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Pilot's note NZ在住Ashの飛行士論

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NZ在住のパイロットAshによる飛行士論です。パイロットの就職、海外への転職、訓練のこと、海外エアラインの運航の舞台裏などを、主に個人的な経験に基づいて事実と意見を織り交ぜ、毎回…
自分が訓練生だった時に、こんなレポートがあったらよかったな!と思えるような内容を意識しています。自…
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#ニュージーランド

Pilot's noteの有料記事を全て「返金可能」としました!

いつもAsh のnoteをご覧いただきありがとうございます。メインで「運航」しております有料マガジン「Pilot's note」についておしらせします。 この度、有料マガジンご購入者の方々の利益を守りつつ、より多くの方に私の有料記事を読んでいただくために、有料マガジン「Pilot's note」に格納されている全ての有料記事について、本日ご購入分から「返金可能*」としました。同時に、各記事の価格の改定も行なっています。 ほとんどの記事でちょい値下げしました。 有料記事の

コマンド昇格に向けて普段から意識していること

入社時期が近い連中が、だんだんとコマンド、つまりキャプテン昇格をしている。かつて飛行学校で一緒に働いていたあるインド人も昇格を果たし、つい先日一緒に飛んだ。昔の同僚と一緒に飛行機を飛ばすというのも、なんだか変な感じだった。 私はというと、飛行機を変えたばかりなこともあり、横から見ていてまだまだ勉強のしどころがたくさんあるなあと日々感じている。もう少し自信をつけてから臨みたいところだ。 その自信は、どうすれば得られるかはもうわかっていて、日々のフライトでそれを体得しようとし

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今後のキャリアについて考えていること

今はターボプロップ機のFOとして飛んでいるけれど、いずれジェット機には乗ってみたい。 しかし、初めて飛行機に乗ってから10年以上が経ち、守るものが増え、実際にジェットで働いている人たちの話を聞くと、今までのように無邪気にジェットジェットと言えなくなってきた。 住む場所、家族の意向、給料の額、仕事自体の面白さ、そういったものを英語ではライフコミットメント(Life commitment:生活上重要な事柄)と呼ぶが、歳をとるにつれてこのライフコミットメントが増えてくる。ジェッ

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パイロットが心理テストを受けてみた結果 その1. 興味の方向 外向(Extraverted) v.s. 内向(Introverted)

前回の記事では、今後何十年と無事にパイロットを務めあげるために、ここはひとつ自分の「性格」とやらをよく知ってみようと考え、Webによる性格診断を試してみました。 今回受けたテストについて今回受けたテストは、NERIS Type Explorer®ですが、前回も少し触れた、マイヤーズ・ブリッグス タイプ指標(MBTI)なる性格診断テストによく似ています。 両者とも、その人が世界を見るときや、決断を下す際の「好み(=選好)」をアンケートで測定するという点が共通していますが、使

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パイロットに向いている性格はあるのか

「いやー俺ってばなんてパイロットに向いてないんだろう」 誰もが一度はそう考えたことがあるでしょう。(え?ない?そりゃ羨ましい) パイロットに向いている性格とは個人的には、「そんなもんはない」で決着がついています。 仮にそういう性格を特定して、そういう性格のパイロットだけを雇った会社を想定してみてください。そんな会社、危なくて飛べません。一般的に言って、単一性の強い組織は、外乱に対して脆弱です。ブレーキのない車みたいなものです。 大事なのは、いろいろな性格の人間が、お互

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【シム後記】 コミュニケーションツールとしてのエマージェンシートークと今回のシムの収穫

前回、オーソリティ・グラディエント(権威勾配)の話をしました。そして、最後に今回のシムで組んだキャプテンに対し、FOとして積極的に「物申す」には、どうしたらいいか、という問題提起をしました。今回は、それの回答編になります。 そのヒントは、前記事の最後に触れた「エマージェンシートーク」の中にありました。(↓◼️ が有料項目です。) エマージェンシートークとは運航中の航空機内では、キャプテンが乗客の安全と機の運航に最終的な責任を負っています。したがって、それを可能にするための

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【シム後記】コクピットにおける権威勾配とエマージェンシートーク

先日、シミュレータ試験がありました。今回のシムをネタにしようと思っていたので記事を書くのが遅くなりましたが、やっと終わったので今回学びになったことを書いていきたいと思います。 今回のキャプテンは、、今回もいろいろなことが起きました。 今回、相方になったキャプテンは、結構大雑把と言うか、知識もマネジメントもちょっとどうなんだろうと言う人に当たってしまいました。 これまで一緒に組んだキャプテンは、当然ながら、First Officer(FO)の私より知識と経験が豊富で、マネ

