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ナコ・サエキという女

皆さま、ご無沙汰しております。空川サラダです。
お久しぶりのnoteとなってしまいました。ごきげんいかがですか。
毎年毎年、この時期になると「冬が終わるとすぐ夏だな!」「昼暑いけど夜寒いから、なに着ていいかむずかしいな!」となっていることでしょう。
もちろんわたしも、5月でこれだけ暑いのだから8月、10月、12月と、暑さどうなっちゃうのよ。と、なっています。

5月といえば、ゴールデンウィーク。ゴールデンウィークといえば、劇場版名探偵コナンですよね。
わたしはコナンをよく知らないまま大人になった大人です。
コナンについてわたしが知っている二、三の事柄といえば、「真実はいつもひとつ」ということと「見た目はこどもだけど、頭脳は大人だということ」くらい。「名探偵コナン」と言っているにも関わらず、コナンが探偵だということすら知らなかったほどです。

そんなコナンもぐりのわたしを劇場へ連れ出したのは友人のSで、彼女は知りすぎてるくらいにコナンを知っている。(これ以上足を突っ込むと、薬で小さくされるに違いない)
劇場版名探偵コナンは全て劇場で観ているし、パンフレットも必ず買っているし、テレビアニメは当然毎週録画で何度も観返すし、移動はすべてスケボーときた。筋金入りのコナンマスターである。

Sは、わたしの数少ない友人の一人で
豊後散歩のお宅訪問の際、イーワンくんの本体を作ってくれたお裁縫上手の友人が、このコナン狂いのSなのである。
わたしが麻雀を教えたことをきっかけに、今では某雀荘で働くほど麻雀にもハマった。
わたしは彼女の麻雀・通り名は「逆連対のS」だと推理している。


そんなSに誘われて、去年、2022年に公開された劇場版名探偵コナン「ハロウィンの花嫁」を初めてスクリーンで鑑賞した。

それからさらに、今年2023年に公開された「黒鉄の魚影(サブマリン)」もSと一緒に観た。
きっと来年公開される劇場版名探偵コナンも、Sと観ることとなるだろう。

「黒鉄の魚影(サブマリン)」の主題歌がスピッツの「美しい鰭」という曲でした。

劇場で初めて聴いた曲だったのですが、その爽やかで心地のよいメロディーにすっかり魅力されたわたしは、帰り道にさっそくサブスクで聴き、それからというもの連日「美しい鰭」を聴いて生活をしています。

先日、RMUの小倉ゆささんがこんなツイートをしていました。

おやすめないです、ゆささん


このツイートを見てからというもの、「美しい鰭」を聴くたびに、「美しい鮨」が頭に浮かんでは消えてゆくのです。
トロは中トロ、コハダ、アジ....♪てな具合で。
ヘイ・ラッシャイ!てな具合で。

鮨はいつでも、寝起きですっぴんでも、美しいですよ。ゆささん。

たぶんこんな感じ


これと似た話を以前テレビで小田和正さんがしていました。
宇多田ヒカルさんの「Automatic」のサビ部分。
小田和正さんは「It's automatic」の部分を「いつお泊まり?」だと思い込んでいたようで、なんてハレンチな曲なんだと思っていたそうです。
わたしはそれ以来、「Automatic」を聴くたび、いっつお泊まり〜♪が頭に浮かんでは消えてゆくのです。かなり浮かれた曲へと早変わりです。


そんなことはさておき。
皆さまは、ナコ・サエキという、最高位戦日本プロ麻雀協会46期後期の女性をご存知だろうか。
血液型はB型。生まれは3月28日、牡羊座。好きな食べ物はラーメンともんじゃ焼き。お酒ならば梅酒を好み、おにぎりの具材はLOVEツナマヨ。休日の過ごし方といえば、もっぱらYouTubeか睡眠である。そんなナコ・サエキをご存知だろうか。

ナコ・サエキという人物は、名前とはウラハラに、大変愉快な女なのです。

ナコ・サエキという存在は前から知っていたし、Twitterでも相互フォローだし(唐突な相互フォローマウント)彼女が毎月公表するスケジュールを見ては「なんて働き者なのだ。ナコ・サエキ。」と思っていたし、なんならスケジュール画像をスクリーンショットして、保管しているほどだったのだが、
先日、初めてナコ・サエキに会う機会に恵まれた。
わたしも角葉子も(もちろん葉子と一緒)ナコ・サエキとはその時が初対面で初めましてだった。
会った回数はその1度きり。時間も、ほんの1.2時間だった。

そのたった数時間で彼女が、わたしたち(サラダと葉子)に与えた印象は強烈でした。
一言で表現するなら「愉快すぎる」
ちょっとトッピングするなら「愉快で陽気すぎる」
といったところでしょうか。

