継ぎ接ぎダンジョン、お手伝いしてきました。
⬛物語のはじまり、はじまり
2022年5月3日、大阪某所で開催された、関西初の大型ダンジョンLARP「継ぎ接ぎダンジョン」のお手伝いをしてまいりました。
主催はサークルベルセルクLARP部(@berserklarp )、協賛はカーボネック城LARP(@Corbenic_R01)、Liglocus(@liglocus )、そして、私こと鳳仙郷LARP(@housenkyo_info )です。(敬称略)
お陰様で参加者様には大好評だったようで、その楽しさがTwitterで共有されました!
イベント体験の感想を受けて、タイムライン上では「次回があるならぜひ参加したい!」「地元でもやりたい」等の嬉しいお声が聞けました!
⬛バックグラウンドストーリー
かつて栄えていた強大な国「ファーランド帝国」。
世界を育む万能なるマナによる「魔術」によって支えられていたその栄華は、「マナの枯渇」という至極順当な流れによって滅亡の危機を迎えた。
しかし、偶然にもマナを持った異世界があることを発見し、そこから「ゲート」を通してマナを吸い上げることで危機を脱したか、に思われたのだが・・・
なんと異世界に蓄えられていたマナは、想定よりも量が少なかった。
王侯貴族達は特権でマナを独占し、国内で下層民を切り分ける壁を作り貧困へ追いやる一方、壁の中の都「ドーザハ」で欲望の限りを尽くした。
こうして帝国は格差が開き、荒廃の一途を辿るようになった。
独占したマナで欲望の限りを尽くしていた王侯貴族達。
その欲望が異世界から吸い上げるマナの供給量を超えた時、恐るべき事態が起こった。
「異世界の逆流」である。
ゲートで調整されていた異なる法則の濁流が歯止めを壊し、世界を覆い尽くさんと怒涛の勢いで広がっていく。
飲み込まれた人や物は、異なる法則に晒され歪な姿に変じていく。
世界の滅亡か!と思われたその時、突如、王侯貴族達の都「ドーザハ」は異世界からの濁流と共に、世界から忽然と姿を消した。
異世界を発見した学者が、この事態を想定してゲートに仕掛けを施していたのである。
王侯貴族達の都が世界から切り離され、静寂を取り戻した世界。
枯渇していたマナもゆっくりと回復し、世界を癒すこと幾星霜。
突如発生した大地震。
消失したはずのゲートが再び現れ、あろうことか消えた都「ドーザハ」と「ファーランド」がつながってしまった!!
異世界に汚染された「ドーザハ」から「異世界法則の濁流」が溢れ、再び「ファーランド」を汚染するのかと思われたその時、ゲートに仕掛けられた機構が間一髪で歯止めを掛ける!!
ゲートを通してギリギリの均衡で保たれた「ドーザハ」と「ファーランド」。
その狭間に、不安定な迷宮が出現する。
常に揺らめいていて、見る度に様子が変わる不思議な迷宮。
ある者は死んだはずの彼の人を見たといい、ある者は大昔に栄えた宗教儀式の声が聞こえたといい、またある者は神話の秘宝をその中で見たという。
噂が噂を瞬く間に広め、一攫千金を期待した者達が「この手に宝を掴まん!」と勇んで飛び込んでいく。
しかし、死を恐れぬ者達よ、お気をつけなさい。
その迷宮は偶然が作り出した不安定な世界。
崩壊の中の、一時の夢幻(ゆめまぼろし)。
世界をでたらめにつなぎ合わせる「継ぎ接ぎダンジョン」なのだから。
夢が消えるまで、あと三日。
⬛会場について
会場は560㎡からなる広いホール。
ダンジョンの壁となるパーテーションは残念ながら足りてはいなかったのですが、壁と壁の間を布を張るというアイデアで補いました。
ほぼ全域を使い、ステージは緞帳を下ろして中を「ファーランド」の拠点に、入口は「ドーザハ」の拠点としました。
実際のプレイでは会場の照明を落として暗闇にして迷宮を歩くのですが、壁(布)の向こうにうっすらとランタンの灯りが透けて見える様子は、敵味方がわからない中ではスリルとリアリティがあったと思います。
⬛レンタル品について
今回、初めてLARPに参加される方も多く、また、自前の衣装に貸出の装備品を足したい方もおられましたので、潤沢なレンタルアイテムをご用意致しました。
すでに装備が決まっている方も、興味津々で運営スタッフが持ち寄ったレンタルアイテムを手に取られてました。
⬛陣営紹介
⚫ファーランド陣営「冒険者」
王侯貴族達の都「ドーザハ」が消失した後に残った元の国の陣営です。
彼らは大量のマナの供給源を失い、「魔術」による文明を失った後も不屈の精神で生き延び、マナの回復の後押しを受けた後はその技術力を大きく伸ばし、生活水準を当時に迫るところまで戻すことができました。
