fews『re:plicant』インストア@パルコ近鉄パッセ店

絶対に定時に上がる、という強い意志で仕事を切り上げた。
タワレコパッセのイベントスペースは屋上なので、
え、雨だが??ってなりました、雨…お祝いかな…。
イベントスペースが屋上だと目当てに来た人しか基本はいないので、
ちょっともったいないよなぁっていうのは思っている。
たまたま耳にして足を止めてくれた人がCDをお迎えしてくれる、
っていうそういうのが私はインストアの醍醐味だと思ってるので…。

いっそ後ろの方が見やすい、ということで前との間隔を空けに空けました。
アコースティックは座ってるから距離取らないと見えないんよね。
おかげで表情は見えていたのでよしとします。


雑談しながらゆるっと始まった記憶がある。
前乗り海さんに対して、たどり着いたのがぎりぎりのメンバ。
なんでもかずやさんがドラムを忘れたとかで。
ドラムを!?忘れる!!?ってなった。
かずやさんのせいではないらしいけど。
どうしてそうなったのかがいまだに謎。笑

明確に始まりを宣言したのは、
お仕事お疲れさまでした、という海さんの声で、
それだけでぶわっと泣きそうになってしまったから、
待って!まだ!一曲目も始まってないから!!!
って思わず自分で自分に突っ込みを入れたよね…。笑

ここに移動してくるまでの電車の中で、
泣きそうになりながら仕事のメール送ってたっていうのもあって、
なんていうかこう、一気に掬い上げられた気がしたんだよね。
時々ぜんぶ、それこそ呼吸さえもやめてしまいたくなるけど、
こういう一瞬で引き戻されてる。
きっと本人にとっては何気ない、でも、僕にとっては特別の。

弛んだ涙腺のせいでぼやけた視界の中で、
始まりの音は夕闇を映したようなオレンジで。
メーデーの、このオレンジ色に心がぎゅうっと絞られる。
すっかり暮れた空の下で目を閉じれば、
雑念がぽろぽろと零れ落ちていった。

リハができていないんだろうなっていうぎこちなさと、
海さんの声があまり出ていない気がしたんだけど、
単純に遠目で聞いてたからっていうのはあると思う。
野外、音が流れ飛ぶからなぁ…。

冷静な私を頭の片隅で飼ったまま、
オレンジに溶けていく心がざわめいている。

零れる涙はどうしたって落ち着かないままで、
私がびっくりしちゃったな…なんであんなに、泣いてしまったのかな。
心の襞を触るようなやわらかなメーデーはアコースティックが良く似合って、
ボトムに重さを足すベースのおかげで、輪郭が安定した気がした。

もうちょっと、もうちょっとだけ。
大丈夫、って思った。


二曲目にノーマライゼーションを持ってこられて、
盛大に動揺したのは私です。
もしかしてre:plicantの曲やらないつもりですか、
え、え、明日がツアー名古屋編だからですか??
lovismインストアで君と4号線聞けなかったの引きずってるから、、

動揺したけど気持ちを切り替える。
アコースティックは貴重なので。

手が冷えてたのかなぁ、ちょっと音はぎこちなく聞こえたけど、
まぁ単純に私が遠くに位置どっていたのというのはある。
多分もうちょっと前の方がバランスいい音すると思うんだけど、
いかんせん前に詰めるとメンバが見えなくてな。

止んだかに見えた雨が、降り始めていて。
ノーマライゼーションは光だから、
雨の夜に聞くのは滲むような美しさを夢想してしまう。
息を吸ったら冷たい空気が肺に入って、
それもまた、ノーマライゼーションを美しく彩るようだった。
ノーマライゼーションの季節は、冬だから。
(曲を季節と時間帯と色で分類する人)

涙腺はずっと弛みっぱなしで、
抑えようと思っても零れてしまって、
焦がれるような思いで手を伸ばしたくなって、
アコースティックだからそういうことする人あんまりいないけど、
後ろで回りにほとんど人もいないからいいだろ、
と思ってそっと手を伸ばしたりしました。

指先で弾ける音のきらめきに、
どうしようもなく導かれている、と思う。
本当に、美しい曲。


MCが入っていたような気がするけどなーんも覚えてないな。
もう一曲リリース曲じゃないのやるって言ってた記憶はある。
おーけー、明日があるもんね?
という納得の仕方をしたけど、明日来れない人もいるかもなんだぞ、とは思った。
彼らのセトリに関する優しさは私がセトリに求める意味とちょっとずれるんだよな。
でも、かずやさんの組んでくるセトリに毎度完敗しているのも事実。
結局は何を聞けてもうれしいし、楽しいから。


