871ンスタライブ #065(一人喋り)

#871ンスタライブ   #065
2022年5月5日(木)

第65回目の配信は1人でお届け。今回のトークテーマは、音楽にまつわるお金の話。コンサート収益や、サブスクリプションサービス、CDについてなど、様々な角度から音楽にまつわるお金の話が展開されました。

主催:柳井貢(以下:871)

こんばんは。ご無沙汰ですね。
「こんばんは!お久しぶりのインスタライブ、嬉しいです!」
ありがとうございます!気づいたら日が経っていましたね。僕、基本だらしないっていうか、頑張り屋さんではないので。

5月8日(日)に大阪の専門学校でお喋りするんですけど、基本生徒さん向けなんですが、オプチャで一般参加も募集していて。OSMっていう専門学校と大阪でラジオの仕事してる方から「柳井さんのインスタライブでやってるやつ、オフラインでも喋れる場所あるといいですよね」って言ってもらって、一応呼んでもらってやってるような形ではあるんですけど、基本登壇者僕一人なんで、なるべくたくさん来てくれた方が嬉しいは嬉しいんですけどね。ただ、「GWみんな忙しいんだろうね」みたいなことも言ってるんですけど、ちょっと一般の参加者が気持ち寂しい感じみたいなので、その宣伝も兼ねつつ、あと(当日は)お金の話しましょうか、って言ってるんで、ちょっとその準備も兼ねてやろうかなーって感じっすね。

お金の話とかでもみんなどんぐらい興味あるんでしょう。一定数「音楽を純粋に楽しみたいからお金の話とかあんまり聞きたくない」みたいな人もいそうな気はするんですけど、まぁでもそんな人は僕のインスタライブ見てないか、っていう気もしますけどね。

「お金の話、気になります!」
ありがとうございます。なんか質問あったらしてほしいなぁ。ちょっと”お金の話”ってざっくりしすぎてて、何でも話せるっちゃ話せるんですけど、何を聞きたいかな?と。どの辺に興味あるのかな。アーティストのギャラとかはさすがに具体的には言えないけど、仕組みとか構造は全然言えるかな。

「同じ場所を同じキャバでもバンドによってチケット代が違うのはなぜですか」
この質問をきっかけにさせてもらおう。例えばZepp Diver Cityでーーコロナ禍でキャパシティ少なくなって値段上がっちゃったけどーーシンプルにスタッフの人数と演出の規模と、あとはそのアーティストに対してだったり、プロジェクトにとってどれぐらい収益を上げなきゃいけないのか?っていうのがバンドによって違うと。

今だと例えば……コロナが絡むと具体的な話がややこしくなるんですけど、コロナ一回無視すると、Zepp Diver Cityをちょうど2000キャパだとして。3000円でライブをする人もいれば5000円でライブをする人もいると。その違いが何なのか?っていうと、シンプルに計算してみるとわかりやすくて。3000円×2000人=600万円ぐらいじゃないっすか。で、5000円×2000人=1000万なんですよ。その、600万と1000万の400万円の違いは何なんだ?っていう話になってくると思うんですけど、一個あるのはスタッフの人数。めちゃめちゃ少ないところだと一公演の人数が10人ぐらい。メンバー4人と音響が大体2人。乗り込みさんって表と中…表と中っていうのは、客席でPAしてる人が表。で、Zeppとかになってくるとステージの袖に音響さんがもう1人いるんですよ。メンバーが中で聞く音の調整をしてる人。モニターさんって言うんですけど。っていうので音響が2人。で、照明1人、楽器さんが少ないと1人とかもあるんで、それでスタッフ4人でしょ?で、メンバー4人でしょ。くらいで成立するところはするんですよ。

