◉【おもてなしに学ぶ】(茶道家メモVol.9 和敬清寂)#41
茶道は、心を静め、心を養い、雑念を除き、身を修める境地に至ることです。さらに茶道を極めていくことは仏道儒の「内省」道に続きます。✳︎仏道儒とは、仏教・道教・儒教のことです。
日本における茶の湯の心「和敬静寂」は、古き良き中国のその「茶道」にルーツがあるのではないかと思います。
静寂な茶室の中で日ごろの雑念が洗われお茶を戴きながら自己を反省し、お客様と心を通わせ互いに理解し和み敬い調和する。
唐末の劉貞亮は「茶の十徳」の中で、飲茶の効能は「十徳」にあるとしています。
茶の十徳は、鬱気を散じ、眠気を駆逐し、生気を養い、病の気を除き、礼、仁を利し、敬意を表し、滋味を尊び、身体を養い、道を行い、志を雅にする、と記されています。
中国伝統文化において、中国では礼を重んじてきました。その中でも、茶で客をもてなすことは礼のひとつとして重要な位置を占めます。
飲茶は単なる客人への尊敬と歓迎を表すものにとどまらず、より深い思想と哲学を内包しています。
茶をたしなむ事を修道となし、道の思想を取り入れたのが「茶道」です。
茶道は二つのものが含まれます。一つはお茶の品質や作り方の技術、道具、飲み方に関する規範が説かれ、二つ目は「道」の思想を取り入れた部分であり、飲茶を通して修身、情操を高めていきます。
茶をたてる、茶を賞する、茶を飲むという所作の中に、修身、情操、礼法、人生の味わい、道を悟ることなどが織り込まれ、精神的にも人格的にも天人合一の境地を目指すことが理想なのです。
「茶聖」と呼ばれた唐代の陸羽(りくう)は、仏教、道教、儒教の思想が融合されている気がします。
陸羽の著作「茶経」には、「すなわち茶を嗜む者は行いに注意し美徳を実践する人になれ」と説いています。
お茶をたしなむことは単に渇きを癒すだけでなく、和敬清寂を通して徳と品を重んじる「茶道」へと昇華されていくのではないでしょうか。
お茶の世界観を紐解く茶道には自らを整えることにとどまることなく、同じ空間に同じ時を過ごす相手に対する配慮や相手に喜んでもらえるよう、茶人にとっても相手にとっても、一期一会の人格形成の旅路にある人間関係学だと思います。
おもてなしは心身ともに幸せになる為の人間関係学だと感じています。
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