その為、どんな苦難に飲まれても心が折れることなく、その苦難も人生の醍醐味とばかりに謳歌し、逞しく生きる力強さを持ち合わせています。
まだまだ広大な世界を味わいつくさんと、未開拓の遺跡や土地に挑み切り拓いていく生き様は、やがて「冒険者」と呼ばれるようになりました。
「冒険者ギルド」と呼ばれる組合を結成し、国々では手がでない事件にも積極的に挑んで成果を上げるなど、この世界では重要な勢力として権力者にも一目置かれています。
その為、時には過激な行動にでることもある彼らですが、それは命を燃やし尽くして生きようとする信念ゆえのことなのでしょう。
⚫ドーザハ陣営「ゲート教市警団」
溢れ出した「異世界の濁流」に飲まれすべてが変質した後、ゲートの緊急措置によりファーランドから次元ごと切り離された陣営です。
元王侯貴族だった彼らですが、僅かなマナしかない中では魔術による文明を維持することはできず、早々に技術力を失った後、絶望に満たされた小さな世界の中で細々と生きざるを得ませんでした。
上流階級の誇りが廃れて忘れ去られた頃、彼らの中で一つの信仰が流行します。
それは、
「この苦難は神からの試練で、この試練を乗り越えた時再びゲートが開かれ、安らぎに満ちた豊かな国へと導かれる」
というものでした。
彼らはこの教えを「ゲート教の教え」として祀り上げ、一心に縋って清廉に生きることを選びました。
とはいえ、全員がその様に生きられるわけでもなく、貧しいからこその暴動が起きることもあります。
その様な時、ゲート教の教えを説き荒れた人々を諌め、再び力を合わせて生きて行くように導くのが彼ら「ゲート教市警団」なのです。
⬛プレイの様子
プレイヤーキャラクター(以下PC)は、各々の陣営拠点で依頼を受けた後、継ぎ接ぎダンジョンに潜って探索を行います。
暗闇でランタンの灯りが届く範囲でしか見えない中、おっかなびっくり進んでいきます。
両陣営、空間が安定しない継ぎ接ぎダンジョンの中ではモザイクが掛かったような歪んだ姿で見えてしまいますので、人間だと認識できません。
不定形なモンスターです。
唯一、同行しているランタンを持った妖精(GM)だけが歪みだらけのダンジョンを安定させて見せますが、相手陣営には有効ではありません。
出食わしたが最後、戦うしかない可能性があるのです。
モンスターとの接触を回避し、受領したクエストを達成して無事に拠点に戻ってくるのは困難を極めることでしょう。
⬛継ぎ接ぎという自由度
この企画は、GMという本来運営側が行うことが多い進行役を、プレイヤーが持ち回りで担当するという大胆な仕組みを取り込んでいます。
可能な限りクエストを簡素化することでどなたでもGMに取り組んでいただけ、また「ダンジョン内部は継ぎ接ぎにより、部屋構造をシナリオに応じて自由に変更できる」という設定の自由さにより、様々なシナリオを作成する事ができます。
⬛次元断絶された両陣営という設定
バックグラウンドストーリーの設定により、両陣営は「違う次元の存在」となっており、意思疎通には妖精(GM)を通じてでしか行なえません。
その際も意思疎通のみ可能であり、姿は空間が歪んでいるため不定形のモンスターにしか見えません。
これにより、通常であれば運営側が行うモンスター役をお互いに演じているという構図になります。
悠久の時を経たことで、まったく違う文化を背景に持つゆえに相互理解がままならず、「わかりあえない異形の存在」としてお互いに脅威を際立たせることになるのです。
⬛暗闇での戦闘について
今回は、一般的なファンタジー世界の冒険をテーマに掲げていた為に、モンスターとの戦闘も再現したく、接触戦闘(攻撃が体にヒットした場合に有効判定とするルール)を採用致しました。
しかし、視認性が落ちる中での戦闘は、ゴーグルの装備を推奨とした上でもある程度の危険があり、今後は非接触戦闘を検討したいと思っております。
⬛最後に
今回、関西LARP団体初の試みという事で、この様な大型イベントに挑戦致しました。
初めてのことで様々なアクシデントもあり、はたして参加者様に満足してもらえるかと緊張しながら臨みましたが、最終的には好意的なお声も多くいただけて、一同心から安堵すると共に挑んでよかったと大きな達成感を抱きました。
たくさんの方に喜んでいただけたこと、また次回を希望されていることに大きく励まされつつ、筆を置きたく思います。
参加された皆様、期待を寄せてくれた皆様、ありがとうございました。
文責:空人(@m_sorahito )
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?