もちろん、マネージャーどうなんだとか、物販やってる人はどうなんだとか色々出てくるんですけど。で、そのスタッフさんのギャランティーもピンキリなんですけど、安いと3万とか4万円とか、高くても7万とか8万とか、そこは一人一人すごい幅があるんで、いくらって言っちゃうと僕もお取引してる皆さんがいるんで「いや、お前もっと払えるやん」とか「もっと払ってや」ってなるの怖いんで、いくらって断言はできないんですけど。でも若手のバンドとかだと僕2万とかでお願いしちゃう人もいるんで、一概には言えないんですけど。まあシンプルに人数がバンドによっては変わってくると。照明ピンスポのスタッフも連れてくるとか、レーザーのスタッフも連れてくる、映像を出すなら映像とか舞台監督とか、あとバックドロップが手を込んでたらそれは道具さんとか…っていうので増えていくと、一行人数25人とかになるんですね。もちろん今コメントでもらったように、演出のクオリティはチケット代に反映されることが多いです。勿論。それを作るお金どっから出てくるのか?って話になるんで、コンサートだけで成立させようと思ったら、それはもうコンサートの収益であるチケット代の値段あげなきゃいけないよねっていう話になってくるんすね。

で、ものによって全然変わるんですけど、例えば、電飾が仕込まれたピカピカ光る看板を作ろうと思ったら、余裕でそれだけで100万円とか200万円とかするんですよ。だからさっき例に出した3000円×2000人=600万と、5000円×2000人=1000万、の400万の差ってすごい違うような気もするけど、そうでもないと。400万って使おうと思うとすぐなくなるので。

あと例えばですけど、バンドメンバーが22歳大学卒業したてで、Zepp Diver Cityチャレンジですっていうときに、シンプルにメンバーなりそのプロジェクトのモチベーションとして、そこで利益を上げるかどうかっていうことより、若い子にたくさん来てもらって「とにかくZepp Diver City埋めたい!」みたいな、収益が目的の中の優先度が低いっていう人達と、例えばもうメンバーが40歳ぐらいになってて、自分たちの活動である程度の収入を得ていかなきゃいけないっていう中でのZepp Diver Cityの値段とでは、そりゃあ変わってくるよねっていう。

1本ライブしたらいくらっていうギャラの設定をしてるバンドメンバーは少ないかもしれないですけど…なんだろうなぁ。Zepp Diver City 2000人規模で600万って多分利益残らないんですよね。事務所にもメンバーにも。会場費とか‥ちなみに会場費も平日と終末で値段全然違うところもあるんで。全く一緒っていうとこほぼないんじゃないかな。大体2倍〜1.5倍くらい変わるんで。だからそれによっても週末の平均のチケット代と平日の平均のチケット代出したら、週末のほうが相対的に高いんじゃないかなと思いますね。

あとは、Zepp Diver Cityを1本だけ打つっていう人ってそんなに沢山いないというか。もちろんタイミング的にはそういう時もあるんですけど、大体全国で5本とか10本とかツアーするじゃないですか。で、東京はいいんですよ。みんな東京にいるんで。ただ、例えばZepp Sapporo とZepp Diver Cityで値段変えるわけにはあんまりいかないじゃないですか。対お客さんで言うと。「何で札幌より東京の方が値段高いねん」とか「安いねんとか」っていうわけにいかないでしょ。で、北海道とかに行くってなるとさっき言ってた人数が多いっていうだけで、移動交通費がすごい高くかかると。北海道とかだと、もちろん手配するタイミングとかグレードによるんですけど、大体片道2万とか3万とか飛行機代だけでかかるんで。人の移動もあれば、楽器とか道具とかを運ばなきゃいけないんで。トラック走るんすよ、トランポって僕ら呼ぶんですけど。で、そのトラックがまあまあ高くて。その大阪-東京走るだけで往復で5〜60万円とか、7〜80万とかかかるんすよね。トラックの大きさにもよりますが。コメントで今貰ってる「前に都会の公演で地方の公演のカバーをしてるって聞いたことあります」っていうのはまさにその通りで。単純に地方に行くとその分キャパシティも小さくなるんで、お客さんの人数が少なくなると。なので地方の方より都市部の公演の方が収益度が高いっていうのはのもちろんあって、それをツアーとして収支が取れるように、バランスを取るっていうのは全然ありますね。

