最期の手紙
祈りといえば
呪うことしか育たないような
こんな戦さ場で
希望といえば
失望の目眩ましにしかなり得ない
こんなまやかしの世で
この胸に生まれた唯一さえ
怒りと偽りに奪われていく
遠く離れた君へ
君と
君と誰かが見上げたその空へ
いつかの
果てしない青さを
かつての
澄みきった青さを
僕は贈ることができずに
今日
この地で果ててゆく
最期
暗く
重く
一面に覆われた雲の隙間から
微かに見えた
ほら…
いつかの
ほら…
かつての
あの日の空が
その向こう側に
きっと
広がっている
きっと
広がってゆく