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話したい。ゆっくりと。
「30秒で話して?」
「で、結論は?」
「つまり?」
そんなに急がないでくれ。別に逃げたりしないから。
なんでこうも「速さ」を求めるんだろう?
端的に、簡潔に、正確に。
それはつまり「速く」ってことだと思う。
だって、まとまりなく、ダラダラと、よくわからない感じで話したら。
それはきっと、時間がかかるから。
——まあ、「仕事」だから、ってのが答えなのかな?
確かに仕事なら、「速く!」は分かる。
でも私生活ではどうだろう?
(日常会話で「で、結論は?」とかいう人は流石にいないとしても、)それでも、なんとなく「速さ」を求められている気がする。
それと、「速さ」じゃないけど、「時間がない」せいで、ゆっくり話せないこともる。
「——ごめん、遅くなっちゃって。終電には帰るけど、あと2時間くらいは飲めるね」
なかなか予定が合わなくて、合ったとしても会える時間は限られていて。
そうなると、「あれもこれも話したい」が難しくなる。
今日はこの話がしたいな、この話を聞きたいな、って思ってても、たいていは会話は横道回り道。あっという間に時間がたって、「え?もう?」なのだ。
「最近どうよ?」
「仕事めっちゃ忙しくて。お前は?」
「仕事は落ち着いてるよ。でもプライベートがさ——」
「え?マジ?そういえば、その人のこと知ってるかも」
「え!?確かあの人ってアイツと同じ大学じゃなかった?」
「そうそう。アイツの話だけど、実は——」
「——あれ、何の話してたんだっけ?」
ああ、あの話聞き忘れた!じゃあまた今度かな——。
それを繰り返している。永遠に。
積もる話は尽きない。そう言えば聞こえはいいけど、
単純に「ゆっくりと話せていない」だけなんじゃないかな、おれたち。
◆
◆
◆
ゆっくりと話したい。
あれも。これも。話したくないことも。聞きたくないことも。
ひっくるめて、ゆっくりと。夜が更けるまで。夜が更けても。
朝まで、とは言わないけど。
それでも話したいんだ。ゆっくりと。
それは「速く」へのアンチテーゼとかじゃなくて。
ただ純粋に、話していたいから。君と。あなたと。お前と。
オチも結論もない、取り留めない話を、今日も。
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