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短編小説「銀河ステーション」前編《銀河鉄道の夜》オマージュ作品
※宮沢賢治「銀河鉄道の夜」をオマージュし、賢治の文章を時折ちりばめて書いた、短編小説です。
中学校の休み時間にクラスメートが言いました。
「賢一、お前今日の花火、来れるか?」
クラスの男子数名で、近所の公園で花火をやろう、と前々から計画していたのです。
「あ…うん、行かれれば。あっ行きたいんだけど…でももしかして母さんの仕事が…」
「やっぱ、どうせ来ないでしょ。まあ、一応言っとくけど、集
ストローのなかの、ちっちゃいおじさん【短編小説】
【今世紀最大の『ちっちゃいおじさん大宴会』の招待状の束をなくしてしまった、ちっちゃいおじさん。
”私”は、開催の危機をすくえるのか?!】
***
マンションの下のコンビニで、アイスコーヒを買う。
レジで氷入りのカップを受けとり、機械にセットしてボタンを押すと、ガーッという音とともに、勢いよくコーヒーが出てきた。
そのあいだにフタとストロー、紙ナプキンを棚からとる。
まるで店員さんのよう
うすっぺらな街 【短編小説】
【駅のホームで出会った不思議な少年にいざなわれ、『俺』は冬の夜空へ飛び立った。
渋谷のスクランブル交差点、上空。俺は足元の光景に目を奪われていた。
多くの人が紙でできているかのように、厚みが無かった。
気付けば街の雑踏に混じって、ぺらんぺらんという音が辺りに響いていた。かさかさ、紙の擦れ合うような音も聞こえてくる。
その軽い音は、枯葉を踏んで歩く音に似ていた…】
***
俺は、まだ薄暗い駅
「五十センチの神様」(短編小説)
ある愚かで怠け者の男が、だらりだらりと田んぼの畦道を歩いていた。
すると道端の土が少し、盛り上がっているのに気が付いた。
「ちょっと待て」
声が聞こえ、男は立ち止まった。
「何だ?誰だ?」
「わしじゃ」
そう言いながら地面から顔を出したのは、長い髭を蓄えた、小さな神様だった。
身長五十センチの神様は、やっとのことで穴から這い出してきた。てっぺんは河童のようにハゲてい