共読「じごくのそうべえ」
1.感想
最初に目につくのが絵。独特のタッチで、色も豊か。これは型染め絵という手法によるところが大きいか。ストーリーは長い落語をうまく絵本にまとめている。地獄関連の語句がいくつか分かりにくいものがあったが、元となる落語から調べはつく。まあ、そんな細かい所は抜きにして、小さな子どもでも楽しめるおはなしだろう。
2.本の情報
「じごくのそうべえ」
作 田島征彦(たじまゆきひこ)
童心社 ISBN 9784494012039
落語「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」から
型染め絵
童心社 じごくのそうべえシリーズ 特設サイト
3.読書メモ
おがらのつえ→麻幹(おがら)の杖
しょうずかのばあさん→正塚婆(しょうづかのばば)=奪衣婆(だつえば)
じょうはりのかがみ→浄玻璃鏡
じんどんき→人呑鬼
せんき→疝気
せんばんに いちばんのかねあい→千番に一番の兼ね合い
ししの けおとし→獅子の蹴落とし
4.作者のこと
たじまゆきひこ wiki
田島征三(たしませいぞう) wiki とは双子の兄弟
5.シリーズ
「そうべえごくらくへゆく」
ISBN 9784494012282
また地獄におちて、極楽へ無理矢理行って、捕まって、逃げて、花の蜜からお酒を造って、地獄と極楽がごっちゃになってしまう。軽業師のそうべえと、山伏のふっかいと、医者のちくあんと、絵描きのゆきえもん。騒いだりイタズラしたり。
「そうべえまっくろけのけ」
ISBN 9784494012367
軽業師のそうべえと医者のちくあんが、うさぎに助けを求められて空へ。山伏のふっかいもついてきて、大騒ぎ。でもなぜか丸く収まって、無事に戻ることができましたとさ。って、星座が騒ぐとか、暗黒星雲をやっつけるとか、すごいおはなしだ。
「どろんこそうべえ」
ISBN 9784494012411
今度はまさかの地中。おけらがミミズの結婚を祝い、モグラもやってくるが、ミミズを食べてしまう。そうべえ達がいないあいだに二代目のそうすけが登場。カウントダウンして子どもになり、カウントアップして大人に戻る、というのが不思議で面白い。ケラとモグラ、どちらもミミズの捕食者。いのちを頂いているみんな。
「そうべえふしぎなりゅうぐうじょう」
ISBN 9784494012435
今度は海の中。ふか=サメに喰われろ、と突き落とされて。逃れて竜宮城へ。って、なんか別の昔話的な感じやな。しかも浦島太郎も出てきたで。なんやいろいろ混ざってるやんか。最後は落語的な落としやな。
「そうべえときじむなー」
ISBN 9784494012442
沖縄へ飛んでいって”きじむなー”という妖怪に助けてもらい、イタズラして飛ばされて戻る。キャラクターを上手く使って、沖縄の人たちの温かさが伝わる。イタズラ自体も可笑しいし、それがバレてしまうところも可笑しい。妖精きじむなーがかわいい。
6.その他の作品
「なきむしせいとく」
作者インタビュー動画 琉球放送 YouTube
「いたずらうさぎチュローチュ」
ISBN 4494008885
カンボジアの人から聞き書きした昔話。バナナをとって人間から逃げ、ワニをだまして川を渡り、ヤギに薬草を教えてもらって、ヤギと仲良しに。いたずらをして得意になっていた自分が恥ずかしくなる。
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