食の風景「果実酢の可能性」
口に入れた瞬間、まるで果実を齧ったようなフレッシュな甘味と香りが広がりました。
去る秋の事、果実の旨味がぎゅっと詰まったお酢を頂きました。「シークワーサーと八朔」「巨峰」「マスカットオブアレキサンドリア」の三種類です。炭酸水などで割って飲む以外に、お料理にも使えるとのことで、想像が膨らみます。早速色々試してみました。
こちらは巨峰味のお試しに用意した、きのこと野菜の炒めです。塩胡椒しただけの炒め物が、どんな味に変化するでしょうか。どきどきです。
もう一品、海鮮マリネを作ります。こちらはシークワーサー&八朔味で仕上げてみます。さっとボイルした玉ねぎ、人参、大根と、庭で収穫したみょうが。海産物は秋サーモン、たこ、ホタテの三種です。塩、ブラックペッパー、オリーブオイルで和えておきます。
器へ盛って、小松菜の葉先とみょうがで飾り付けて完成です。普段和食が多い食卓ですので、どんなコラボレーションが生まれるか、わくわくしながら果実酢の栓を抜きました。いつもなら1本ずつ大事に使っていく所ですが、今日は思い切って3本とも抜栓して、全部試してみます。贅沢です。そんな食事もたまには悪くありません。
「いただきます」
果実酢はさらりとしていましたから、小皿へ取り分けてからかけました。すぐに撮影しましたが、どうしても具材に隠れて見えにくくなってしまいました。
海鮮マリネにシークワーサー&八朔、相性が良かったです。お酢とわさび醤油で和えるよりもサラダ感覚になります。とくにサーモンに纏わせるとカルパッチョ風に。このお酢は鶏肉にも合いそうです。後日試してみます。因みにマスカットもマリネと合わせてみましたが、こちらは贅沢過ぎました。マスカットはその気品を保ったまま飲んで味わうもののようです。
続いてきのこと野菜炒めです。巨峰のお酢もさらっと隠れてしまいました。お味は、これはこれで新しい組み合わせですが、きのこが主張しようかどうしようか戸惑っています。巨峰味は牛肉が合いそうな予感です。牛だしベースのグレイビーソースを作って、仕上げにかけると風味豊かなソースになりそうです。これも是非試してみたいと思います。
別の日、鶏ささみでサラダを作りました。仕上げにシークワーサー&八朔をかけて、鶏肉とのコラボレーションを叶えてみたのです。本当は唐揚げと合わせてみたかったのですが、揚げ物を食べた翌日でしたのでサラダにしました。ああ、美味しいですね。甘酸っぱいサラダになります。前菜に丁度良いお味です。
余談ですがささみってボイルして手で適当な大きさに裂いて塩胡椒で和えただけが柔らかくて一番美味しいです。それをサラダにしたり、スープへ入れても美味しいです。ピーナツバターで和え物にするのも美味しいですね。もちろん、揚げ物も。ヘルシーな上に調理の幅も案外多いささみなのです。
頂き物のおかげで彩りも豊かに楽しい食事を囲みました。更に別の日、牛たたきを作ってみたのですが、それは別の食の風景でお話します。
それにしても美味しい果実酢です。お料理に色々試したので、後は炭酸水で飲んで味わうことに。お酢を飲むという事が普段ないので、噎せるかな、と思いましたが、そんなことありませんでした。上質な果実ソーダを味わう様で、毎朝飲むと気分爽快、体調も良く、何だかいいこと尽くめでした。
「ごちそうさまでした」
文と料理と写真・いち
※姉妹の食の風景のお話。合わせてお読み頂ければ果実酢を一層お楽しみ頂けます。