ATR機種移行訓練の総括

昨年の大晦日、私のDHC-8からATR72への機種移行訓練が終わりました。 ちょっと遅くなりましたが、今回のトレーニングを総括して見たいと思います。 2021年5月訓練開始グラウンドコースからシミュレータでのタイプレーティングまで、2ヶ月かかりました。その模様はこちらの記事に総括されています。 2021年7月路線訓練開始その後、ライントレーニング(路線訓練)に突入。ATRの操縦資格を持つ「学生」として、スタンダードキャプテンと呼ばれる路線教官資格を持つキャプテンと、通常

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VFRクロスカントリー考 倍角修正を解説します

前回の記事で、A地点からB地点に向けてナビゲーションを開始する「発動」手順として、3Tチェックを紹介しました。 今回は、その後どのようにナビゲーションを維持するのか、また、ズレが発生した場合にどのように修正するのかを解説します。 本稿を含めたマガジンの収録記事は、著者の私見であり、あくまで参考情報の提供が目的です。実際の訓練にあたっては、それぞれの国の法律を尊守し、担当インストラクターの指示を優先してください。 倍角修正3Tチェックで発動したあと、パイロットは保速、保針

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VFRクロスカントリー考 パイロットによるナビゲーションの実際「3Tチェック」

前回の話で、飛行機のナビゲーションの成り立ちをざっくりと解説しました。 黎明期に飛行士が道路地図を見ながら行った地文航法があり、航法士の登場で推測航法が発達し、それが今日の操縦士訓練における航法訓練の基礎となったと言う話でした。 また、推測航法には必ず誤差が含まれるため、これを地文をはじめとした補助航法でリセットしながら飛ぶことが航法の基本だ、と言う話をしました。 今回は、その実践をお話ししたいと思います。 本稿を含めたマガジンの収録記事は、著者の私見であり、あくまで

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VFRクロスカントリー考 ゼロから始める航法

飛行機は、A地点から離れたB地点に早く移動したい人間の欲望を叶えるために生まれた乗り物です。したがって、これを運航する操縦者には、AからBに正確にたどりつくための技術「航法」が求められます。しかし、言うだけなら容易いもの。実際にやるとなると、一筋縄ではいかないのが航法です。 地文航法大昔、パイロットが飛行機を飛ばしながら目視で目的地にたどり着くには、道路地図をそのままコクピットに持ち込んで海岸線や道路に沿って飛ぶしかありませんでした。 地上物標を飛び石のようにして飛んでい

VFRクロスカントリー考 HEROチェック2巡目と、エアライン運航に直接活きるスキルについて

本稿を含めたマガジンの収録記事は、著者の私見であり、あくまで参考情報の提供が目的です。実際の訓練にあたっては、それぞれの国の法律を尊守し、担当インストラクターの指示を優先してください。 前話はこちら 前回に引き続き、VFRクロスカントリーでのダイバージョン、つまり目的地の変更に対するプロシージャを見ていきます。「HERO」チェックの1巡目が終わったところでしたね。 HERO 2巡目は長期的対策2巡目のHERO、「Heading」では、目印に向かいながら、地図上の発動点に

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VFRクロスカントリー考 ダイバージョンについて

ニュージーランドの飛行訓練の一般的な傾向として、細かいところにあまりこだわらないところがあります。ビッグピクチャーを重視して、とんでもない方向に行っていない限り、ある程度の誤差は許容していきます。 これは、国民性もありますが、天気が変わりやすく、山がちな国土では、ものごとが計画通りに進むこと自体が珍しいためだと考えます。ETA(到着予定時刻)の算出も、定時性の確保というより、燃料を切らさないための時間管理が主な目的です。計画が変わるので、定時もヘチマもないわけです。 同じ

VFR クロスカントリー考 不時着をギャンブルにしないために

前話はこちら 本稿を含めたマガジンの収録記事は、著者の私見であり、あくまで参考情報の提供が目的です。実際の訓練にあたっては、それぞれの国の法律を尊守し、担当インストラクターの指示を優先してください。 さて、ニュージーランドで教えるエンジン故障による不時着(FLWOP)は、ある「理想的な」パターンを教えることから始まります。 不時着に理想もヘチマもないといえばそうなのですが、不時着をギャンブルにしないために「ある種のパターンを描いて、最終的に風上に向かって降ろす」ことを重

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