アニメ 絆のアリルの世界観を今更語るOSICAプレイヤー
お疲れ様です。僕です。
今OSICAってカードゲームが2周年記念でチーム戦をやっていて、絆のアリル、僕ヤバ、ハイスクールDxDを使うとボーナスがつくっていうので絆のアリルを触っている人が増えてると思うんだけど、絆のアリルのアニメの良さを改めて語りたいので語ります。
絆のアリル面白い?
で、まず、アニメ絆のアリルの良いところを語るっていうところで褒めていきたいところなんですけど、このアニメは面白くないです。おすすめしません。見ない方が良い。
いきなりの反乱で大草原。
だって、このアニメめちゃくちゃ丁寧に作っている上でギャグも弱く、展開もありきたりで飽きると思います。特に1期がほんまにおもしろくない。
2期からキャラクターがふっと増えて1期メンバー5人+新メンバー10人の掘りさげが始まってここから面白くなるんですが、それでも1期12話があまりにも面白くない。
そりゃ12話のライブシーンめちゃくちゃいいけど、ここまで辿り着けるわけがないんですよ。面白くないから。
で、なんでこのアニメが面白くないかって話をしていくんですけど、このアニメの世界観を理解するためのハードルがあまりにも高すぎる。
このアニメってキズナアイとその後輩アリルズプロジェクトを原作としたVtuberのお話という体で紹介されることがあります。これは厳密には誤りです。
このアニメの本題は過去今そして未来の配信文化の世界だと思っています。
ざっくりいうと2010年代のニコニコ生放送の発足をリアルタイムで生きて、その上で2020年現在の若者たちの配信文化、具体的には現在のバーチャルユーチューバーの文化や、RealityやIRIAMのような場所での配信文化この両方に精通していなければ「絆のアリル」というアニメを楽しむ下地がありません。
このアニメを見て何か感じることがあるのは非常に限られた人間だけだと思います。僕はちゃんとそういうものを感じました。
というわけで過去と今の配信文化について語っていこうと思います。
過去の配信文化 ニコ生という世界
こっから長いのでめんどうならオーリスとエイダの項目まで飛ばしてください。
大体2006年くらいだったと思います。ニコニコ動画というYoutubeの動画の上にコメントを流すという動画サイトが誕生しました。
それが色々とあって自前で動画サーバーを持つニコニコ動画として、ユーザーが動画を投稿し交流するサイトとなりました。
初期のニコニコ動画はさまざまな人たちが好きなように動画を投稿し、それを楽しむ世界でした。
その中で1つニコニコ動画では独特な文化が生まれました。
動画1つをきっかけに様々な動画が派生で生まれるというものです。
有名なものだとBadApple(陰絵)という動画をご存知でしょうか?
実はこれはある人がBadAppleのアレンジ曲にハマり、あまりにもずさんでひどい雑なコンテ動画をあげました。この動画を見た人たちの中にこのあまりにもひどいコンテを元にPV動画を作成していくという流れが生まれました。
そして、そのコンテから起こされたPVがあの有名なBadApple(陰絵)という動画です。
このように1つの動画から大きなムーブメントが生まれるというのがニコニコ動画ではよくありました。古くは組曲ニコニコ動画の投稿から歌ってみた、描いてみた、踊ってみたが派生でたくさん登場したりとかもこの1つの動画から様々な人たちが影響しあって新しいコンテンツが生まれていくというのが初期のニコニコ動画でした。
しかし、このような文化は徐々に廃れていくことになります。
カテゴリランキングの登場です。
動画のランキングが歌ってみた、踊ってみた、ゲーム実況などでカテゴリ分けがされるようになり、ニコニコ動画はみんなで作る動画サイトという文化からそのジャンルの有名人の個による文化圏に変化していきます。
歌ってみたは歌ってみた、踊ってみたは踊ってみた、ゲーム実況はゲーム実況とそれぞれのカテゴリで隔絶され、カテゴリを超えたコラボレーションは生まれなくなりました。
また、カテゴリ内での人気争奪戦の様相になり、徐々にカテゴリ内でのコラボレーションというものは減っていきました。
そんな投稿者が個で戦うニコニコ動画となったころ、新しいサービスが始まります。
それがニコニコ生放送というリアルタイム配信サービスです。
このサービスでもこの個で戦うという文化は変化せず、リスナーの奪い合いのような殺伐とした様相でした(だと僕は感じましたって話なんですけど)
当時のゲーム実況者などもコラボなどは考えられないとか、配信者仲間は実質敵みたいなのが最近になって語られるというのはよくあることになります。
このように過去の配信文化というのは個が重視される文化圏でした。
これがアニメ絆のアリルの世界観を理解するために必要な事前知識です。
現代の配信文化 アバターを使ったVTUBERの世界とコラボ
さて、このように配信文化というのは個を重視した世界でした。
そんな中インターネットに新たな文化が生まれました。
キズナアイというバーチャルユーチューバーです。
厳密には架空のキャラクターであるキズナアイをアバターを用いて演者が演じることでキズナアイを顕現させるというものです。
このバーチャルユーチューバーというアバターを用いた動画というのは瞬く間に広がりました。
