったり、気になる作品を手に取ったりする楽しみは、Amazonを始めとするオンラインでは味わえないものがある。
書店に入ると、静かで落ち着いた空間から本の匂い(紙の匂い、インクの匂い??)が漂い、棚には多種多様なジャンルの本が並んでいます。気になるジャンルの棚から本を選ぶ際に心に余裕をもたらし、じっくりと本と向き合うことができる。
また、店員さんが一つ一つ書いている手作りPOPを見るのも楽しい。
話題の新作や大賞作品などは、POPを参考に購入させてもらうことも多く、年間100冊をの本を読む自分にとってはとても参考になる。
書店の現状
ただ電子書籍の台頭などにより、出版を取り巻く環境は厳しい。
出版科学研究所が発表した2022年(1~12月期)の出版市場規模は、紙と電子を合算して1兆6,305億円と前年を2.6%下回る結果となった[1]。
また書店の倒産も進み、出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によると、書店が一つもない「書店ゼロ」の市区町村は全国で26・2%にのぼる。
「書店文化を守るため」として、ネット書店の規制など国による支援の検討も始まった。だが、そうした方向性に疑問の声もある。
このように厳しい環境下でも、本に魅せられた人々の本の価値にフォーカスした新しい取り組みは行われている。今回はその取り組みの一部について紹介したい。
TikTok売れ
数年前からTikTok上で本を紹介することが流行している。
「Book」と「TikTok」を合わせたハッシュタグ「#BookTok」は、2023年12月1日現在2,010億回(201B)以上の動画が再生されている。
TikTokは他のSNSと違い、フォロワーが少なくてもおすすめコンテンツに表示される仕組みとなっているため、初めての投稿やフォロワーがいない人の投稿の場合でも、再生数が数十万回となることもあり、一気にバズることも珍しくない。
そのような爆発的な拡散力により、TikTokをきっかけにサービスやモノに注目が集まり大量に商品が売れる「TikTok売れ」という現象も起こっている。
出版業界・書店業界にもその波は広がり、アメリカの書店では「#BookTok」で話題になった本を集めたコーナーができる程である。
カナダの図書館では、「#BookTok」で話題になった20タイトルの2019年9月から2022年8月の貸出データを調べたところ、貸出が561%も増加したとのことである。
日本でも「小説紹介クリエイター けんご」がTikTokで紹介したことで、増刷された書籍が多数ある。約30年前に発表された筒井康隆の作品『残像に口紅を』は、「けんご」が紹介した後、4カ月で11万5,000部の増刷につながった[4]。
賞や部数、出版社のおすすめや著名人の書評から本を選ぶのではなく、同年代のユーザーや自分に近い存在のユーザーから本を紹介されることで読みたくなるといった口コミの効果は以前からあったが、TikTokの爆発的な拡散力でその威力は格段に増し、新しい読者を獲得している。
無人書店ってどうなの?
また、書店の無人店舗もぞくぞくオープンしている。
東京メトロ銀座線・南北線 溜池山王駅構内には、完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」が昨年オープンした。
書店の利益率は他の小売業と比べて低いと言われているため無人店舗により、人手不足や人件費を抑えて収益構造を改善し、時代の波やニーズに合わせた持続可能なビジネスモデルを模索しているように感じる。
色褪せない本の魅力
書店の閉店や読書離れなど、出版業界は苦境に立たされている。
電子書籍の普及やオンライン書店の台頭により、書店が閉店してしまうのは仕方ないと思う一方で、店舗は全く不要と思っている人は少ないだろう。
街に書店がなくなるということは、街として大切なものを失ってしまうように感じる。
子供の頃、母親がスーパーで買い物している間に父親と隣接されていた本屋に行き、「好きな本一冊買ってあげる」と言われ、後悔しないように色んな本を探したことをよく覚えている。漫画にしようか、図鑑にしようか色んな本を手に取り、選び抜いた一冊は宝物探しと言っても過言ではない気がする。
買ってもらった時とても嬉しかった。と、同時に買ってもらえたことと同じくらい自分で選ぶ楽しさをよく覚えている。
オンラインの良さはもちろんあるが、自分で手に取り選ぶことができる環境や選ぶという環境は必要だと思う。
もし自分が結婚して子供を授かることがあったら一緒に本屋に行って、選ぶ本のジャンルから成長を感じるようなことができたら幸せなんだろうななんて考えてしまう。
好きな本に魅せられた人々は、時代に流されることのない本の普遍的な価値に着目して、自ら動き出している。
これらの取り組みは、読書文化の活性化や書店の復権につながる重要な意味を持つと思いたい。
ではまた。