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「スロウ・ファインド・アウェイ」第1話
町外れにあるレンガ造りの洋館に1人の少女がおりました。
少女は名をマドカといい、やさしい母とかしこい父の元に生まれ、多くの召使いに囲まれて幸せに暮らしていました。
しかし、そんな暖かい日々も長くはつづきません。
マドカの9回目の誕生日に不幸が起こったのです。
イチゴがたくさん乗ったケーキとリボンがあしらわれたプレゼントの代わりにマドカが受け取ったものは、両親が亡くなった報せでした。
マドカに大きな大きなテディベアをプレゼントしようと張り切って出掛けていった2人は車に撥ねられてしまい、そのまま息を引き取ったのです。
その後マドカを引き取ろうとする大人は現れず、マドカの叔父にあたる男がいくらか出資してそのまま洋館に住まわせることになりました。
親戚たちは皆、マドカを「目つきが悪くて何を考えているかわからない」と怖がっていたからです。
マドカは幼いながらに大人たちが自分を腫れ物のように感じていることを察して、それでもなお気丈に振る舞いました。
「いいわ。召使いだっているし私1人でも問題ない。」
こうして、マドカは幼くして洋館の主人となりました。
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