まぁ物は全体で僕ら予算見るんですけど、
「コンサートのチケット代のみで利益が出ない場合はどこで利益プラスにするのか気になります」
まあどうなんでしょうね、わかりやすいところでよく言われるのは、その分グッズを売って利益出してるっていうのはありますけど、ファンクラブ会員が多いプロジェクトだったらそこで利益出すことも可能かもしれないし、例えばファンクラブコンサートのチケット代が安い場合は、多分ファンクラブの収益をそこで還元してるっていう人達もいるかもしれないし。まぁ、お金って「このお金をここに」とか「このお金をここに」っていうのがそこまで明確じゃないので。例えば1年間とか半年とかで全体でどれぐらい売り上げがあって、その中で何に経費を使っていてっていう話になってくるんで。一枚のアルバムとか一枚のコンサートツアー、夏フェスのグッズ、とかだけでそれぞれの収益具合っていうのは見るんですけど、こっちで赤字になったのをどこで補填するのか、っていうのはそれ以外の全体だったりするんで。なになに、って一言でいうのはちょっと難しいところではあるんですけどね。

うん。でもやっぱコンサート収益のことに興味がある人が多いのかな。

で、さっきコメントで頂いた、
「サブスクが主流になって、音楽業界の収入源はやはりライブの収益がメインになってくるのでしょうか」
っていうのも、答え方が難しいというか、考え方が難しくて。サブスクが主流になることで、CDは売れなくなってるんですけど、音源ビジネス全体の売り上げは今、どうなってんだったかなぁ。ある種、CDより利益が出ている人もいるんです。全体で見たときに凹んではいるんですけど…ちょっとそれは調べないと下手なこと言えないな。情報の部分なんで、僕があやふやに答えちゃって「柳井さんがこう言ってたよー」ってなるのはちょっと不安がでかいんで、あんまり明確なことは言えないんですけど。再生されてる人は、下手すりゃCDよりもサブスクで利益が出てる人達もいます。で、音楽業界の収入源っていうのは、”音楽業界”をどこまで指すのかっていうのも言葉の使い方としてはありますよね。

例えば僕の仕事を音楽業界だとした時に、事務所とかプロダクションって呼ばれることが多いと思うんですけど、イベンターとかコンサートの仕事をしている人も音楽業界の人だし、タワレコで働いてる人も音楽業界の人だし。だから、サブスクが主流になることでビジネスがうまくいく人もいれば、うまくいかなくなる人もいて、それはもうどこの業界でも一緒なのかなーって思ってます。技術の発展によって求められるものや必要なものって変わってくるんで、僕がよく例にだすのが、駅で切符が使われてた時代にーーまぁ今も切符ありますけどーー切符を切る駅員さんとか、切符を作ってた会社なのか工場なのかもおそらくあったはずなんですけど、今もう全部スイカとかPASMOとかになっていって、それは要らなくなったと。そんな感じでこうどんな業界でも、使われ方とか色んなことが変わっていくので。

「サブスクってアーティストに利益あるんですね。CDじゃないとアーティストに利益入らないと思ってました。」
それはねー、そうなんですよ。っていうかCDもアーティストにほとんど利益入んないんで、下手すりゃサブスクの方がメンバーに入る金額多い場合もあるんじゃないかな。それはもちろん契約してるレコード会社とか事務所とかによって全然変わってくるんで、CDの印税率が高い所に所属していればCDの方が受取金額が多い場合もあるし、一概に言えないんですけどね。さっきのチケット代じゃないけど。CDも1000円で売ってるアーティストと3000円で売ってるアーティストで入ってくる金額変わるので。

「アーティストさんに作詞作曲編曲を依頼した場合お金いくらかかりますか」
アーティストさんによると思いますし、誰が頼んで受けるのかどうかにもよるので「いくらです」っていうことはちょっとお答えできないかなぁって感じですね。逆にお金かかんない時もあるんじゃないんですか?書く側が書きたい場合もあるだろうし。

「レコーディングのお金を出したところがもらえる割合が大きいと聞いたのですがどうでしょうか」
まあそれはそうですよね。レコーディングのお金を出したっていう言い方だけだとちょっと説明が足りなかったりするんですけど…音楽がレコードビジネスになって70年〜80年とか経つのかな。複製元になるマスターの音源のこと原盤って呼ぶんですね。で、その原盤を作るお金を出したところが原盤権を持つっていう構造になってます。要は原盤権を持ってる人がそれを複製してビジネスをするので、いわゆる出資者に当たるんですよね。

