ながしよみ⑩
こいぶみ
ゆりの一つもまともに描けない
この身をどこへ連れて行こう
紙に咲いた徒花を
眺めて破くこともできず
仰ぐ6畳の天井
ケトルの先の水滴が雨を呼び込む
サンダルで出たべランダ
いきものの呼吸が匂うコンクリートから
衝動に駆られ飛び出す
ゆりの一つもまともに描けない
この身をどこへ連れて行こう
花弁に差すはずのない陰影が純真を偽る
それでも筆を止められず
雨すら流せぬ泥を持ち
傘の間で
肩を濡らして突き進む
こんにちは。すいかです。
今自分の中の沸騰ワードは『脱藩』です。
(執筆者:すいか)