
【ネタバレあり】劇場版『ドクターX』と栗

すっごい良かった…私はこの映画から、この作品を知った。
ドクターXの12年間の道のりを知らない。
私個人の話、“天才外科医”というものに実際に命を(むりやり)救われた上で、体の機能を全部(むりやり)回復させられた経験がある。
私は命の恩人である整形外科の先生に対して、軽蔑を込めて“天才”と心の中で呼ぶようになった。
彼は人を絶対に治すマシーン…。
この物語の主人公、大門未知子さんは側から見たらそんな人。
今回は天才外科医にしてサイコパスな染谷将太、めっちゃ好き。
痛み止めをくれと言っている患者に
「はいは〜い看護師に伝えておきます〜」
みたいになってるのも、最悪で…。
未知子さんも比呂人くん(染谷将太)も腕の良すぎる天才外科医だけど、行動の節々から、医者としての精神性の差が現れる。
どうしてもネタバレを避けられない話し方になりますね。
比呂人くんは登場時からサイコパス呼ばわりされるほどの合理主義。
組織のトップとして人をゴミみたいに扱う一方、手術の場においては辣腕を振るったりもする。
未知子さんも比呂人くんの腕を認めざるを得ない。
しかし未知子さんからも、サイコパス認定はくらうのであった。
比呂人兄弟(染谷将太・一人二役)がふたりとも社会的には大成功しているのは、なんだかシンボリック。
ドラマなので因果応報、報復で死の淵に追いやられる比呂人くん。
誰が見ても助けようがない大怪我、患者(比呂人)にとっても、死なせたほうが楽なのは明らかだった。
しかし未知子さんはためらいなくオペを開始!
みんな、引く。
「先生、もうやめよう」
「楽にしてやろう、そのほうがいい」
そして
「なんでこんな奴を助ける?」
「なんでそこまでして助ける?わかりません」
立場はぜんぜん違うけども、私はこれ、思われた側だから。
というより、助けられている最中に、私自身が思った。
失敗していいオペなんて無い。
誰であろうと、まだ生きてるなら助ける。
そのための選択を誤らない。
そのための進化なら迷わない。
だから、大門未知子は失敗しない。
助けられた染谷将太(比呂人くん)、彼の体はまさしく、この物語の集大成。
ドクターXの信念そのものだった。
比呂人くん「…僕は、生きていてもいいんでしょうか…?」
寝ぼけんな〜!!!
私の人生における【失敗されなかった経験】が、腑に落ちる気もする。
そうか…私を助けた彼らもドクターXだったのか。