川島蓉子さん、あなたはいなくなってしまったのですね。
1月20日の訃報欄に川島蓉子さんの名前を見た。2024年12月27日に転倒して頭部を強打し、そのまま目覚めず2025年1月3日に急性硬膜外血腫のため亡くなったそうだ。63歳だった。
Instagramを見ると12月の末まで忙しく活動している投稿がある。突然の死に驚き、活躍できる若さで豊なセンスのまま去っていったことを惜しんだ。
YouTubeの『偏愛百貨店・蓉子の部屋』を時々観ていた。川島さんて誰かに似ている、誰だっけと見るたびに考えていたのだが、閃いた。文芸評論家の齋藤美奈子だ。二人とも新潟市出身だし、年齢も近いし、などど悦に入っていた。齋藤美奈子は、著書でジェンダーについて目を開かせてくれた人。川島蓉子はセンスの良いものは生活を楽しくしてくれるよと教えてくれた人だ。
自分の結論に満足していたのだが、ネット検索で二人の画像を見るとそれほど似ていない。あえていうなら顔をパターン化すれば同じグループではないかというくらいである。たまたまそんなことを考えているとき、訃報を知ったのだった。
『川島屋百貨店』(ポプラ社)を読んだのは、忙しくて自分の生活以外にアンテナを張る余裕のない時だった。ファッションの世界で頭角を表し初め、バリバリと仕事をしていた川島さんが紹介してくれるものは、時代の先端をいくものばかりではなく、川島さん自身の中でこなれたものだった。特に雑貨やファッショングッズは新鮮で、写真を見るだけでも心が躍った。
『川島屋百貨店』に導かれて、店を調べて実物を見に行き、どうしても欲しくなって手に入れたものもある。オーラカイリーのバッグ、エルベ・ガンブスのアートフラワー、シビラの多間傘。今でも大切に使っている。
川島さんの業績のすべては知らないが、我が人生に足跡を残してくれたことは知っている。『川島屋百貨店』出版から20年近く経っているので、掲載されている品々はもはや手に入らないものも多いが、『川島屋百貨店』はそのまま書棚に残っている。