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poconen
理不尽な選択
夢が叶えられなくなるから、と出産した子を遺棄した事件。
信じられない、と言うだけの話しではない。
その感情は、私にもある。
赤ちゃんポストに赤ちゃんを預けてしまう。
そんなことをするのは人間じゃない。
じゃない、人間だ。
私だって、その道に進むことができた。
命の選別。旧優生保護法。内容を知れば知るほど、顔が歪んでくる。当事者は想像を超えるつらい思いを今も抱えている。
高齢出産を迎えると、病院で聞かれるし、気にする、出生前診断。どんな角度から考えても、答えは出ない。でも、障害当事者の友人と会えばおかしな話に見えてくる。
重度の身体障害者である私の友人。愛情たっぷりに育ってきた。でも、障害者であることで、理不尽な思い、悔しい思いをたくさんしてきた。人生経験が豊富である。
お腹の中に温かなものを感じたとき、そこに素直な喜びがなかった、そして周りもその喜びを感じられなかった。雨が降り出しそうな灰色の空の下、ゆっくりと病院院に入った。
まだ診察前の静かな病院。
診察台に横になり、10秒数える。
1,2,3,4,5,6・、7・・・・・
目を覚ました時、お腹の痛みと、人ではなくなったような感覚の中にいた。
泣くなよ。泣くくらいならなんであんな選択をした。手放してから、大切にするなよ。手放す前に大切にしないと。何を今さら。
何をどう、消化していいのかわからない。大切なんて思っちゃいけない。何かを伝えに来たのかなんて、夢物語を思っちゃいけない。
まだ、浮遊している魂。どこに落ち着かせてあげたらいいのだろう。
人が人を選別する、差別する、なぜそんな機能が人には備わっているのだろう。人は優秀な生き物じゃないのか。なんでそんなものまで備わっているのだろう。