だから、なんだろう。もちろん、演奏家は自分たちの演奏だったり時間だったり技術だったり才能っていうのを音楽に提供していて、そこには演奏家権とか、もちろん著作権もありますし、そういった権利はあるんですけど、音源を複製販売するとか、サブスクを流通させるとかで言えば、原盤に基づいたビジネスモデルになるんで、割合が大きいというよりかは、原盤持ってる人が決めれる、っていう感じですね。

で、もちろんリスクを背負う訳ですから下手すりゃ1曲レコーディングすんのにむっちゃ安くて10万円とか。まぁ今自分たちで作る人もいるんで一概に金額で言えないんですけど、仮に安くて10万円だとしたとしても、高いと50万とか80万円とか100万円とか全然するんですよ。だからアルバム1枚作るのに、大体1000万ぐらいかかると。で、ミュージックビデオ3本取ったら、ミュージックビデオの制作費も安かったら20万〜30万円もあるけど、1本取るのに300万〜500万円かかる人達もいる。かけるミュージックビデオもあるので。そうなったときに大体アルバム1枚作るのに1500万とか2000万円位がかかると。それ以外も、アー写の撮影したりとかプロモーションの移動経費がどうのとか色んな所でかかって、そのぐらいのお金がかかるので、やっぱりお金を出した人はそれを回収しなきゃいけないっていう理屈がベースにはなっちゃうので、原盤を作るのにお金を出した人とか、お金を出した会社とかが原盤権を持っていて、そこがどれぐらい、どういう人達に分配するのかを決めるっていう感じっすね。

その結果、もちろんリスクを背負ってる分、原盤権に相当する、原盤印税みたいなのの設定が一番多かったりとかします。原盤権って音源ビジネスで言うと、固定費なので、要はアルバム1000万かけて作りました、1万枚売れても1000万円だし、2万枚売れても1000万だし、作るのにかかるお金は変わんない。なんですけど、CDの場合、そのモノ自体1万枚売ろうと思ったら1万枚作らなきゃいけない、2万枚売ろうとしたら2万枚作んなきゃいけないっていう変動費の部分に当たるんで、結構そこを握ってるところがでかかったりするんすよねー。利益率で言うと。

「CD販売とデジタルリリースでアーティストに入る収益やファンに届く価格に差が出たりしますか」
ファンに届く価格は確実に違いますよね。CDアルバム一枚3000円とか4000円とか、なのか、デジタルリリースもまダウンロードなのかサブスクリプションなのかで変わってきますけど、サブスクリプションだったらね、今いくらっすか?月で1000円とかだから、アルバム一枚買うより安いんすよね。1ヶ月で言ったら・もちろんそれが1年になったら1万円とかになるんですけど、だからまあその辺りを所有するっていうのと聞けるっていうので、あのーちょっと形は違いますけどまぁ担任届く価格に差はあると思う、あるあられると思う、むしろね、皆さんが。えっとー、アーティストに入る収益、えっとー、は、差が出る、っていうかどっちがいいっていうのは一概に言えないんすよね。CDが10万枚売れるんだったらCDの方が利益出るかもしれないし、CDうってもう5000枚しか売れないけどサブスクリプションで出したら一曲あたり3000万再生される楽曲を20曲持ってますってアーティストだと、そっちの方がね、もちろん収益でかいし、っていう。

「コロナ禍になってライブが中止になったりした時期があったと思うんですけど、その時の会場のキャンセル費とかはどうなってたんですか?」
色んなケースがありますね。事務所とかが払ってる時もあるし、会場側が「また一年以内にやってくれたらキャンセル代いなくてもいいですよ」って言ってくれる場合もあったし、まちまちですね。地方自治体の補助金で会場側がなんとか補助金で賄うケースもあるし。でも事務所とかコンサート会社の直接的なキャンセルの補助金って、(コロナ)1年目はなくて、2年目は一部あるものもあったんですけど…って感じですね。

