私が恋に落ちた小説 563 空乃 千尋 2020年6月23日 23:12 今でこそ読書を趣味ともいえるようになった私ですが、実のところ、元々は小説をそんなに読む方ではなかったのです。 詩やショートショート、エッセイなどは好きだったのですが、長編の小説となるとほとんど昔は読んだ記憶がない程です。 どちらかと言えば、趣味の写真に夢中で、あまり読書に時間を割いてこなかった人生でした。 学生時代、友人の誘いで少し音楽にも手を伸ばしたりして、まぁ、それなりに楽しく趣味を謳歌していた訳ですが、この時代に或るライトノベルが知人内で流行っていたのです。 あ、そのタイトルはご想像にお任せいたします。 それで、最終的に或る後輩の熱烈なおススメでその作品を手に取ることになったのです。 その時の印象は、「まるでアニメや漫画を見ているように読める小説だなぁ」でした。 読みやすい文体で書かれた小説は、今まで思っていた長編の小説の、何というか少々堅苦しいと言った印象を覆し、小説というものに自ら持っていた壁を少し崩してくれたように思うのです。 そうして暫くして、何を思ったか、自分でも書いてみようかななどと思ってしまったのです。 いえ、この時は読んだライトノベルからの偏見で、畏れ多くも、自分でも書けるんじゃないかなどと言う思い込みがあった訳で……。 しかし、思い込みって恐ろしいものです。 それで、今思えば拙すぎて恥ずかしくなりそうな10万字ほどの作品を書き上げ、無謀にも小説のコンテストに応募し……、もちろん見事落選した訳です。 ええ、所謂痛い経験です。 でも、実はこの痛い経験が、私にとって人生の転機ともなるようなあの小説との出会いへのきっかけになったのです。 さて、公募に落選した者が次に何を考えるか、イメージ出来る方も多いかと思うのですが……。 公募のコンテストで落選した作品、しかし、何だかんだで初めて書いた自分の小説ですから、思い入れはやはりありまして、何処かで発表をしたいと考えた訳です。 それで辿り着いたのが、小説投稿サイトの「小説家になろう」さんでした。 落選作を一先ず投稿し、その後、昔から好きだった詩を中心に細々と活動していたのですが、或る時、或る方が個人企画をされていまして、それに参加させて頂いたのです。 そこで、或る小説家さんとその方の作品に出逢いました。 九藤 朋さん(以下「朋さん」と呼ばせて頂きます)の『愛かなしい人 空玩具月光譚』。「なんて耽美で理知的な文章を描かれるのだろう」と、ただただ圧倒されたのを記憶しています。 そして、「この作者は自分とは次元が違うところにいる人だ」とも思い、この時はそっと朋さんをお気に入りユーザー(所謂フォロー)にするだけに留めていました。 その後、なんと朋さんからサイト内でメッセージを下さり、ちょっとずつ交流をして頂けるようになったのです(小心者の私には、自分からお声掛けをする勇気がなかったので、本当にありがたいことでした)。 そうして交流をする中で、ついにあの小説と出逢ったのです。 当時、朋さんの作品の中で一番評判になっていた小説。『コトノハ薬局』。 美しく格調高い言葉なのにもかかわらず、すっと頭の中に入ってくる文章が心地よく、気が付くと夢中で読み耽っていました。 不思議で、少し浮世離れした印象を持つ主人公、音ノ瀬ことさんが、次第に作者の朋さんにも重なっていき、何処か自分とは別世界に生きている方たちの姿を見ているようで、そんな作品と作者に憧れを抱くようにもなっていました。 でも……。 そうではないと、改めて気付かされた瞬間があったのです。「計り知れませんよ、人は。諦めるのは、ちょっと勿体無いんです」 作中のこの台詞が心の中にすとんと落ちたとき、「ああ、そうじゃない!」と思ったのです。「ことさんは、朋さんは別世界の人なんかじゃない!」「何処までもこちら側の人間であって、だから、きっと苦しみ、悲しみ、人に絶望することだってあって、でも、それでも、どうしても人が諦められないんだ!」 そう気付いた時にはもう、『コトノハ薬局』、九藤 朋さんの虜になっていました。 それから、朋さんの作品は、片っ端から読み漁り、恐らくもう全作品を一度は読ませて頂いたのではないかと思います。 それ以来、小説を読むことはすっかり私の趣味になりまして、今では他の色んな方の作品にも触れる様になりました。 でも、そんな中でも、やっぱり未だに一番大好きな作品は『コトノハ薬局』です。 きっと、あの瞬間の衝撃は生涯忘れることはないと思うのです。 いつか紙の本で、また夢中で読み耽りたい、そう思って止まない作品。 私が恋に落ちた小説です。PS この度、九藤 朋さんは、ノベルアップ+の第1回歴史・時代小説大賞にて、『私の妻と、沖田君』という作品で大賞を受賞されました。 心よりお祝い申し上げます。 そして、作品を本で読ませて頂ける時を心待ちにしております。※本動画について 先日掲載させて頂いた『コトノハ薬局』のPVを、少し編曲・動画編集をさせて頂いた修正版として新たに投稿させてもらいました。もし宜しければ、ご覧いただけると嬉しいです。【修正版】小説家紹介PV 第六弾 【九藤 朋先生】 『コトノハ薬局』『コトノハの調べ』(動画内使用曲)流れる水のように流れるコトノハは命宿す傷を癒し芽吹かせ草木を育む風に鳴る吊忍音の頂きに立つ孤高の当主は美酒に酔う作詞 九藤 朋 https://twitter.com/kudou_tomo作曲 九藤 朋 https://twitter.com/kudou_tomo編曲 空乃 千尋 https://twitter.com/soranochihiro絵 九藤 朋 https://twitter.com/kudou_tomo写真 空乃 千尋 https://twitter.com/soranochihiro もし原作をお知りになりたいと思って下さいましたら、以下のリンクへどうぞ足をお運びください。【アルファポリス】https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/470169186【カクヨム】https://kakuyomu.jp/works/1177354054880552076【小説家になろう】https://ncode.syosetu.com/n1862cs//【ノベラボ】https://www.novelabo.com/books/3845/chapters【MAGNET MACROLINK】https://www.magnet-novels.com/novels/52680 また、九藤 朋先生の他の作品が気になる方は、以下のリンクを覗いていただけると嬉しいです。【小説家wiki】https://seesaawiki.jp/shosetsuka/d/%b6%e5%c6%a3%a1%a1%ca%fe #写真 #小説 #音楽 #小説家になろう #ボカロ #PV #ボカロ曲 #和楽器 #九藤朋 #小説家wiki #コトノハ薬局 563 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート