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倉田そら
2023年5月21日 23:01
数時間前の恭介には、今の自分が想像できただろうか?見知らぬおじいさんと猫と一緒に、公園の小さな海原に、ボートで漕ぎ出しているなんて。ボートは静かにゆっくりと進んでいき、やがて公園の端にある銀色のジャングルジムの下に着いた。おじいさんはロープをすばやく結びつけると、ジャングルジムによじ登った。そして上から二段目のちょうど段になっていて座りやすい位置に、バランスをとって腰掛けた。「お前さん
2023年5月20日 12:37
公園の中は「海」だった。恭介は今までの人生で、こんなに驚いたことは無かった。人間はあまり驚いたときはそのままのポーズで固まるようで、恭介は階段の最後の一段に足を駆けたまま静止していた。すぐ向こうに見える住宅や道路は、いつもと何の変わりも無かった。公園の中だけが箱庭のように、小さな海になっていた。大きさは池のようでもあったが、しかし海だった。その証拠に潮の香りがしたし、打ち寄せる波は、海
2023年5月19日 12:59
すぐ向こうに見える住宅や道路は、いつもと何の変わりも無かった。公園の中だけが箱庭のように、小さな海になっていた。大きさは池のようでもあったが、しかし海だった。その証拠に潮の香りがしたし、打ち寄せる波は、海そのものだった。(本文より)夜の住宅街はとても静かだ。真冬のしんと空気の冷える日、星がいつもより美しくはっきりと見える夜は、特に静かに感じる。そんな夜にはいつもの見慣れた住宅街でも、見知