「フェスだと沢山のアーティストさんが出演されるので、収益ってない感じなのかなぁ。今だと春フェスたくさん出演してくださってありがたいです。」
これもアーティストの動員力や影響力によって、まずイベント主催者からもらう出演料っていうのが違ってきます。アーティストによっては50万円のアーティストもいれば300万円貰うアーティストもいて、且つ、ライブやるのにいくらかかるバンドなんですかっていうのでも変わってくるんですよね。よく言うのは、バンドなんかは、いつもメンバー4人でやってるから演奏者に対してはそんなにお金がかからないというか、メンバーと事務所の契約の範囲内だけで済むんですけど、ソロのアーティストとかって、アーティストさんによってはバンドを6人、7人に連れてきたりするじゃないですか。あれって、割とメンバー固定でやれるようにするんですけど、それでもやっぱり常日頃そのメンバーでやってる訳じゃないんで。リハーサルも入んなきゃいけなかったりとか。演奏家さんもだいたい安くても2万、3万円とか?で、高いと7、8万とか、10万円とかをミュージシャン1人あたりにギャランティーを払わなきゃいけないんで、もらうお金に対して出ていくお金がどれぐらいあるのかっていうのによって収益は変わってきますね。

「原盤権という言葉を知らなかったので大変勉強になりました。ありがとうございました。」
そう。僕らは仕事してるので日常的にその辺の言葉って飛び交ってるんすけどーーどこまでそういう知識が必要かっていうのはありますがーー楽しければそのへんは面白いサイトとかもあるんで色々ググって勉強してみるのも面白いと思いますね。

「メジャーとインディーズでサブスクの収入とか変わりますか?」
それはどういうことだろう。レーベル、レコード会社の目線の話なのかアーティスト目線の話なのか。アーティスト目線でいうと、もちろんメジャーのレコード会社とインディーズのレコード会社とで契約の印税率みたいな事が変わったりするんで、もちろん変わってきます。一概にそうだとは言い切れなくなってきてるので、乱暴に言っちゃうと怒られそうな気がするんですけど、メジャーの方がアーティストに対する印税率が低いケースの方が多い。全部がそうだと断定しちゃうと、そうじゃないケースがでてきてるんで、一概に言えないですけど、多いか少ないかでいうと、メジャーの方がアーティストに対する印税率が低いケースが多いので、アーティスト目線で言うと、同じ売り上げ枚数、同じ再生回数とかだった時にインディーズの方がっていうのはある。インディーズの定義をどこからどこまでにするかによりますけど、他人のところに所属せずに自分たちで音源作ってTune Coreで配信してっていうことで言うと、Tune Coreだったらほぼ100%自分たちに、デジタルの収入入ってくるんで。あ、もちろんApple MusicとかLINE MUSICとかそこの手数料抜いてですけどね自分たちで全部やってますっていうのをインディーズにカウントするなら、もう全然インディーズのほうが、利益率って意味でいうと高いと思います。あとはどのくらいのお金がかかってるか。出ていくお金にもよりますけどね。

「給料制のアーティストさんっているんですか」
給料制っていうか、一定の月額のギャランティーを設定しているアーティストは沢山いると思います。ただ、それがいわゆるサラリーマンの給料と同じか?っていうと、結構違うことの方が多くて。いわゆる雇用契約をしてるケースってほぼないんじゃないかな。あんまり踏み込んで話しちゃうと、特定アーティストのことになると、僕ら契約書の内容の守秘義務があるので。だからあんまり具体的に想像のつく情報ってなかなか話しづらいので、僕の会社は〜とか、僕の担当してるアーティストは〜、っていうことは言えないんですけど、僕の見渡す限り、月額契約料みたいなことを設定している事務所だったりアーティストさんっていうのはそこそこいると思います。

で、大体の作詞作曲の著作権はそれとは別になってることがほとんどでーー作詞作曲って、JASRACとかNexToneとか出版社経由でアーティストに入ってくるので、著作権に関しては必ずしも事務所の給料に入ってるってことはあんまりないんですけどーーそれ以外にもアーティストグッズやライブ、ファンクラブのロイヤリティーだったりとか、あとは月額の契約料を一旦のアドバンス、最低保証みたいな感じで払っていてーー事務所とアーティストで何対何で分けましょうねみたいなーー契約があったとして、だけど何対何っていうのを1ヶ月で測っていこうとすると赤字の月もあったりするんで、それを大体年間の予算たてて「少なくともこれくらいは収益出るだろうね。それの何対何だからそれを12ヶ月だったらひと月この金額は一旦振り込んで行くね」、で、1年なり、それなりの期間で算数して、12ヶ月分より何対何で分けたら「これだけもうちょっと多かったから、それ追加で払うね」みたいな、そういうところもあるだろうし。いろんなケースがありますね。 

「CD、デジタル配信、どちらも出してほしいのですが難しいですか」
これを僕に聞いてらっしゃるってことは特定アーティストのことを言ってると思うので、なかなか答えづらいところもあるんですけど、出してないっていうことは難しいっていうことなんじゃないんですか?難しいっていう表現がいいのかな。そういうリリースの仕方をしたいと思ってない、っていうことじゃないですかね。この質問された方の中で「あのアーティストはこういう時はCD出すけど、こういう時はデジタルしか出さない」っていうのがあると思うんですよ。で、CDを出したいのに難しいから出さないってアーティストがいるかもしれないんすけど、CD出したいって思ってるから出すのか、それともCD欲しいと思っているファンが1人でもいたらCD出すのかっていうビジネスモデルの過渡期に今いると思うんですね。時代っていうかね。さっきの切符なのか、Suicaなのかの話もそうですけど。なんかおばあちゃんとかが「私はSuicaとか分からんから切符がいいんじゃ」って言っても、残念ながら無くなる時は無くなるよねっていう。ガラケーなくなったじゃないっすか。一時期ガラケー派とか言ってスマホ持たないみたいな人いましたけど、もうだいぶいなくなりましたよね。だから変わっていくものは変わっていくので。

「対バンライブなどは、ライブハウスだとお目当てのアーティストを聞かれ、そこから収益を振り分けていると思うのですが、お目当てのアーティストを聞かれない場合はどう振り分けてるんですか」
これは、経験ある人とない人にちょっと差がありそうだなって思うんですけど、3組とか4組とかでるライブで、入り口でチケットをもぎる時にお目当てアーティストを聞くのって、多分200人以下くらいのライブハウス…いや、QUATTROとかでも聞く時は聞いてますね。だから多くても1000人規模までじゃないっすかね。やっぱりあの作業挟むことで入場が遅くなっちゃうんで、あんまりでかいところでやれないことが多いんですけど。あと数えるのが大変なのでね。

で、あれ面白い話なんですけど、例えば200人のライブハウスに150人入りました。Aっていうバンドは60人、Bっていうバンド50人、Cっていうバンドは30人、Dっていうバンドは10人、みたいに4組の中でばらつきがあった時に、じゃあ「60人呼んだ人は60人分のチャージバックねー」みたいに、出演者に対するチャージバックを設定しているライブイベントとかライブハウスってもちろんあるんですけど、そうじゃないのはどうなってますかっていう話で行くと、基本的にはもう出演料いくら、ですね。あと対バンライブでも、例えばAっていうアーティストの対バンツアーやりまーす。じゃあ東京はBさんと、大阪はCさんと、名古屋はDさんと一緒にやります。ってなった時に、対バン相手って後から発表したりするじゃないですか。で、下手したら対バン相手を発表してない時点でチケット9割売ってるがな!みたいな場合もありますよね。っていう場合に、対バン相手に「あなたたち10%分しか読んでないんでギャラこんだけですよ」っていうわけにはいかんよねっていうのもあって。だから基本的には出演料です。「こういう規模のこういうイベントに使ってもらいたいんですけど、出演料いくらでどうですか?」っていう。なので、お目当てアンケート取って、それによって振り分けて、っていうのは、どっちかっていうとお客さんが来る前提じゃなくて、いわゆるノルマ制みたいな、バンドが頑張って客呼んでこいよみたいな文脈からの文化だと思うので。まぁ勿論その絶妙なラインっていうのはあると思いますけどね。

「YouTubeとサブスクだとどちらの方が利益が出ますか、遅れて入ったんでもう回答されてたらすみません」
YouTubeとサブスクっていうカテゴリーで比較するのはちょっと難しいですけど、YouTubeも今無料領域の広告での収益と、YouTubeプレミアムだっけ?広告が出ずに見たり聞いたり出来ますよっていう有料のサブスクモデルのものもあって。YouTubeの中にもサブスク領域があったりするので、例えばYouTubeとAppleMusicどっちの方がみたいなことでいうと、仮に再生数が同じだった場合は、多分ほぼ近しいんじゃないかなぁ。