そして、そのバーチャルユーチューバーの中に生配信を武器にするにじさんじやホロライブといったユーチューバーグループが登場し、バーチャルユーチューバーも生配信の世界に参入していきました。
そして、現在バーチャルユーチューバーの配信文化はニコニコ生放送とは異なる文化の配信文化が生まれたました。
それがコラボという概念です。
ニコニコ生放送が個の配信だとすれば、バーチャルユーチューバーたちはおおよそ同じ配信をする友達関係のような関係であり、企業による参入等の事情もあり、個ではなく、群での配信文化になっていきます。
これはニコニコ生放送は真逆の文化です。
そして、非常に高価で貴重な自分の分身であるアバターはLive2Dの導入により低価格になり、個人でも使えるものになりました。
また、RealityやIRIAMのような自分のアバターをある程度作って配信ができるサイトも生まれました。
このあたりのサイトでも配信文化は群という感じでみんな配信仲間という感じの文化となっています。
そして、RealityやIRIAMはランキングイベントのようなものを開催しています。
上位入賞で広告に自分のアバターが起用されたり、VTUBERチップスに参加できたりとかクリエイターがオリジナル曲を作ってくれたりとか色々な報酬があります。
こういったイベントに合わせて配信するという文化も生まれています。
僕の推している石ころの山田。さんのオリジナル曲、L&PPもこんな感じのランキングイベントで上位だったので作ってもらってたりします。(隙あれば推し宣伝)
閑話休題
というわけでこんな感じでアバターを用いた配信が一般化、みんな仲良しで配信を頑張ってランキング上位を目指すみたいな目標感も生まれたのが現代の配信文化です。
ここまでがアニメ「絆のアリル」を楽しむ上で持っておきたい前提文化です。
オーリスとエイダ
さて、ざっくり今までの話をまとめると
「生配信の主戦場は昔はニコニコ生放送で個人を中心とした配信がされ、現在はキズナアイというバーチャルユーチューバーが誕生し、なんやかんやあって様々なサイトでアバターを用いてみんなで楽しく配信がされている。」
というところになります。
そして、アニメ「絆のアリル」はそんな配信の世界を舞台にしたアニメであり、このような今と昔、2つの配信の価値観が対立している構造から始まります。
それがオーリス学園長とエイダの2名です。
この二人は完全にアニメのオリジナルキャラクターであり、今と昔、2つの配信文化の化身です。
アニメ「絆のアリル」ではバーチャルユーチューバーという言葉がバーチャルアーティストという言葉に置き換わっており、二人の考えは全く異なるものです。
オーリス学園長は「バーチャルアーティストとはお互いに影響しあい、協力することでより良いものが生まれる」という考え方です。
これに対してエイダは「バーチャルアーティストは個としての魅力がすべて、馴れ合いでは良いものが生まれない」という考え方です。
そうですね、オーリスは今風の配信文化の価値観であり、エイダはニコニコ生放送のような昔の配信文化の価値観をもっています。
このアニメはそんな移り変わりをした配信文化を取り上げたというかなりストライクゾーンの狭い世界観なんですよね。そらおすすめできないわな…
アニメ「絆のアリル」の物語
そんな感じでアニメ「絆のアリル」の物語は、現代の配信文化に寄り添ってみんなの絆が世界をきっと面白くしてくれると信じているという話になります。
そして、そんなバーチャルユーチューバーの始祖である肝心のキズナアイはそんなバーチャルユーチューバーと配信の世界がどうなっていくのかを眺めているだけでほとんど話に絡んできません。もう活動休止で引退しているから、神視点で眺めているだけです。
そんな配信の世界に身を置くキズナアイの後輩15人の絆の話がこの物語の本編となります。
というわけでこのアニメの1期では丁寧丁寧丁寧にこの現在の配信の世界を描いています。
あらすじはADENアカデミーというバーチャルアーティスト(≒バーチャルユーチューバー)の養成学校に通うキズナアイが大好きな少女「ミラク」が配信の世界に飛び込んでいき、バーチャルグリッドアワードというランキングイベントを通じて色々な人と仲良くなるというものになります。
ここまで僕の話を聞いた人がこのあらすじを聞くと「ああ、本当に現代の生配信のお話しなんだな」とわかります。
で、こっからは話としては先が読める展開の多い退屈なシナリオが続きます。
ただ、1つ言えるのは退屈なだけで現代の生配信の文化をめちゃくちゃ丁寧に物語にしています。
そこには配信の文化への理解やリスペクトを感じられ、よく言われているような動く絵がしゃべってるだけとか社会不適合者の世界とかの悪辣なものは一切ありません。
だから僕はこのアニメめちゃくちゃ好きなんですよね。
クリスが主人公「ミラク」のまだ拙いパフォーマンスを見て、「なんかわからないけど、ミラクのパフォーマンス好きだな」ってのはかなり今のVの推し活文化を象徴していると思います。
このように1期では世界観の描写がメインです。
描いている世界観が配信という媒体であり、めちゃくちゃ入り込みにくいのがよくないなーと思っています。
これに対して2期では15人のキャラクターそれぞれの描写がなされています。
これは色んな人に楽しんでもらえると思います。
2期はちゃんとおすすめできます。2期だけでも見て…
という感じ
終わります。