航空大学校一次試験 令和5年度 問28の回答・解説! もう慣性力の問題では迷わせません。
みなさん、こんにちは!ソラシベリアンです。
最近忙しく、やっと令和5年度の問題解説を作り始めました。
#読んでくれている方、ありがとうございます。
#ご購入してくれた方、本当にありがとうございます。
そして、令和6年度の1次試験には到底間に合わないことを悟りました。
#待ってくれていた方、本当にすみません
なので、解説を作成途中で、勘違いしやすい問題かも!と思った「令和5年度 問28」をとにもかくにも解説しようと思いました。
#1問だけでも間に合ってほしい
Youtubeで動画解説しました!
文字やスライドだけでは伝わらない部分もあるかと思い、動画で解説しました。
時間のある方は、こちらの動画を見ていただけたら幸いです。
ただ、7分もない!動画見れる環境じゃない!という方もいるかと思います。
そういった方々用に、この動画で話した内容を文字起こししたものを、スライドと一緒に、このnoteにコピペしていきますので、こちらをご参照ください!
使用したスライドをPDFファイルでほしい方へ
動画で使用したpdfファイルはこちらです。適宜、学習に使用してください。
問題解説の音声を文字起こし
1. 問題文 台車に乗って坂道を下る時に感じる力
問題としては水平面からの角度が60度の斜面を滑走している台車があると。絵にするとこんな感じですね。Aさんはその台車の座席で台車とともに動いている。Aさんは、どのような力を感じているかというところで、摩擦や空気抵抗は考えなくていいよ、という問題ですね。
選択肢としては、こんな感じであります。
2. 聞かれていること、解く手順
まず考えなきゃいけないことっていうのは、聞かれてることは「はたらく力」ではなくて、「感じている力」だよというところですね。ここ重要です。
まず私が問題を解くためにやったこととしては、何はともあれ働く力を知らなきゃ始まらないというところで、そこを整理しよう。そして、働く力をもとにさんがどんな運動しているのかというところを理解していきます。
3. Aさんに働く力・Aさんの運動状態
働く力としては当然、重力$${W}$$ですよね。この重力は二つに分けておきましょう。斜面に垂直の成分 $${W\cos60^\circ}$$ 、そして平行な成分 $${W\sin60^\circ}$$ 。そして台車から受ける垂直抗力$${N}$$ も働いています。
実際に垂直抗力 $${N}$$ と、斜面に垂直な重力成分 $${W\cos60^\circ}$$ はつり合っている。
なので、平行な成分 $${W\sin60^\circ}$$ だけが余ってる状況ですね。これをもとに、Aさんがどんな運動状態なのかっていうと、この平行な力$${W\sin60^\circ}$$ による斜面に沿った斜め下向きの等加速度直線運動をしている状況です。
今回仮にこの加速度を $${a}$$ と置いておきましょう。
力が加わっているので、加速度運動している。それだけの話ですね。
4. 感じる力は「慣性力」
このときに、Aさんが感じてる力ってのは、$${W\sin60^\circ}$$ ではないんですよ。ズバリ言うと、「慣性力」です。向きとしては、加速度方向と逆向き、つまり斜面に沿った斜め上向きの力を「感じている」状況ですね。
選択肢でいうと3番です。
慣性力って何だっけっていう人もいるかもしれないので、身近な例を挙げます。
新幹線の出発直後・停車直前。新幹線が出発した瞬間って、前向きに加速していきますよね。ですが私達は後ろ向きに(シートに押し付けられるような)力を感じていると。停車直前はその逆。
もう1例。エレベーターの上昇し始めは、下に床に押し付けられるような(体が重くなるような)力を感じますよね。これが慣性力です。下降し始めはまたそれと逆向きの力。
ここで終わると、ちょっと味気ないので、慣性力について、もうちょっと理解を深めていきましょう。
5. 慣性力の理解を深める ー 同乗者と傍観者
さっきより簡単な例でいきます。水平な平面を台車が加速度 $${a}$$ で左向きに等加速度直線運動している状態です。その中を覗いてみると、振り子がぶら下げられていて、左向きに加速度運動しているので、それとは逆向き(右向き)に振れている。Aさんは中で一緒に乗っていて、Bさんは外からこれを見ている。
そんな状況です。
面白いのは、一緒に乗っている観測者(同乗者)のAさんと、外から見ている観測者(傍観者)のBさんで、振り子が静止しているか・運動しているかの解釈が異なるところです。
5-1. Aさん(同乗者)は振り子を『静止してる』と思ってる
Aさんは振り子のことをどう思ってるかっていうと、静止していると思っているんです。つまり速度が0だと思っています。
#新幹線の中で目の前にあるお弁当って、自分から見れば静止していますよね。
物理の分野で言うと、相対速度の考え方ですね。自分と同じ速度なので、相対速度0である(相手は静止している)。
では現在、静止しているのに振り子が振れているという状況になっている。これ、ちょっとおかしいなとなります。
力がつり合っていなきゃ、この状態はあり得ない。よって、$${T\sin\theta}$$につり合う力が必要です。その力の正体が、『慣性力』。
つまり、『慣性力』というのは、一緒に加速度運動している観測者にしか見えない力なんです。
なんでかというと、静止していると思わなければ(静止していると解釈しなければ)、この力が発生しないからですね。
ちょっと分からないかなと思いますが、Bさんを考えればわかります。
5-2. Bさん(傍観者)は、振り子を『運動している』と思ってる
Bさんにとって、振り子はどういう状況かなっていうと、静止してないんですよ。加速度 $${a}$$ で左向きに運動している。
新幹線を外から見て、新幹線の中にある何か、例えばお弁当とかも外から見れば、運動している(動いている)わけですね。止まってないんですよ。
外から見れば、加速度運動しているから力が釣り合っている必要はないですよね。力が釣り合っていたら、加速度運動できないので($${ma=F}$$ で $${F=0}$$ としてしまうと、 $${a=0}$$ となって加速度運動できない)。
なので、Bさんから見れば、慣性力は登場する必要がない。
ちなみに、運動方程式( $${ma=F}$$ )は、$${F=T\sin\theta}$$なので、$${ma=T\sin\theta}$$になります。この$${T\sin\theta}$$によって左向きに加速度運動しているという状況ですね。
整理すると、一緒に乗っている同乗者には慣性力が見える。
しかし、外から見ている傍観者には慣性力が見えない。
なぜなら、静止していない(力をつり合わせる必要がない)から = 振り子も台車と一緒に運動しているから、です。
6. (参考)他の選択肢は、どういう運動状態の時なのか
参考程度に、それぞれの選択肢はどんな運動状態なのか。
例えば、力が働いていないと感じるのは、静止している・等速直線運動している状態と考えられる。他の選択肢も同様に見てみてください。
似たような問題で、令和4年の問8だったかと思いますが、遠心力の問題が挙げられていました。遠心力も、一緒に円運動している人にしか見えない、感じない力なんですよね。私も解説しているので、もしよければ見てください。
それではまた気になる問題があれば解説していきたいと思いますので、よろしくお願いします。失礼します。
他の年度の問題解説が気になる方は、こちらから!
無料版・有料版あるので、ぜひ一度見に来てください!
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