よく言われるのが、今もうないのかなぁ…。一時期あったdocomoさん、auさんとか携帯会社のキャリアの契約の中についてるサービスって、意外と幽霊会員が多くて。要はお金払ってるのにそこまで使われてないっていう。あの場合とかだと一回の再生回数単価が上がるんすよ。みんな使ってないから。月額1000円払ってる中で1000回聞かれるサービスと、一人当たり10回しか聞かれないサービスだと1000円を振り分ける再生回数が変わるので、そういう金額に対して再生回数が少ないサービスは一回再生あたりの単価が高いみたいな話はあったりはしましたけど、YouTubeとサブスクと、っていうところで言うと、比較が難しいかなっていうのはありますね。まぁでもアーティストによってそもそも再生回数が違うので、Spotify強いアーティストみたいなものもいればAppleMusicとかLINE MUSICとかっていうのもあるんで。

「この曲は配信のみの販売でいく、と決める要因はなんでしょうか?アーティスト側から決めることが多いのでしょうか」
うん。答え方が難しいですね。でも、まぁアーティストだったり、レーベルさんだったりと話し合って決めるんじゃないですかね。むしろ今もう逆な気がする。基本、楽曲を発表するっていうことだけでいうと、配信の方が全然気軽にというか、瞬発的にいける。CDを出すのってCDを作る工程があるから、配信でリリースするよりプラス2ヶ月〜3ヶ月ぐらい手前から準備しなきゃいけない。って考えた時にやっぱり、例えば今だと「コロナあけて、初めてのツアーやって、そのツアーをやってみた体感値でこんな曲ができたから、もう再来月には聞いてほしい」ってなった時に、CDだと再来月には無理、みたいなこととかもあったりするから。

基本楽曲を発表するっていうことのベースが、CDを作るよりも楽曲聞いてもらうっていうことにウェイトがいってて、で、「これはCDで届けたいよね」っていうものに関してCDを作ってるっていう順番の方が多いんじゃないかなぁ。でも、僕の関わってるアーティストで言うと、やっぱアルバムタイミングでCD作ってることがほぼだと思います。やっぱり、CDのプラスチックと盤面の物質的な値段って一緒なんですよ。シングルだろうがアルバムだろうが。何曲入ってようが。なので、2曲入りのCDを1000円とかで売るーー下手すりゃその2曲ともサブスクで聞けるーーっていう状態で無理してそのCDに付加価値をつけて、1000円をそのCDに払ってもらうっていうことよりかは、アルバムタイミングである程度の曲まとめて物質化するっていう方がやっぱり理にかなってるんじゃない?ってなると思っていて。てかまぁ、僕はなっていて。で、僕がなってる=アーティストとかがみんなそうかっていうと、そうじゃないとは思うんですけど、アーティストのリリースをみながら「こう考えてるのかな」って想像してもらうのも楽しいんじゃないかなって思ってたりもします。なんか僕が「こうです」と答えるというよりかは。あと、僕が演者の代弁をしたいわけではないので、やっぱり特定のアーティストのことにはことはそこまであんまり答えたくないので、ご理解いただけたらと思います。

「アーティストさんは社会保険とかに入ったりするんですか?」
サラリーマン契約じゃないことが多いというお話からいくと、社会保険は入ってないんじゃないですかね。まぁでも、自分の会社作ってたり色々な人がいるんで、ちょっと社会保険までどうかはわかんないですね。

「新人バンドに対してのお金のかけ方は例えばコンサートとかアルバム作るとかになると、少ない方ですか?」
…うわー、質問を汲み取れない…。新人バンドに対してっていうよりかは、どれくらいの売上をあげられるかによって、その売り上げ以上の支出っていうのは投資になっちゃうので、その投資をどこで回収するんだ?っていう、事務所だったりアーティスト本人たちの考え方によるんじゃないんですかね。これで答え方合ってるのかな。

