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Pilot's note NZ在住Ashの飛行士論

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NZ在住のパイロットAshによる飛行士論です。パイロットの就職、海外への転職、訓練のこと、海外エアラインの運航の舞台裏などを、主に個人的な経験に基づいて事実と意見を織り交ぜ、毎回…
自分が訓練生だった時に、こんなレポートがあったらよかったな!と思えるような内容を意識しています。自…
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#パイロット

Pilot's noteの有料記事を全て「返金可能」としました!

いつもAsh のnoteをご覧いただきありがとうございます。メインで「運航」しております有料マガジン「Pilot's note」についておしらせします。 この度、有料マガジンご購入者の方々の利益を守りつつ、より多くの方に私の有料記事を読んでいただくために、有料マガジン「Pilot's note」に格納されている全ての有料記事について、本日ご購入分から「返金可能*」としました。同時に、各記事の価格の改定も行なっています。 ほとんどの記事でちょい値下げしました。 有料記事の

正常性バイアスを断ち切るのは簡単ではない、が

本日のネタはこちらになります。 FL120と言われたのに、FL130だとキャプテンに言われた。流されそうになったけれど、踏みとどまって確認したら私の方が合っていた。と言う話。当たり前の話に聞こえるかもしれないが、英語圏で飛んでいると、英語がネイティブの人たち(周りのほとんどがそう)の「英語の間違い」を指摘するのは、とても難しい。今回は踏みとどまれたけど、こういう罠はそこいらじゅうに散らばっている。 正常性バイアスを断ち切るでも、正常性バイアスを断ち切る、と言葉では簡単に言

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ジェット機に100時間乗って感じたプロペラ機との違い

ジェット機のA320に乗っておよそ100時間。 ターボプロップ(プロペラ)機のATRから移って最も難しいと感じた違いは、やっぱり降下プロファイルとスピードの管理(エナジーマネジメント)だった。頭の整理も兼ねてちょっとまとめてみる。 プロップは運用限界高度が25000ftで、運用限界速度(VMO)は250kt。滑走路から降下開始点(TOD)にVNAVが引いた降下プロファイルは基本的にずっと3度のままで、降下開始したらパワーオンでずっとその3度を降りていけるし、巨大なプロペラ

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3C's:リスクをとるときのフレームワーク

今回は、リスクのあるオプションを取る判断をする時に使うフレームワークの「3C's」なるものについて書いてみよう。前回の有料版で書いた通り、出典はこちら。 3つのC具体的には、Criticality、Consequence、Control の三つの頭文字のことだ。 Criticality(目的の重要度) そのオプションを取ること、つまりミッションの目的が、どれだけ重要なことかを指す。重要なことであればあるほど、危険を顧みずにそれのオプションを完遂する動機が強くなる。 C

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プロフェッショナルと職人の違い

プロフェッショナル(プロ)とは何か。 個人的には、プロの定義は、職人との違いと対比するとわかりやすいと考える。 プロは、報酬(外的動機)の範囲内で、要求された仕事を満たし、しくじった時のリカバリー方法(会社や組合や保険)確立している組織で働く専門職。つまり、もらった金の分の仕事はきっちりやるけど、それ以上の仕事はしない。自分の責任の範囲を超えた仕事もしない。 一方、職人は、自らの美学(内的動機)によって、ある前提条件のもとで仕事の質を極限まで高めようとする。基本的に、失

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ルールを破ったことはありますか

Behavioral Questionsの中で嫌なものには、「ルールを破ったことはありますか」がある。この質問は、その人の「正直さ(Honesty)」を聞いている質問で、これに「Never」と答えてしまうと、嘘をついているのでは、疑われてしまうことになりかねない。 パイロットだったら「SOPを破った時のことを教えてください」とか。いや、百歩譲ってSOPはもしかしたら今まで一度も破ったことがないかもしれないけれど、おそらく自動車の法定速度を1km/hも超えたことがない人はほと

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就職面接の鉄板 「Behavioural Questions」とは

