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一先ずのプロローグ

これはあくまで私の妄想の話です。
ご了承ください。

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「お疲れ様でーす」
と声掛けしながら飲み物を楽屋に持って行こうと廊下を通りかかると、2人がネタ合わせをしていた。
おっと、これは邪魔してはいけん…と静かにその2人を横目に通り過ぎようと、そーっと足音を立てずに歩こうとした矢先に、その場になんにもないのに躓いてしまい、手に持っていた箱からペットボトルが転がってしまった…。
ゴトッ!…コロコロコロコロ…

あーあ、やってしまった。鈍臭い私。情けな。
邪魔せんようにってしてたら、いっつも裏目に出てしまう。
2人の動きも止まり、安田くんが
「おっとっっ」と、少しびっくりしたようやった。
それだけ集中してたんやろうな…
「ごめんなさい!」
私は慌てて、転がっていったペットボトルを拾い、2人に対し、もう一度謝り、頭を下げ、楽屋に入っていった。

無事に全公演が終え、客席や舞台の掃除をして、私は楽屋の片付けに向かった。
楽屋に入ると、もう誰もいないと思てたのにそこに石井くんが珍しく残っていたので、私は思わずびっくりして大きな声を出してしまった。

「うっわっっーー!…石井さんいてたんですか?!」
「あー…」
リアクション薄…。

言葉少ないけど容姿もイケメンやから人気も高い。オシャレさんで背も高いしね。私の周りで芸人さん好きな子は「石井くんカッコイイー!」って言うてる子いるし。

「すいません。まだいてはると思ってなくて。またあとで来ますね。」と、私はその場から離れようとすると…

「あのさ…」
と、話しかけられた。これまたびっくり。びっくりしすぎて「へぇっ??!」と、声が裏返り、これまた情けない返事をしてしまった。
その私の返答に吹き出す石井くん。

「ははっー!なんや、その返事」
「ごめんなさい…石井さんから話しかけられるん滅多にないんで…びっくりしてしまって」
「そんな事ないと思うけどなぁ。俺、この劇場のスタッフさんで自分から話しかけるんわ、キミだけやで」
その言葉が嬉しくてニヤけてしまった。自分、キモっと思いつつ…マスクしてて良かったぁと安堵。

「あー、そうですかね??
ほんでなにか用事ですか?」
と、自分のニヤけ顔が嫌ですぐに本題に戻した。

「俺らネタ合わせしてる時、後ろ通ってたんやんか」

あー…その事?私のドンくさエピソードをここでなんのツッコミするん?と、心の中で叫んだ。

「何もないとこで転けてオモロかったし、久々に可愛いもの見たわ」
なんや、それ。めっちゃ嬉しそうに話して。なら、そん時にツッコンでよ…なんもリアクションせんかったくせに。
「なら、その時に何か言うてツッコンでくださいよ~。今これなんの時間なんですか…」
と、私がまだ話してる間に目の前につかつかと歩いてきて、身長差30cm近くあるだろう、私の頭に手のひらをポンとのせて
「だから、楽しましてくれたお礼に今からメシ行こう」

顔むっちゃ熱い
今、顔上げたらマスクしてても分かる。
むっちゃ顔赤いやろうなって自分でも分かる。

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