「演技戦闘」の考察
昨今、演技戦闘という遊び方が大変注目を集めている。
演技戦闘とは、ストーリーLARPの物語内で行われる戦闘形式の一つ。
元々は「体験型LARP普及団体CLOSS」という国内LARP界の先駆けになった団体が、著作『EPIC OF PLEIADES(エピック・オブ・プレアデス)(*1)』(以後EoP)の中で定められたルールである。
*1:https://closs.larp.jp/eop-2/
国内で行われたLARPの歴史で最初期の戦闘方式で、国内LARP内で行われる戦闘を指す言葉としても広く普及した経緯を持つ名称である。
しかし、その意味合いまではあまり深く浸透しておらず、現在においては様々な方式が混在してしまう事となった。
代表的な方式を挙げると
・本来の意味合いである「戦闘を演技する」方式。演技。身体にソフトヒット。
・LARP武器を使ってハードヒットを行う方式。勝負。身体にハードヒット。
・勝敗の判定を他の方法で決定し、その結果をロールプレイ(演技)する「論理判定方式」。演技。身体に接触無し。
本来の意味合いである演技戦闘と論理判定方式は、EoPの中で定められている。
ソフトヒットとハードヒットの境界はあいまいで、また危険性も当人の身体的強度や運動能力・武器操作の技術力によって変動するので、あまり明確にされてこなかった項目ではある。
まだまだ短い国内LARPの歴史の中でも、ハードヒット・危険斬撃有りの戦闘を行い、これが周囲から危険視され活動を停止した団体もあった。
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私は、演技戦闘について次の様に考えていた。
大雑把に言うと、チャンバラごっこの様に、ヒットの瞬間緩めて痛くないくらいに調整すればいいのだろうと。
が、よくよく考えていくともっと明確に分けられている事に気がついた。
演技戦闘は、文字通り「戦闘を演技する」ということだ。
決して勢いよくハードヒットを行ってはいけない。
だが、昨今の現場では勢いよくハードヒットを行う事が多くなっている。
人間、武器を持つとテンションがあがるものである。
これは、本能である。
LARP武器も柔らかく作られており、全力で叩いても痛くはあるが怪我をするほどではない。
それ故か武器術未経験者ほど、ハイテンション・ハイスピード、全力で振るう事が多くなる。
しかし、いくら柔らかく作られていても武器は武器。
当てる場所によっては痛いし、部位によってはただの怪我では済まない場所もある。
当てられて危険な場所は「顔」。
顔は感覚器官が集中している所なので、当たると痛いというよりは危ない部位が多い。
特に眼球は直接ヒットしてしまうと、取り返しのつかないダメージを負ってしまう。
最悪、潰してしまうと本当に取り返しがつかない事になる。
主に肩を狙った上からの斬撃や下からの斬りあげ、相手の間合いの中で頭を下げた時に相手から振るわれる斬撃でヒットすることが多い。
次に「指の関節」。
武器の握り手の部分が地味にヒット数が多い。
また、関節周りに肉が無いので守られておらず、剣筋の立った斬撃が誤ってヒットすると、かなりの痛みを負う。
首・喉。
喉というのは立派な急所の一つで、突くと容易に呼吸困難を起こす。
また頸椎は中で脳神経が束になっている場所で、こちらも強打撃等でズレたりすると運動能力に悪影響が出る。
柔らかい武器なのになぜ突き技が危険なのかというと、武器の中に芯材が入っているからだ。
突いて人にヒットした時に、柔らかい緩衝材を突き破って、硬い芯材が飛び出して相手に突き刺さる可能性がある。
文字通りの凶器となるのだ。
金的。
言わずと知れた「男の急所中の急所」。
ここを打たれると激しく悶絶して動けなくなる。
このようにヒットして危ない部位はたくさんある。
そしてLARP武器は、構造上芯になる硬目の棒を緩衝材で覆っているので、横振りには緩衝材で衝撃吸収されるが、突きにはすべての衝撃を吸収できるだけの余地が少ない。
なので、扱いには注意が必要だ。
これらを踏まえた上でハードヒットの戦闘を行うのであれば、それは演技戦闘ではなく「LARP武器を使った試合」である。
「危険を伴うハードヒットを用いる試合」と考えるなら、危険を前提とした対策を組み込んでおく事が必要になる。
私が提案する最低限の対策は以下である。
・目を護る為のアイゴーグルの着用。
・手を護る為の手袋の着用。
・その他必要に応じた防具の着用。
・保険の適用。
最後の保険は、もし万が一怪我をした・怪我をさせた場合の最後の砦である。
試合が常時あるなら、損害保険に入れば安心だろう。
たまにしかしないのなら、セブン-イレブンが運営している「1DAYレジャー保険(https://ehokenstore.com/1dayleisure#sc_this_02 )」に加入すればいいだろう。
1日のみの適用で、わずか700円という安さ。
さらにセブンイレブンの店舗でイベント前にサクッと加入可能だ。
怪我はしないさせない事が最上だが、もし万が一があっても安心だ。
私は私の中の演技戦闘の解釈を下記の様に改めた。
演技戦闘は「LARP内で行われる戦闘を演技する事(*2)」である。
*2:体験型LARP普及団体CLOSS公式HP(https://closs.larp.jp/eopdcsrule/ )内「コラム2:防御側の立ち振る舞いへの指針」を引用。
演技戦闘とは「『LARP中に起こる戦闘場面の演技を安全に互いに表現するための演技戦闘のルール』」
これは解釈を深めていく際に、星屑氏がすでに提唱していた事を後から知った。
個人的にも様々な定義が混ざる演技戦闘の経験を経て、同じ解釈に辿り着いた。
一見、激しくハードヒットな戦闘を行っているように見えても、接触の瞬間にはソフトヒット。
これが鉄則。
そして、どんなに激しいアクションをしても怪我をしない倒れ方で倒れる。
攻め役も受け役も、怪我をしないさせない。
お互いと周囲のアクションに気を配り、気を遣い、余裕を持った動きで戦闘を演じる。
これを守っていきたいし実践できるように、空人会では研究を重ねていきたい。
やはり戦闘は面白いのだ。
試合にしても演技にしても。
これだけで1ジャンル確立できるほどに。
これからも楽しいLARPが楽しめるように、お役に立てる体験会を提供していきたい。
長文になりましたが、最後までお読みいただき心からの感謝を申し上げます。
ありがとう。
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