虚夢十行 〜水筒の夢〜
子どもが泣いている。月が見たいと土砂降りの甲板を指差すも、親らしき人は子を駆け出さすまいとしっかり手を握り拮抗状態だ。
「風邪をひいてしまうからやめなさい」
けたたましく駄々をこねる子を嗜めつつ、引っ張っていく姿とすれ違った。子どもの赤くなった目尻にチクリと胸が痛み出す。
「悪いことをしてしまったな」
水筒を開け底を覗きこむ。白々輝く満月が仄暗い筒の中で雨宿りをしていたとは思うまい。
あとがき
こんにちは、マリービスケットの消費に今日も忙しいです。
(執筆者 すいか)