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そらむぎ通信 No.150 (2019.07)

株式会社MARS 10周年おめでとう!

今年、2019年7月7日「株式会社MARS」が10周年を迎えました。
「株式会社MARS」とは、当法人とは切っても切れない双子のような関係です。精神障害者の治療としての医療と夢の実現、福祉や生活を展開してきたのが「株式会社MARS」です。

具体的には、10年前に「森のパン屋さん」として当院のデイケアで育ったメンバーたちが、流山市西深井の森の図書館でパン販売を始めました。
デイケアでのプログラムとしてしか経験のないメンバーたちが、株式会社MARSの社員として採用され、会社員として働き始めたのが最初のスタートです。

多くの統合失調症の方々がそうであるように、思春期青年期より病気になり、社会から離れ、デイケアを通じてようやく社会と関わりと始めたメンバーたちは、仕事は初めての経験、デイケアでは許されたことも仕事となると責任が生じます。慣れない仕事は、失敗の連続です。お釣りが合わない、予想以上に仕入れてしまってパンが余ってしまったり、足りなくなったり。明日は何個発注すればいいのだろう??

スタッフに叱られ、泣きながらの毎日でした。時には辞めたいと何度も思い、でもやっと手にした憧れの会社員。そのうちに、ひだクリニックセントラルパークの隣に「カフェテリア Ciero」という店舗を持つことになりました。早朝から店を開け、出勤途中の方へのパンの販売、日中はカフェとしての営業となりました。何もなかったセントラルパークの駅前、次第に常連さんがお茶を飲みに来てくださるようになったり、嬉しいことも・・・・・。
株式会社MARSは、パンの販売だけではなく、ダイモスカーという宣伝カーで、るえか式心理教育の普及や精神障害の当事者が活躍できることを知ってもらうために全国に夢の種まきに行きました。その他、書籍の販売なども行っています。そして、切っても切れない宙麦会との関係は、「多機能型事業所マーレ」「B型事業所テララ」「多機能型就労支援事業所コパス」「生活介護そにあ」は、株式会社MARSの施設なのです。

現在の株式会社MARSは、年商2億円を超す企業と成長しました。社員33名、うち15名は精神科治療経験者で、現在も治療を受けながら仕事をしています。あの森のパン屋さんからスタートした社員が今では、この多くの事業所の中核的スタッフや管理者として仕事をし、株式会社MARSにはなくてはならない存在です。

かつての統合失調症の病気の価値観を塗り替え、多くの精神障害者に夢と希望を与えてくれたのが株式会社MARSの社員たちだと思います。

これから、どんな成長を遂げるのか、「株式会社MARS」の成長が楽しみです。応援をよろしくお願いします。


肥田先生のメディカルコラム Vol.102

~「おもてなしの本質」~ ~その14~

前回は「ちびまるこちゃん」の例をだして支援について考えました。
支援という用語を英語にすると、ヘルプ、アシスト、サポートがあります。ヘルプという具体的な支援。例えば、海でおぼれている人に対して、助けるのがヘルプです。

「アシスト」というのは横にいる支援で、サッカーでは良く「3ゴール、2アシストの大活躍」などという言い方をしますが、アシストは最後の仕上げのその前みたいな感じです。サポートはその人が自己決定できるようにする支援です。「ヘルプ」では支援者が主体的に動きます。アシストは半分半分でしょうか。サポートは患者さんが主体になります。

これをもう少し別の表現でいうと、ヘルプは「救命救急モデル」です。例えば意識不明の時に自己決定ということはないわけです。命を救うことが最優先なので、その場合は治療者が全部患者さんを抱えないといけません。だから、治療者が主体となって命を救うという具体的な援助になります。「アシスト」は、「感染症モデル」という言い方をします。感染症といっても慢性や亜急性の時期を考えてください。感染症の患者さんが方は、抗生剤の点滴をしないといけないとします。点滴をしたら安静にし、動けません。ですから、その前におトイレに行く。そして点滴の最中は自分で点滴を引き抜かないように注意する。医療・治療者は、抗生剤選択や感染症の知識を患者さんにお伝えしますが、患者さんのほうも安全に点滴を終えるためには協力をしないといけないということになります

「サポート」は「生活習慣病モデル」です。糖尿病、高血圧モデルです。自分で病気の事を理解し、自分の治療や生活の在り方を自己決定できるということです。

宙麦会&MARSスタッフのバトンリレー

今月は、RUECA櫻田なつみさんです。

みなさんはじめまして。今年の1月に(株)MARSに入社した、鈴木江一です。
私はRUECAに来る前は定時制高校に通っていました。

卒業後、以前やっていた建築関係の職人に戻ろうと考えていたのですが、人間関係のトラブルにあい、情緒不安定になり、定時制高校に行く事も辛くなりました。

そんな時以前聞いた事のあるひだクリニックを思い出し、RUECAに登録しました。RUECAに通うようになりプログラムと人の多さにびっくりして、独りどうしたらいいのか戸惑っていた時に近くにいつもいてくれた人がピアサポーター(以下,ピア)でした。ピアという言葉を初めて聞き、ピアって何だろう?と興味が湧いてきた同時期に就労移行事業所co opusが設立されました。

定時制高校を卒業した後のことについて悩んでいましたが、信頼しているスタッフが私の背中を押してくれ「チャンスだ!」と思い、頑張ることを決めました。

copeer部門で約一年半経験させていただき、ピアサポート専門員養成研修を終了し、無事に定時制高校も卒業できました。

現在はメンバーだったRUECAでピアとして働いています。ストレスの雨は止みませんが、スタッフやメンバーに助けてもらいながら仕事に励んでいます。皆と一緒に考えながら前に進み、出来る事を増やして行きたいです。皆の一生懸命な頑張りと素敵な笑顔が私を元気にしてくれます。これからは、皆の笑顔が自然と溢れるRUECAをメンバーやスタッフと作っていけるよう、精一杯頑張っていきたいと思います。

次に私の同期のピア、福士美奈子さんにバトンを渡します。


【休診のご案内】
ひだクリニック:土曜・祝日 休診 
8月12日(祝)13日(火)は、休診となります。
ひだクリニックセントラルパーク:水・土・日曜・祝日休診
8月10日~18日までは休診となります。
                
急に具合が悪くなった場合は、主治医がいなくても応急対応をいたしますので、ご相談ください。休診の場合は、空いている方のクリニッで対応いたします。まずは、お電話にてご連絡ください。自立支援は登録医療機関のみご使用になれます。

【ご案内】
*日曜日の家族教室は、ひだクリニック3階るえかホールにて行っております。
7月21日(日)10時~12時 家族SST
7月28日(日)10時~12時 ふぁみりーテーブル基礎講座
「病気について」院長 肥田裕久
8月 1日(木)18時~20時 クローバー土屋SST
8月 4日(日)10時~12時「べてる式家族当事者研究」
8月 4日(日)10時半~12時 「認知行動療法フォローアップ講座」
8月11日(日)10時~12時 わいわい講座 
プレゼンター ひだクリニックデイケアるえか

【編集後記】
あっという間に駆け抜けた、10数年。時間はものすごく早く過ぎたように感じますが、その間に目覚ましい変化を遂げたように感じ、ただただ、時間だけが過ぎたわけでは、ないことを実感しました。
これからまた、10年20年と精神障害者を取り巻く環境がどんなふうに変わっていくのか楽しみです。(み)



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