応募作品⑨-②『金澤詩人賞』
※これは、2019年〝金澤詩人賞〟に応募したものです。NOTEに掲載するにあたり、気がついた分については、多少修正や加筆しております。
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『 途半ば 』
この世に生を受けた時から
私という個体の旅ははじまった
どんなに懸命に頑張っても
うまくいかない時もあるし
頑張らなくてもいつの間にか
目的地に辿りついてしまうこともある
行き場のない気持ちを
その場その場で捨てられぬまま
心のポケットにしまい
やがて知らぬ間に大きな荷物となり
抱えていた物事の重さに気がつき
その場から動けなくなったこともある
身体は動いているけれど
心が右にも左にも動かぬまま
死んだように生きていた時期もある
新たな世界への扉は
私の頭の中だけに視えていただけで
在るようで無い透明なゲート
私自身がただそのことに
気がつけばいいだけだった
そんな私も四十をとうに越え
いまだ旅の途中