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千と千尋の神隠し

金曜ロードショーはご覧になりましたか?
私はもちろんみました。

ジブリ作品は大好きすぎるのですが、金曜ロードショー以外ではみないようにしてるのです。
フレッシュな気持ちで観るには金曜ロードショーの間隔で観るのがちょうど良いのです。

宮崎駿監督にくっついて、一緒に作品を観ながら全部解説してもらいたい!
だって、中だるみするシーンとか無駄なシーンがひとつもないからです。
食い入るように集中してみました。
よきかな。

まず驚いたのが、この作品、18年前のものなんですよね。
18年も前のものだと違和感があるのが普通なんですが、それが皆無です。
昔の映画やドラマを見ると、ガラケーが出てくるシーンなどがあり、ずいぶん前の作品なんだなーと思うことがあるのですが、千と千尋は時代を感じさせないですね。

社会人になってそれなりに年数も経ってきた今。
千と千尋をみて考えるのは働くとはなんぞやということ。

千尋と同じく、私もここで働かせてください!とたくさんたくさん就職活動しました。
千尋と違って働かなくても豚にされたりはしないですが、この世界の掟だと勝手に思い込んで。
ここで働かせてください!
ここで働きたいんです!
と入社したはずなのに、気がついたら文句ばっかり言ってる自分に驚きます。(笑)
会社は千と千尋で言う所の湯屋なんですかね。
名前を奪われて、支配される。
アイデンティティの剥奪。

千尋は千になりかけていて、本当の自分を見失いそうになります。
私は今どんな状況なんだろ。
見失ってるのか?
文句ばっか言ってるってことはそうじゃないのか?(笑)


今回、リンと釜じいのやさしさがとても身にしみました。
こういう人、職場にいるのですよね。
リンみたいに男勝りで、何かと気にかけてくれて助けてくれる先輩。
釜じいのように、いざという時にいつも頼りになるやさしさに溢れた人。

会社は仲良しクラブではないから、いろんな人がいます。
なんなんだ、と思ってしまう人もたくさん。
というかそんな人ばかり。

だけど、リンと釜じいみたいな人もいるんですよね。
なんなんだ、と思ってしまう人ばかりの社会で、リンと釜じいに出会えたことがありがたすぎます。

元の世界に帰った後、千尋は湯屋での出来事を忘れてしまうという説がありますが、嘘であってほしいと思ってきました。
ハクは当然のこと、リンや釜じいのことも忘れてしまうなんて。
湯屋のみんなが総出で千尋を見送るシーンで、リンと釜じいがブンブン手を振ってるのを見ました。
こんなにたくさんの人に愛される場所にいられて幸せだったね。
忘れないでほしいと思ってましたが、いつも何度でもを久々にきちんと聴いて、それは叶わぬ願いだと気がつきました。

閉じていく思い出の
その中にいつも
忘れたくない囁きをきく

トンネルを出たら、ハクのこともリンのことも釜じいのこともみんな忘れてしまう。

千尋はなぜ湯屋の世界に迷い込んだのだろう。
ハクを助けるため?
カオナシを救うため?
それとも千尋自身のため?

作品の冒頭で、引越しの車の中でひっくり返ってる千尋はスイートピーを手にしてます。
花言葉は門出、別離、やさしい思い出。

現実世界では友達やクラスメイトと別れ、湯屋ではハクやリンや釜じいと別れる千尋。

別れたくない人と離れ、こうでありたいと思うことは叶わない。

人生は自分の思い通りにはならないけど、ひとつひとつ乗り越えながら進んでいこう。
嫌だと思うことだってなんだって、経験値として肥やしになることには変わりないのだから。
トンネルを真っ直ぐに見つめる千尋の横顔を見ながら思いました。

宮崎駿監督は10歳くらいの友人に向けて、あなたたちのために作った作品だと本当に言えるものを作ろうと思い、千と千尋を作ったのだそうです。

世界は奥深くてバラエティに富んでるということを知ってほしい。
大丈夫。あなたはちゃんとやっていける
と本気で伝えたかったと。

そういう思いがあったことを初めて知りました。
宮崎駿監督から
大丈夫。あなたはちゃんとやっていける
って言われたらこんなに嬉しいことはないですよね。
それを作品から感じ取っているから、私はこんなにも千と千尋が大好きなんだと思いました。

幸せな金曜日に感謝。

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千尋
いつの日か物書きで生計を立てられるようになりたいです。ひとりでも誰かの心に残るようなものを綴りたいです。