向日葵
今ここにはいない君へ
私は今年も君に向日葵の花を贈ります。
私たちが付き合って一年半がたった頃。君は職場で倒れた。雪が雨に変わる頃、私はすぐに病院に駆けつけた。
「倒れちゃったけど大丈夫だよ」
君はそうやって笑った。でもそんなことはなかった。
「心臓病です。治すのは難しいでしょう。もって一年です。」
嘘だと信じたかった。でも嘘ではなかった。私はその日、傘もささずに家に帰って、声にでない叫びをあげた。外と同じように、目からは水がなかなか降りやまなかった。
「来たよ」
私は出来るだけ笑顔を作った。君はやっぱり笑顔で、私は本当に笑顔になった。
「どうしてそんなに笑顔なの?」
私はそう君に言った。
「来てくれたからだよ。」
やっぱり君はすごい。太陽みたいに明るくて、こんなにも私を暖かくしてくれる。私が病室に来たら、決まって君を誘って病院の中庭に行った。綺麗な花がたくさん咲いている。君は花を見て子供みたいに無邪気な笑顔を見せた。
君は時々容態を悪くしてしまう時があった。でもその度に「大丈夫だよ」と君は言う。辛いこともたくさんある。でも君と過ごすことほど幸せなことはない。
八月になって中庭に出てみると、向日葵がたくさん太陽のほうを向いていた。
「赤いバラより君には向日葵の花を贈りたいな。知ってる?向日葵の花言葉。」
君は珍しく、私に切なそうな顔で言った。
「私はあなただけを見つめる。」
私はそれを聞いたとき思わず泣きそうになってしまった。嬉しくて嬉しくて、でもとても切なかった。君がそんな顔で言うから…
君はその夜、容態を悪くした。いつもみたいに「大丈夫だよ」と笑う君を待ってた。でも君は起きることはなかった。
木の色が鮮やかになる頃。君は静かに息をひきとった。
私は君が最後に教えてくれた花言葉を忘れません。そして君のことも、私は永遠に君のことを見つめ続けます。
君のことが大好きな私より