ナコ・サエキの麻雀・通り名を、わたしは知らないのですが「ユカイツーカイ・カイキな子」あたりだと推理します。

落語家や、「呼び込み君」じゃなくても、ずっとしゃべっている人に、たまにお目にかかりますよね。

ナコ・サエキがそれだったのです。
初対面である、サラダと葉子を相手に、ずっとひとりで、なにかしゃべっているのです。
人がギリギリ聞き取れる音量を熟知していて、ナコ・サエキは、そのギリギリの音量の境界線にピタッと貼り付く省エネ音量でしゃべるのです。

それはちょうど、誰かの噂話をするようなボリュームで、我々の間に手のひらがひとつでも入れば、もう聞こえないくらいに尊いホタルの赤ちゃんみたいなものなのでした。


その日、わたしたちは親切な方から栗まんじゅうをもらいました。
栗まんじゅうをもらったナコ・サエキは「まんじゅうでひとつ、思い出した話がある。みんな、こっちを向いて聞いて。」
と言った。手元にワイングラスとフォークがあったならば、カチンカチンと鳴らしていたはずだ。

大人になってからというもの日常生活で「こっちを向いて聞いて」と言われることが少なくなった。
こっちを向かせなきゃならないし、聞いてもらわなきゃならないので、お互いエネルギーが必要になるからだ。
日本人の特性的にも、親子や恋人同士でなければ、こっちを向かせ、自分の発言をしっかり聞かせるシーンっていうのは昨今少なくなった気がします。

ナコ・サエキっていうのは、スマートフォンを見ながら・聞き流しながらのコミュニケーションが常態化した現代社会における一筋の光、まばゆい天女なんです。

知り合って90分くらいの間柄で、ナコ・サエキは、まんじゅうで思い出したおはなしをしたいそうだ。わたしはすこしだけ嫌な予感がした。
「サエキ殿。それはほんとうに人々の動く手を止め、首をひねり、目と目を合わせてまで聞かせたいおはなしなのですか。」
まんじゅうトリガーで思い出したおはなしは、思い出されることのないままでもよかったおはなしではありませんか?と、そういう風に思ったのです。
わたしの嫌な予感は的中した。

「スベスベマンジュウガニっていう猛毒のカニがいるんだ。」

やはり「こっちを向いて」らへんで、時計型麻酔銃を打ち込んでおけばよかった。
ナコ・サエキのおはなしには、尾も無ければ、鰭もなく、「変な名前のカニがいて、そのカニは毒を持っている。」という事実の提示。「MOTHER2」の町人みたいなボキャブラリーと肩を壊してしまいそうな諧謔。

スベスベマンジュウガニというカニがいる。
ナコ・サエキはそれを聴衆に伝達し、満足したのか、勤めを果たした歩兵みたいな顔で、つるつるの栗まんじゅうを頬張っていた。

「まんじゅうで思い出したんですけど、スベスベマンジュウガニっていうカニがいるんですよ〜!変な名前ですよね〜!マジウケません?マジ卍〜!ピース・ピース〜!栗まんじゅうもう1個くださ〜い!!!」
こんな感じじゃダメだったのでしょうか。
「私はいいけど、SAEKIがなんて言うかなあ?」ってことなんでしょうか。


「えー、まんじゅうでひとつ。思い出した話があります」

これはもうほとんど落語の枕です。
ですから、本来ならスベスベマンジュウガニにまつわる挿話があっていいはずなのです。
ですが、ナコ・サエキは「棚からぼた餅ならぬ、棚から栗まんじゅう。愉快愉快...」などと言いながら栗まんじゅうを食べていて、スベスベマンジュウガニがなんですか?って顔をしている。恐ろしい女である。いっそのこと、ナコ・ユカイにでも改名したらいいと思う。


「こんなこと言ってもつまらないと思われるかも」と常日頃思っていることを口に出す前に精査し、その大体を葬りがちなわたしですが、
ナコ・サエキの、思い付いたままの胎児のような発言をツルっとするのを見て、大変に胸がときめきました。

そうだよ。そういうのでいいんだよ。スベスベマンジュウガニでいいんだよ。だって思い出したんだもん。スベスベマンジュウガニっていうカニがいるんだもん。みんなにすぐに知って欲しいんだもん。


ナコ・サエキこと、佐伯菜子。
会えば彼女のキュートさと爛漫さにみんなハートを撃ち抜かれることと思います。
わたしと葉子もしっかり撃ち抜かれました。まんじゅうトリガーを引いた先にはサラダ&葉子のハート。
皆さまもぜひ、撃ち抜かれてくださいね。


わたしはこれから先、美しい鰭を聴くたび美しい鮨を思い出し、まんじゅうを食べるたびスベスベマンジュウガニを思い出すのだろう。
そう、これを読んでいるあなたもきっと。
まあ、流れるまんま流されましょう。
では、ごきげんよう。

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