未来人ーみらいびとー②
車窓の内と外
最寄りの駅から目的の駅まで約20分弱。電車が揺れる度に手すりにつかまっている手をぎゅっと握りなおす。車窓から見える景色を眺める視線の中には、今日は雨が降っていて暗いからか、車窓のガラスに車内が映しだされているのであえて観察しているわけではないけれどもそれらの様子まで目にはいってくる。
観察してるわけではなくても、目立とうとはしていないのに何故か気になる人というものは気になってしまうものなのか、別に好きな異性タイプとか友だちになりたいなといった人というわけでもないのに、印象というものは残るのだなぁと思う。そういうものが魅力というものでもあるのではないのだろうか。そんなことも私の中の何かを揺さぶることになるのだから、公共の乗り物に乗るということも案外悪くはないものだなと思う。
自分以外の誰かと同じ空間を不特定多数の人と共有している時間は、正直言って怖くもある。だからこそ、自分の存在を消すように息をひそめて透明人間にでもなったかのような気持ちになることもある。
周囲の人の息遣いや話し声、イヤフォンマイクから漏れてくる音楽、周りを気にせず愚痴をこぼす人、何があったのか深い溜息をついて首を曲げている人、乗ったと同時に目を閉じてすぐに寝息をたてる人…。そんな光景に重なるように車窓の向こう側には移り変わっていく景色。昔はみかけたことのなかったショッピング街や新しい建物が立ち並んでいるかと思えば、この間までは存在していた建物が無くなってしまっていたり…。
そうした光景が一枚のガラスに重なるように映し出されているのをみていたら、まるで、自分は未来から訪れた〝未来人〟のような不思議な感覚になり、朝から落ち気味だったテンションもまた少しアップされた。まーそれくらいのことで、私のテンションは上がるのだから単純といえば単純だし、お花畑な脳みその持ち主だということがこれで確定されることとなった(笑)
つづく
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