じゃあちょっと駆け足でコメントを読んでいって、今きてるコメントを全部さらえたら今日は終わります。

「MVをYouTubeに投稿するアーティストが多いですが、制作費は回収できてるのでしょうか。」
ミュージックビデオの制作費をYouTubeの再生回数の広告収入だけで回収出来てるアーティストは少ないと思います。だから、色んなものの宣伝としてミュージックビデオをYouTubeで無料で見れるようにしてるっていうのがほとんど現状かなぁ。

「バンドにサポートメンバーはいる場合があると思うのですが、サポートメンバーと正規メンバーで会社との契約形態はどういった違いがあるのでしょうか」
これも一概には言えないですが、アーティストによって…例えばわかりやすいのが、川谷絵音さんがやってるジェニーハイって、ボーカルがtricotのイッキュウさんだったりするじゃないですか。でもジェニーハイって全員正規メンバーだと思うんですよね。だから、バンドとしては正規メンバーだけど、それぞれがいろんな事務所に所属してるっていう場合もあったりするので、そういう極端な例もあるよって考えると、一概に正規メンバー・サポートメンバーっていうだけで確定的に語ることは難しいんですが、よくある4人組ロックバンドにキーボードのサポートの人が入ってるみたいなことで言うと、大体このサポートメンバーさんは1回演奏いくら、みたいなことが多いので、4人とは違う契約形態になってることが多いですね。まあアーティスト契約として事務所とかレコード会社と契約してる場合は、その契約の内容に依存するんですけど、サポートメンバーさんはミュージシャンとして、俺は1回ステージ、何曲弾いたらいくらだよっていうビジネスモデルの人が多いので、っていう感じですね。

「時代も流行りも廃りも変わりゆくものですからね。」
ね。そうですよね。

「一度だけ地元のライブハウスで目当てのバンド聞かれて焦って主催の方答えました。あれ聞くなら聞くって言っておいてほしい。」
あー。確かに。あれ、「聞きますよ」ってなかなか事前に言ってんの見たことないっすね。

「アーティストとコラボしたい場合どこに連絡したらいいですか。」
事務所とか?レコード会社とか?じゃないっすかね。僕はマネージャーさんに連絡しますね。

「大型フェスはステージごとや出演順で出演料設定されているのでしょうか」
目安にはなってるかもしれないですけど、まぁフェスもね、さまざまあるので、フェスによるかなーって感じですね。

よしコメント追いついたので、終わろう。っていうことで、なんか思ってたよりコンサートの話とアーティストの契約の話が多かったなぁ。あとサブスクの件か。まぁちょっと、8日(日)に大阪にいる人は、よければ遊びに来てみてください。LINEのオープンチャット覗いてもらえたら、応募だったりの案内も書いてるんで、そこから応募してください。

「OSM行きたかったけど遠い…」
まぁね。もちろん、遠い人は遠いですよね。また機会があればお願いします!

「8日一般参加します」
お!ありがとうございます。お待ちしてまーす!

「お金についてじゃないので、またの機会に質問させてください」
はーい。またやれるように頑張りまーす!なんか、HIP LANDもMASHも3月決算なんですけど、期末期頭で思った以上に忙しくて、なかなかインスタライブの優先度を上げられなかったですね。他の優先度が高すぎて。

あ、残り1分50秒、49秒とかカウント出てる。

「柳井さんみたいなマネージャーになりたいです」
どこをとって”僕みたいな”かは、ちょっとあると思いますけど、でもそういう風に言っていただけるのありがたいですし、マネージャーみたいな仕事を目指されてるのであれば、それ自体僕らはありがたいことなので、頑張ってください。

あと50秒くらいで自動的に終わりそうです。

「一人おしゃべりも、ゲスト回も、仕事に関するお話も、面白くて勉強になります。ありがとうございます。」
こちらこそありがとうございます。

「音楽シーンの裏側が知れて勉強になりました。ありがとうございました。」

「拙い質問に回答いただきありがとうございました。」

「アーカイブ残しますか?」

どうしよう、残そうかなぁ。最近、100回やるって言ったのがものすごい遠い目標に感じてしまっていて。でも、積み立てていかないと100回いかないので、残そうかな。

「バンドのお金の話、興味あったのでまたしっかりアーカイブみます。ありがとうございました。」
とんでもないです。前半コンサートの話してましたね。

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