国本 泰英 / Yasuhide KUNIMOTO

国本 泰英です。玖珠を拠点に絵を描いてます。

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<モチーフについて>
元々、っていうかそれは今でも続いているんですけど、まず根底に「何を描けばいいのかわからない」「描きたいものがない」っていう問題があります。でも小さい頃から絵描きさんになりたいっていう目標があったので、そこの衝突、その間で描いているようなところがあります。何を描けばいいのかわからない、そもそも自分の中に描きたいものがないって時、目の前にあるものを描くしかなくなりますよね。表現したいものがないから目の前のものを描こうとする。
僕は小4の頃から油絵教室に通っていて、そこで静物画や模写を描いてました。また、高校生になると、美大受験に備えてデッサンを練習する。そうやって考えてみると、目の前にあるものを率直に描くという行為はずっとやっていました。大学入ってから、作家活動を意識して自分の作品を作ろうと思った時に、このデッサンや静物画やは違うなと思ったんです。でも、作品を作りたくても、やっぱり表現したいものがない。それで結局、自分の身の回りにあるものを描き始めました。近所の景色とか。あと、定期購読していた雑誌があって、その中にある写真なども描く対象にして、あれこれ寄せ集めたコラージュみたいな絵を描き始めました。

作品を構想する時、日常生活の中でも注意深く自分の作品の題材になるものを探すことってあるじゃないですか。その中で描きたいものが見つかって、家に帰り、いざ描こうとすると、あんなに注意深く観察したものが全然再現できない。現実に広がっているものと自分が観察して頭の中にストックしているものが一致しない。そうなった時、頭の中にストックしたイメージの頼りなさみたいな事をすごく感じたんですね。でも、この頼りない「視覚的なイメージ」というものは、多分自分が対象に向かう姿勢そのものだし、それならこの状態自体が作品の題材になるのかな、と思って始めたことが、これまで制作してきた作品全体に共通する主題になっています。

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< グラデーションについて>
ある時登山に行ったんです。インストラクター付きの登山イベントに参加したので、20人くらいで登りました。その日はあまり天気が良くなくて、小雨が降ったり霧で真っ白な中を歩いていました。そんな霞んだ風景の中、人の輪郭が浮かび上がって見えたのがすごく印象的でした。これを描こうと思って家に帰ってきたら、その輪郭をやっぱり全然描けない。だから、正直に描くには、ぼやかしてごまかすしかなくなって、その方法としてグラデーションを使い始めました。

<ベタ塗りについて>
なんで今の作風になったかというと、これも、作品を作るときの疑問を整理していった結果です。絵を描くとき、筆の置き所って難しいじゃないですか。いつまででも描いていられるし、逆にさっと描いて終わりというのも成立しますよね。そこら辺の事を、作品を作っているうちに、整理をしたくなってきて。

例えば、学校のスケッチ大会では、授業が終わったら、その時点で絵は完成という事になってしまいますよね。逆に、僕が通っていた油絵教室では、サムホールと6号くらいの小さな絵を一枚ずつ描くという課題があって、それに1年間かけるんです。そういう両極端な経験があったから、絵ってどこで完成するんだろう、という疑問は、昔から自分の中にありました。

そして、気持ちよく絵を終わらせるにはどうしたらいいかって考えた時に、「ベタ塗りだ」と思いつきました。ベタ塗りだけの絵にしておけば、一面ずつ塗りつぶす作業の積み重ねで完成させることが出来ます。グラデーションを複数の色に分割しているのも「ベタ塗りで終わらせる」という決まりで絵を描いている事が理由です。

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<モチーフとの距離>
先ほど言った、家に帰って見たものを描くっていう事について、自分の方向性みたいなものを探してた時期は<見るー描く>をリアルタイムでやっていたんですけど、今はあまりその辺は気にしてないかもしれません。ネットの拾いものとかも平気で使うし。むしろ、色んな所から安易に題材を収集することで、絵の中に多様性を与えられると思っているので、意識的にそうしてるところもあります。


<完成形について>
絵の完成形はキャンバスに描き始める前から完全にあって、絵作り自体は下絵の段階で終わります。あとはひたすら作業的。だから、色作りとか塗る作業は、完成形に近づけるためだけの作業です。絵描きさんの前の目標は「鳥山明になりたい」だったし、描くのは好き。手を動かすのは好きですね。

<制作の行程で一番アドレナリンが出るところ>
どこかなぁ。図案を作っている時はなかなかうまくいかないから、あまり気持ちのいい時間じゃないかもしれないですね。完成が見え始めたあたりですかね?途中段階は本当に作業的なんで。ラジオ聴いたりしながら無で描いてます。絵が出来てきた時が嬉しいかな。

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<立体作品について>
子供の時から絵が一番得意だったけど、ものを作るとか何かを形にするのは全般的に好きでした。描いた絵を3Dに起こしたいっていう単純な話だし、以前から「立体作りたい」というのはありました。それで去年、コロナで展覧会が無くなった時に「今だ」と思って立体作家の友人に技術を教えてもらいに行って、そこから実際に作り始めました。

<これからやりたいこと>
最初に考えてやり始めたことは、結構自分らしいし、これでいいんじゃないかなと思っています。あとは流れに任せてというか。前のめりな感じでもなくて。でも長く続けていきたいなっていうことだけは、ずっと思っています。


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