そんな三曲目は水槽。
え、水槽!!?水槽ですか!!?
雨の夜に!!!?天才か!!!!!!
と心を忙しくしたら、歌いだしかけた海さんが、
テンさん!この水槽撮った方がいい!と声を上げまして、
わかるよ、水分量が多い水槽を雨の夜の中で奏でるの、あまりにも正解だもんね。
そうして撮影された映像がちゃんとXに乗ってて私は安心しました。

水槽は水族館のひんやりした空気と仄青い照明の印象が強くて、
だから、冬の夜の野外が空気の匂いも色合いも馴染みが良くて、
息を吸ったら肺に音があふれるような気がした。
位置取りがよくなかったのか音は若干散らばってたけど、
拾い集めた音がフィラメントのように瞬く錯覚をくれて、
冷たい水の匂いの中でその光がきれいだった。

バンドセットでは海さんハンドマイクだけど、
アコースティックはアコギを弾いてたのかな。
手許はぜんぜん見えてなかったんだけど、立たなかったからたぶんそう。
ゆらゆら揺れながら歌ってるんじゃない海さんはちょっと新鮮だったし、
私は海さんのハンドマイク好きなんだなぁ、と思ったりしました。

ゆるゆるの涙腺はもう仕方がないので、
ぺそぺそと泣きながら絶望と優しさの狭間で青い音を聞いていた。
こういう揺らぎのある曲を紡ぐたびに、大丈夫だよって心の中で繰り返して、
でも本当は、大丈夫だって言ってほしいのは私なんだよなぁ。
水槽を幸福そうに歌った日の海さんのことを思い出して、
会いに行ける場所にいてくれることに感謝してるし、
いつだって最後のところでは待つ側の彼らのことを思うと胸が締め付けられる。

ドラマストアのさ、最後のインストアに私は行けなかったんだよね。
振替になってしまったから、行けなかったの。
その日の私は東京に居て、だから友人に代行してもらった。
その、行けなかったインストアの場所が、ここなんだよね。
また会いたい、会いに来てほしい、と繰り返す海さんが、
いつも探してるって言ってくれる海さんが、
友人に預けたCDに書いてくれた言葉がすぐそばにあって、
びっくりするほど涙が出て焦ったなぁ…。笑

個人的な感傷と安堵で泣き崩れてしまったから、
光の届かない場所で観てて良かったなって思いました…。笑


MCなしでライカだったかな…ぼろぼろに泣き崩れたのでよく覚えてないんだけど。
いやだって、冬の夜の中で聞くライカ…威力…って話なんですよ…!

海さんの音楽は冬の色をしていることが多いけれど、
ライカが纏う冬の匂いは、あの雪の夜をすぐ近くに引っ張ってくる。
雪深い夜と、ストーブの燃える音と、お線香の匂い。
海さんが、ライカについて話したことはそのまま、喪失の夜に結びついてしまったから、
冬の入り口にある今、余計に思い出してしまうんだよ。

いつか、すべて消えてしまうから。
そんなこと、わかっているから。
人も、音楽も、物事はぜんぶ、終わりに向かっていくから。
少しでも先伸ばすように生きているんだ。

降り落ちる雨の中を渡って届く陽だまり色の声に、
そうやって不安になる度につなぎ留められているから、
僕が泣いてしまう時、君はいつもそうやって歌ってくれるから、
それに安心して結局泣いちゃうんだよなぁ。笑

優しいドラミングの、しゃらしゃらしたシンバルの煌めきとか、
穏やかに燃える暖炉みたいなベースの深さとか、
フィラメントみたいに美しく瞬くピアノとか、
アコースティックは壮大なバンドセットとはまた違って、
凍らない湖みたいな不純物の少ない深い透明度があって、
それが実際の寒さに合っていて心がぎゅうぎゅうしたし、
野外の聞き取りにくさや位置によるバランスの不安定さもまた、
ライカにその瞬間の切実さを与えたりするから、
涙が止められなくて、本当に大変だった。
あまり泣かせないでほしい。


MC中に気持ちを立て直す。
何話してたかな、アルバム曲あんまりやってないって話と、
それは明日やるから、って告知が入ったの良かったですね。
でもアコースティックで聞く機会って貴重だから、
私はリリースインストアでは収録曲をやってほしい派です。
アコセットとバンドセットは全然違う響き方をするから。


ラストは収録曲の中からアンダーソング
夜の中に眩い光があふれだしてくる。
何度も言ってるけど何でも言いたくなるくらい、
アンダーソングのはるきさんの音がすごく、好きだなぁ。

(fewsくん、アンダーソングのインストゥルメンタル出してくれませんか。
ゴッホとゆめのあとのインストゥルメンタルもずっと待ってますよ。)

立て直した気持ちが掬い上げられて、
光塗れになったら余計に涙が出るんだって話なんだよなぁ!

ここに来るまでの僅かな時間で心がしぼんでたけど、
降り注ぐ光に顔を上げられた気がする。
遠くに眺めるようにして見つめたステージが、
暗闇の先の出口みたいだった。
この音楽が手招く方へ駆け出していけば、光があると、
そう、知らしめるような胸の締め付けられ方を、した。

ああ、触りたいな、と思って。
置いていかないで、って。
縋るような気持ちで手を伸ばしてた。
地面に落ちた私の影が同じように光に向けて手を伸ばしていて、
それがそのまま、答えだなって、思ったんだ。


1.メーデー
2.ノーマライゼーション
3.水槽
4.ライカ
5.アンダーソング




雨が降っていたからサイン会はステージの上で、ということになり、
ステージの上にあげてもらう、という貴重な体験をこの後しました。
なんとか涙を振り払ったものの心は震えたままで、
かずやさんと久しぶりに話せるっていうのもあって緊張で手も震えてたな。

ふにゃっと笑って迎えてくれるのがすごくうれしかったし、
いつもの通り、書いてほしいとこのリクエストに応えてくれるのうれしい。
ずーっと言ってるけどeasy loveのドラムが好きすぎるからお願いしたんだけど、
ええやーん、ってふわふわ笑ってくれるの可愛い。
かずやさんはどこ指定してもいつも、ええやん、ってにこにこしてくれるけど、
今度はかずやさんに、この曲のドラムを聞け!ってとこに書いて、って言ってみようかな。笑

元気?と聞かれるのもお決まりなんだけどなんでなんですかね。
元気じゃないので元気じゃないですって答えたけどそう答えるのは珍しいからか、
どうしたん?って聞いてくる声があまりにも優しくてちょっと泣きそうだった。
説明できるようなことでもないので曖昧に笑っておいた。
だいじょうぶだよ、僕には音楽があるから。

こうたさんにはブルータスをお願いした。
ブルータスの重たい夏の匂いがする湿度高めのベースがすごく好きなので。
さすがに抽象的すぎるので説明はしなかったけど。笑
いつもありがとう、って言われたことにものすごく動揺して、
用意してた言葉がぜんぶ吹っ飛んだな、と思う。笑
基本的に認知されたくないし観測されたくない人なので、
物販でも用件しか話してないんだけどなんで覚えられたんだ…。
ご挨拶は一回した覚えあるけどずいぶん前だしなぁ…。

はるきさんにはアンダーソングって決めてた。
散々言ってるのであれだけどほんとにアンダーソングのピアノが好きで。
特にイントロのピアノが大好きでいつもはるきさんのこと見てる。
後ろのあの辺で観ててくれましたよね、って言いあてられて動揺して、
はるきさんにもアンダーソングを選んだ理由を話し損ねましたね。笑
暗がりだから見えづらくて、って言ってたけど、
だったらなんで特定されたんだ…

そしてこの辺の話に横から混ざってくる海さん面白い。笑
見えんのよ!っていう海さんが時々椅子から立ち上がって後ろまで見晴るかしてたの見てたよ。
その場にいる全員のこと見ようとしてるの、ちゃんと見てたからね。

海さんにはライカを。
インスト直前までかなり悩んでたんだけど、聞いたらやっぱりライカだなって。
せやんな!ってにこにこで受け取ってくれるから悩んだよって言ったら、
なんで!?って言ってくるのいつも面白いなって思う。笑
でも、悩んだ末のライカってことをよろこんでくれたのがうれしくて、
俺もこの曲がいちばん好き、って笑う顔がすごく愛おし気で、
なんてかわいい人なんだろうな、と振り返ってなお思う。
自曲のこと愛してるって教えてくれるバンドマンが私は好きだよ。

明日ももちろん?って確認してくるのも可愛いし、
ここで行かなかったら逆に心配にならない?って思わず聞いたら、
それはそう!って食い気味に返されたの面白すぎたな。
名古屋でのライブは落としたくなってい思ってるよ、
でも予定は早いもの順なのでね、という事実はある。
近年は特にそうかもしれない。
選ぶのが難しいくらい、大切なものが増えたことを私はうれしいと思ってるよ。

また明日ね、って約束してばいばいした。
インストで聞けなかった曲たちを、受け取りに行くよ。



余談だけど、遠目で観てたのは自分だし、距離よりも雨の問題だと思うんだけど、
演奏はバランス悪いとこはあったけどまだ聞こえてたんだよね、
でも、MCはあんまりちゃんと聞き取れなかったので、
次はもう少し前で観たいと思います。

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