私の経験上、海外の(エアラインの)人事面接では「Behavioural Questions」による質問が大半を占める。 「Behavioural Questions」とは、簡単に言うと 「過去に、こういう状況になった経験談を教えてください。その時あなたはどう対処しましたか。」 というフォーマットによる質問である。この手の質問は、とても注意深くデザインされていて、面接を受ける側は以下の「S.T.A.R. method」によってストラクチュアルに返答するのが望ましい。 S

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月の裏側で、判断を間違えないために

高級車がいくら高い高いって言っても、せいぜい数億のところ、格安を売りにしているATR72ですら、20億円はする。ジェット旅客機になれば100億は下らない。プライベートでは中古のトヨタに甘んじている男が、20億円の飛行機を1機任されるんだから、パイロットてのは全くおっかない仕事だよ。 オイラはまだしがないFOだけど、今後コマンド(キャプテン)をとるってことになると、やっぱり緊張しちゃうよね。飛行機の価格はさておき、やっぱり後ろに生身のお客さん乗っけているんだから。それが、全部

パイロットのまとう雰囲気

パイロットには、外見から滲み出てくる特徴がある気がする。 男の場合、髪は短く、まっすぐ前を見て話し、握手が力強い。常にリラックスしていて、細かいことにあまり頓着しない一方で、大事なところは外さない。 そういう性質が、服装や表情などの外見を通して、ある種の「雰囲気」としてまとわりついている気がする。だから、なんとなくぱっと見で「あれ、こいつもしや」と思うことが多い。 もちろん、そうじゃないパイロットもいるし、女性の場合はわからないことが多いけれど、なんとなくそんな気がする

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舞台裏の話。

今回は、このツイートの舞台裏についてです。

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就職面接では、当たり前のことを言うべし。

エアラインに限らず、会社に就職する時によく聞かれるのが 「なぜ当社を志望したのですか」とか 「なぜ当社でなければならないのですか」とか 「他にたくさんある中で、なぜ当社を選んだのですか」 というような「なぜ当社なのか」攻撃です。 真面目な受験生は、いかに御社が素晴らしいか、いかに「ふぃろそふぃー」に共感したか、カスタマーサービスが云々閑雲、、を、言葉を尽くして説明してしまうと思います。 それは、悪いことではないと思いますが、しかし、本音はどうでしょう。 「いや、

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海外エアラインの試験ってこんな感じ(n=4)

海外のエアラインに応募するときの具体的な段階について、説明してみます。 でっかいところから小さいところまで、私が今まで試験まで進んだ航空会社は4社です。合格したところ、シムまで行って落ちたところ、ウェブ面接まで行ったところ、学科スクリーニングで足切りされたところと色々あります。もちろん、アプリケーションを入れただけで縁がなかったところは数しれずあります。 受けた地域はオセアニアとアジアです。アメリカとヨーロッパは受けたことがありませんから、ちょっと違うかもしれませんが、私

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エアラインパイロットの給料とキャリアについて

先日、ツイッターでこんなのが。 アメリカは国土が広いから、国内線といっても軽い国際線みたいになることもあるのだろう。何しろ、国の中に時差があるんだから。 私はUSで飛んだことがないので本当のところはよくわからないけれど、リージョナルで下積みして、メジャーやレガシーの「国内線」でさらに下積みして、やっと国際線にたどりついたところで「うまみ」を享受することができるという仕組みになっているのかもしれない。 NZの場合翻って、人より家畜の数の方が多い国、ニュージーランド。 国

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クリスマスイブはシミュレータ訓練でした

正確には、24日は日程3日目の移動日で、シム自体は22/23日でした。 いやー。 疲れた。定期審査ってのは本当に疲れる。1回4時間、箱の中に入ってトラブルに対処し続け、いっくらベストを尽くしてもダメ出ししかもらえない。とはいえ、Good Goodって言われるとそれはそれでなんかうさんくさい。笑 でも、シムでいい評価をもらうためにパイロットやっているわけではない。そこんところを間違えないようにしないといけない。 後出しジャンケンのダメ出しは宿命コクピットである問題に対処

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