◉【おもてなしに学ぶ】(茶道家メモVol.12 蘭花指)#44
茶壺(急須)や蓋碗と呼ばれる茶器を持つ時は、蘭花指(らんかし)という持ち方があります。
親指、中指、薬指、この3本でコントロールするのが基本とされています。
この蘭花指は 別名”君子指(くんしし)”とも呼ばれます。
君子は皇帝様のことで、皇帝様を支える存在です。
古来より、花には君子の誉れがあると言われています。花を見ると癒されますが先人はその存在に敬意を重ねていたのでしょう。
また、観音様や京劇の所作で見る指の動作を蘭花指と呼んでいます。中指と親指をくっつけて他の指を伸ばす形が、蘭の花に似ていることより名づけられました。
“花を指先で表現する”
まさに芸術的感性です。
お花の美しさを表現した所作の1つひとつは、茶席に訪れたお客様の心を癒す表現の一つともいえます。
きっと心に残るお茶席には茶器を美しく操作する茶人の蘭花指が存在しています。
美しい所作に出逢ったとき、人は美しい心をみつけたりするものです。
中国でも日本でも魅了されたお茶淹れで共通するのは、茶人のおもてなしがお花のように美しく、指先まで神経が研ぎ澄まされていて、優しく心地よい風がそよいでいたような、そんな余韻を運ぶシーンです。
所作の美しさには奥深い何かがあります。
お茶の世界観を紐解く茶道には自らを整えることにとどまることなく、同じ空間に同じ時を過ごす相手に対する配慮や相手に喜んでもらえるよう、茶人にとっても相手にとっても、一期一会の人格形成の旅路にある人間関係学だと思います。
おもてなしは心身ともに幸せになる為の人間関係学だと感じています。
あなたはどんなおもてなしをしていますか。
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