◉【おもてなしに学ぶ】(茶道家メモVol.17 東洋医学の教えにお茶が登場していた鎌倉時代)#49
インドで釈迦の弟子の一人に名医の耆婆(ぎば)がいました。
耆婆は、釈尊存命中の名医と言われ、仏教を深く信じ、釈尊や当時の王などの病を治療したといわれています。
それから二千年以上たった栄西の喫茶養生記が執筆した鎌倉時代でさえ、人々の脈をみて診断する技術がなかったといわれています。
中国でも神農が世を去ってから三千年以上の年月が過ぎたが、現代に適した薬物の処方はもう不可能だと伝えられていました。
病状を正しく診断してくれる人はいなく、いたずらに皆死を待つばかりだとさえ嘆いていた世の中です。
治療法を尋ねても間違いを教えられ、効きもしない灸をそえられて衰えるだけと。
栄西が耳にしていたのは、その時代の医術のレベルでは薬を投与されても体調が悪くなるのは、病と薬が対応していないからだと言い、
灸をそえられれば灸と脈が衝突して寿命を縮めているから、病気にならないよう生命力を養う方策が必要だと。
それは、五臓(肝臓、肺臓、心臓、脾臓、腎臓)を健康にする五臓和合門(宋代の東洋医学の1つの教え)をとりいれることが大切だと伝えています。
五臓が健康に保たれることで生命循環をととのえ免疫力を高め外邪から身を護り、その五臓のなかでも王者たる心臓を健康にするために茶が最良と言われたのです。
お茶の世界観を紐解く茶道には自らを整えることにとどまることなく、同じ空間に同じ時を過ごす相手に対する配慮や相手に喜んでもらえるよう、茶人にとっても相手にとっても、一期一会の人格形成の旅路にある人間関係学だと思います。
おもてなしは心身ともに幸せになる為の人間関係学だと感じています。
あなたはどんなおもてなしをしていますか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?