ちいさな救世主
コウペンちゃんの「花丸まんてん星展」に行ってきた。
いわゆるこのいつも小さくて丸くて可愛らしいペンギンを、いつから私は知っているのか。いつのまにやら、るるてあさんが描くキャラクターたちが、私のTwitterのなかに毎日あらわれていた。
だからと言って、グッズを買うことはなく、ただただTwitterのなかから眺めていた。
今日初めて、原画のなかの彼?彼女?(そもそも性別がわからない)を見つけて、その展示の空間が優しさに満ちているのを感じて、いい大人である私は毎日の社畜ライフから救われ癒され、静かに目が潤んでいた。平日の夜である。私以外のお客さんは数名ちらほら。なんとか誰にも恥ずかしいところを目撃されずにすんだ。
Twitterの画像でも、画用紙の凹凸がはっきり見て取れるし、水彩の淡いにじみ具合もわかるのだけれど、スマホのなかにいた小さな救世主が、何枚もの額縁に飾られ並んでいたのは圧巻で、感動しないはずがない。
こんなにも、たくさんたくさん、毎日毎日、あたらしいコウペンちゃんが生きていて、こちらに視線をむけ、語りかけてくれている。
Twitterのなかでも小さいのに、原画のなかでもほんとうに小さくて、なのにめちゃくちゃ生き生きと。
そういう私はといえば、白のトップスと黒のパンツ姿。
仕事終わりに立ち寄れる場所での展示だと知ってはいたものの、いつもおしゃれする余裕などなく、あわてて電車に乗ればその姿はいつものルーティンで着ているいつもの地味な服。おしゃれデパートに立ち寄るのはいかがなものかと、いつも二の足を踏んでいた。
だけど今日は、仕事でいやな事があって思い切った行動だった。それでよかった。このご時世、えいやと行動しないといつまでたっても変われない。
この日はじめてグッズを買って、ほくほくした気分で帰った。今度はきっと、好きな服を着て、ちょっとおしゃれして、小さい救世主に会いに行きたいと思う。
ここからは少し蛇足なお話。
数人のお客さんのなかには同年代くらいの男性がいることに気がついて、内心びっくり(コウペンちゃんファンは女性や子供だけではないと知った)だけど、自分と同じようにこの場に来たのかなと思うと急に親近感をおぼえ、あわよくばこういう出会いも、無きにしもあらず、などとボサボサの自分のヘアスタイルを忘れほんの一瞬(ほんの一瞬)妄想にふけってしまった。
あほすぎる。
はるか昔、恋人がいたころの自分はどのようにして出会いから次へのきっかけを見つけていたのか、謎すぎる。