「スロウ・ファインド・アウェイ」第4話
それからもマドカは一向に洋館にある物を捨てたり、口答えをする召使いに暇を出したりするのをやめませんでした。
むしろ苛烈さを増していく一方です。
マドカの横暴に耐えきれず、ついには自分から辞めていく召使いまで現れ始めました。
「いいわ、どうせ始めから私のことなんてどうとも思ってなかったのよ。」
館の物が減っても召使いが減っても、マドカは変わらずムスッとしていて満足のいくことはありませんでした。
あれもこれもと捨てて捨ててを繰り返しているうちに、とうとうマドカの部屋以外はなにも無いまっさらな空間が出来上がってしまいました。
「お嬢様、館の物をほとんど捨ててしまわれて一体どうなさりたいんです?」
「うるさいわね。なにもかも目障りなのよ。ただそこにあるだけで鬱陶しいの。」
「お嬢様が捨ててしまった物の中には亡くなられた奥様や旦那様が生前大事にされていた物もあるんですよ。わかっているでしょう?」
「知っているわ、だから見たくないの!置いておいたって戻ってくるわけじゃないのに不快なのよ。館の中にあるなにもかもが不愉快だわ。」
「お嬢様......。」
「お黙りなさい!館の主人は私よ。文句があるなら出てってもらうわ。」
「それでは失礼させていただきます。」
召使いの返答はマドカが想像していた以上にはっきりとしていました。
「奥様と旦那様がご存命の頃からこの館で仕えておりますが、皆お嬢様の元ではもう働けないと辞めていきました。私が最後の召使いでしたが、今日限りでお暇をいただきます。」
「私だって子どもじゃないし、自分のことくらい自分で出来るわ。勝手にしなさい。」
「今までお世話になりました。それではお元気で。」
召使いが出ていってしまった今、洋館はとうとうマドカ1人になりました。
もしサポート投げてくれたらなんかいい感じのことに使います。